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【書評】魔術師  三原脩と西鉄ライオンズ 上&下(立石泰則/小学館文庫)

読み終えたものを粛々と紹介するということで、ちょっとずつ書評というものをやってみましょう。

魔術師 上 三原脩と西鉄ライオンズ(立石泰則/小学館文庫)

魔術師 下 三原脩と西鉄ライオンズ(立石泰則/小学館文庫)

文庫版の発売日は2005年、つまり僕が高校生の時に本屋で目にしていたことになります。「いつか買って読もうかな?」と思っているうちに、本屋から無くなって買えないままになってしまいまして……。あるとき、ふとこのエピソードを思い出して、電子書籍ストアを検索したら見つけたのです。電子版万歳!

ということで、相当なボリューム×2巻分というなかなかなものではございましたが、その分だけ野球界の風雲児・三原侑の生涯と日本野球界の発展を追いかけ、盛り込みまくっているのであります。著者の立石氏の筆力が素晴らしいものです。昭和一桁から30年代のプロ野球史を学びたいのであれば、ぜひ読破にチャレンジして欲しいです。

名監督として西鉄ライオンズや大洋ホエールズを優勝に導く一方、晩年の監督生活は制約が多く、苦労の絶えない日々を過ごしていました。そして、日本ハムの球団社長としての野望。それが道半ばで終わってしまったことも、歴史のifとして考えてしまうところがります。

本書は05年に発刊された文庫版が元になっているため、最終章は当時のプロ野球界の混乱と絡めながらお話は進んでいきます。そして2020年代、パ・リーグの勢いがセ・リーグを凌駕するなど、プロ野球界の姿は大きく変わりました。三原氏がこの姿を見たならば、大きく喜ぶことでしょう。と同時に、その鋭い観察眼で、今の野球界、そしてスポーツ界に横たわる問題を見つけ出し、解決に向けて動いているかもしれない……という、もう一つの氏の姿にも出会えるのも、読後感として残っています


どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)