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究極の睡眠環境

まるでやることのない日々だが、一つだけ熱中しているものがある。それは"睡眠"である。

皆さんご存知の通り、睡眠とはいいものだ。それを行うだけで体力が回復し、頭もスッキリするし、肌ツヤが良くなったり、子供のうちであれば身長も伸びる。しかも元手がかからず、完全無料で、誰でも気軽に行える。百利あって一害なし。生物に授けられた特殊能力と言えよう。

おまけに睡眠は気持ちがいい。あまりの気持ち良さに、うっとりとヨダレを垂らすこともしばしばだ。そういう時はたいていアホ面をしていて人様に見せられたものではないが、寝室という閉鎖空間で行う分には気にする必要もない。思う存分にアホ面でヨダレを垂らすのが望ましい。

ここ一年における私の睡眠能力の向上は目覚ましかった。毎晩、就寝前に究極の睡眠環境を整えるその様はもはや整備士さながらで、自らのきびきびとした無駄のない働きぶりに、我ながら惚れ惚れするほどだ。

そこで今回は、究極の睡眠環境づくりについてお話したい。

第一に、寝具は非常に重要である。"寝具"と一口に言ってもアイテムは多岐にわたり、ベッド本体、マットレス、ベッドパッド、シーツ、掛け布団、掛け布団カバー、毛布、枕、枕カバー…などなど、こだわり始めたらキリがない。

そして値段にもキリがない。「ピンからキリまで」という表現は寝具のためにあるのではないか? と思うほど、価格の幅が広いのだ。掛け布団などは高級品になると一枚何百万円もするらしく、この領域にお金をかけて初めて"貴族の仲間入り"という感じがする。ヨーロッパ貴族の城などを見学すると、だいたい寝室には大きな天蓋付きのベッドが展示されていて、こりゃあ寝具にも並々ならぬこだわりがあるだろうな、という感じがするからだ。

当然私には何百万円もする掛け布団など手に入れられるはずもないが、それでも一般庶民なりのこだわりを持つことで、睡眠という快楽に興じている。肌に当たる物には好みがあるだろうから、どこどこの何がおすすめだとかは言えないが、ガーゼのカバー類を使い始めてから、夜中に暑くて目が覚めることが少なくなったと思う。通気性が良く、熱を放散するようだ。

もちろん枕も重要である。私が使っている枕は、頭側のクッション材と、その下のプラスチックビーズの二層構造になっていて、持ち主の骨格に合わせて高さを調整できる仕組みになっている。仰向けの時と横向けの時でも高さが違っていて、この枕に変えてから、私の睡眠の質は格段に上がった。

以前は羽毛の枕を使っていたのだが、だんだんとしぼんで高さがなくなり、睡眠中や寝覚めに首が痛くなることもしばしばだった。数十分もすれば引く痛みではあったが、枕を舐めてはいけない。ローマは一日にして成らずと言うくらいだから、体調不良も一日にして成らずなはずで、日々の痛みや睡眠不足が、やがて大きな爆弾となって帰ってくるはずなのだ(最も私はすでに体調が悪いので全く説得力はないが…)。

こういったこだわり枕の類は、大型スーパーやデパートなどで意外にも一万円ほどから入手できるため、ぜひ機会があれば、いや、機会がなくとも、見直して欲しい寝具の一つである。もしも予算の関係上、布団か枕、どっちか整備するとなったら、枕の方に重きを置いた方が良いと思う。値段も手頃だし、冬服を一枚我慢するくらいのお値段で、これから先何年もスッキリとした目覚めが得られるのだから、割と安い買い物ではないだろうか。

ここまで書いたところで、「寝具」と音声入力したはずが「チング」と変換されてしまってすっかり気が抜けた。「チング」とは「珍具」のことだろうが、一体どんな珍妙な道具のことを指しているのか気になり始め、もう何も手に付かない。寝具の充実も良いが、珍具の妄想も相当くだらなくて、楽しい夢の肴になりそうだ。

究極の睡眠環境の第二条件は、また今度書きたいと思う。こういうことを言って文章を中断すると、だいたいウヤムヤになってそのまま書かないケースが多いが、その場合は多めに目を瞑ってほしい。そうして目を瞑りついでに眠りに就いていただければ、私も執筆をサボったかいがあったというものである。

皆々様におかれましても、本日もよく眠れますように。睡眠環境整備士の夜はまだ、始まったばかりだ――。

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