早起きは結局何文の得なのか?

今朝はいつもより早くに目が覚めた。若人(わこうど)なのに「朝までぐっすり眠れない」という老人のような悩みを抱えている私であるが、昨晩もやはりあまりぐっすりとは眠れず、変な夢を見ては目を覚まし、またウトウトと眠りにつく、というのを繰り返していた。

一度目、二度目の夢は覚えていないが、三度目の夢の舞台はのど自慢大会で、私は舞台の様子を俯瞰で見ていた。出場した若夫婦のご主人が低音ボイスで妻への愛を歌い、高校生の吹奏楽団が上手くもなく下手でもない伴奏をしていた。ご主人の歌が終わって転換の場面になると、ステージ脇でスタンバイしていたアシスタントの若手芸人コンビが写し出され、コンビの片方がちょっとしたギャグをした後、相方のズボンをパンツごとズリ落とした。うわ、生放送なのにヤバい!と思ったが、相方が中に着ていたワイシャツの裾がかなり長かったため、大事なところが見えずに済んだ。

うわー!どきっとしたーー!

と、この瞬間に目覚め、あまりのしょうもなさに「はぁ…はぁ…これどんな種類の悪夢…?しょうもな…」と再び眠りにつく気力も失い、本格的に起床することにしてみた。遮光カーテンを少しだけ開けると、すっかり太陽が高くなった外の光が燦燦と輝いていた。これはかなりの爽やかさだ。

くだらない朝の幕開けではあったが、いつもより一時間は早く、それも自主的に目覚めたため(いつもは起こしてもらっている)、気分も爽快だった。早めに朝ごはんを食べ、早めにお風呂に入れてもらい、歯医者さんに電話してもらうと夕方には診に来ていただけることになり(最近歯が痛いのだ)、それでも時間が余ったため、お昼ごはんにモスバーガーを買ってきてもらえることになった。

モスバーガーは俗世を代表するハンバーガーチェーンであり、こういった外界の食べ物は私の憧れである。「監獄のお姫さま」という宮藤官九郎監督のドラマで、脱税で服役中の菅野美穂(演)がハンバーガーを「シャバの食べ物」といって貪るシーンがあったが、まさにああいうイメージである。塔の中のラプンツェル的生活ではとにかく手に入らない、それがモスバーガーであり、ハンバーガーであり、ファーストフードなのだ。

月に一度とないモスバーガーチャンスが予期せず舞い込んできた。これには私も大はしゃぎで、大切に保管していたモスバーガーのチラシをうっとりと眺め、どのメニューをいただこうかと至福の時間を過ごしたのであった。この時点で早起きにおける恩恵が窺えるとは思うのだが、なんでもコスパ時代の今だ。早起きから生まれたモスバーガーチャンスのコストを数値化しておいた方が、より世の中に早起きの有用性を示せるだろう。

そこで今回注文した商品を計算してみると、1280円となった。早起きは1280円の得だ。実際には家計から1280円を支出しているので、得しているのか損しているのかよくわからない感もあるが、とにかくその内訳はこうだ。

とびきりハンバーグサンドチーズ ¥440
フレンチフライポテトS ¥220
こだわり野菜のサラダS ¥240
玄米フレークシェイクティラミスレギュラー ¥380
= 計 ¥1280

いやめっちゃようけ食べるやん、というご感想はさておき、どれもこれも本当に美味しかった。正午になる前に買いに行ってもらったからかお店も空いていたようで、商品もすぐ出来上がり、サラダ一つとってもレタスがフレッシュであったりと良いことづくめであった。とびきりハンバーグサンドチーズは和風タレの部分とソース状のチーズが絶妙に合わさって本当にめちゃくちゃ美味しいので、是非外界の皆さま方にはお試しいただきたいところです。

さて、早起きのお得さを表現する際の貨幣単位は「早起きは三文の得」というように、「文」と相場が決まっている。ならばモスバーガーチャンス1280円も文に換算しておきたきところなのだが、そもそも「文」とは円に直すと一体いくらくらいの感覚なのか。さっぱりわからない。「早起きは三文の得だね〜」なんて軽々しく言ってきた自分が恥ずかしくなるくらい、三文が結局いくらなのかわからない。

そこで、「早起きは三文の得」について調べてみると、こんな記述を見付けてしまった。

"実は三文は100円ちょっと。お菓子を買えるくらいですね。この三文とは「ごくわずか」というニュアンスです。わずかしかないとしても得るものがある、ということ。また、もともとは早起きしても三文くらいしか得がないという感じで使われていたともいいます。よく見てみるとお得の得ではなくて「徳」なんです。得と同じ意味合いなので「早起きは三文の得」とも書きます。"

なんということだろうか。「三文は100円ちょっとだった」、という事実の発覚よりも、そもそも「得」ではなく「徳」だったという衝撃の方が強く、金額的なところが霞み始めたではないか。現世といえば徳を積んでナンボみたいなところがあるが、徳積みチャンスは早起きの世界にも転がっていたというのか。「早起きをして徳を積もう!」キャンペーンにでもなりそうな勢いだ。早起きは徳のツムツムだったというのか。

しかし、"三文とは「ごくわずか」というニュアンス"という説や、"もともとは早起きしても三文くらいしか得がない"という説については、ちょっと待たれよと言いたい。ちょっと待たれよ。現に今朝、私は早起きによって一時間ほどの空き時間を生み出し(買いに行ってくれるのは母であるが)、モスバーガーチャンスを得たのである。モスバーガーチャンスはそんな100円程度の些細なものではない。1280円相当のお得感のあるものなのだ。1280円というと結構まとまった額であり、ランチの定食だって食べれるくらいには価値のある額なのだ。決して「ごくわずか」ではない。

ここまで熱く1280円について語ったからには、是非ともこの額を「文」に換算しなければならないという責任感すらも湧いてくる。そこで苦手な算数に取り組み、スマホの電卓を叩いたところ、私の計算が正しければ「1280円=38.4文」という結果が出た。早起きは38.4文の徳だったのだ。三文よりザックリ十倍以上は多い。これは素晴らしい発見である。この発見が出来ただけでも、三文以上の価値があると言えよう。

もっとも、本当に徳の高い人はわざわざこんなどうでもいい計算に精を出したり、小数点第一位まで計算したりしなさそうだが、小数点以下にまでこだわる徳レベル低めの私であっても38.4文ずつ徳が積めるのであれば、これからもたまには早起きをして徳のツムツムを重ねていきたいところである。

【引用元】
「早起きは三文の徳」の三文っていくらくらい? | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93
http://www.1242.com/lf/articles/102055/?cat=entertainment,life&feat=chiba

HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞