ギルドハウス十日町は雇用を創出するのか。

なんだか難しそうなテーマを選んだようですけど、今回は雇用について、です。

結論から先に言うと、ギルドハウス十日町は、雇用を創出しています。

雇用というと、契約書なりで労使関係を結んで働いた分の報酬が給料(お金)になる、というイメージが強いと思います。自分もそう思って20年くらい働いてきましたし、仕事や納税で社会に貢献していると考えていました。

ですが、3年ほど全国を旅したり《住み開きの隠居生活》をおくるなかで、その考えも少し変わってきました。なぜなら、従来からあるイメージの雇用とは違った働き方を実践していたり模索している人たちにたくさん出会ったからです。

そもそも雇用があるのは、人が幸せに暮らしていくためのものであって、生活保障となるべきものです。そう広義的に捉えれば、雇用の形はいろいろあっていいように思えます。

たとえば、ひとりあたりの労働時間を短縮して仕事を分かち合うことで雇用を増やすワークシェアリングという考え方があります。また、政府が全国民に無条件で生活保障金を支給するベーシックインカム構想が取りざたされています。

それらの構想がクローズアップされる背景には、人工知能やロボットなどによって雇用が減る危機感とか、社会保障サービスをベーシックインカムに一本化して行政の無駄を削減するだとか、いろいろあるようですけど、つまりは雇用情勢の改善につながればということですよね。

すでに、残業ありきのフルタイムで働いてもこれ以上の生産性向上が見込まれず給料も上がらないワーキングプアなんていう“働く貧困層”が生まれているくらいですから。日本の統計では全世帯の2割以上に及んでいるそうです。だからいまのうちになにか手を打たないと、という動きが活発になるのも当然のような気がします。

では、ギルドハウス十日町ではどうしているのか。

難しいことを考えず、とにかく自分の家での生活が楽しくなればと思って、いろいろ仕掛けています。その考えの基本にあるのは、「本来は稼ぐ必要のあったお金をどうやって減らすか」というものです。

ベーシックインカムでいえば、なにもお金だけを保障する必要はないと思っています。ギルドハウス十日町のアプレンティス(徒弟制度)では住まいと食事を保障します。その代わり家事や地域の行事のお手伝いを担ってもらいますが、本来かかるはずの家賃や食費を無理して稼がずに済んだ分、空いた時間を好きなことにかけられます。

ワークシェアリングにおいてもギルドハウス十日町では、みんなで古民家をセルフリノベーションしたり、その場に居合わせた人たちでアイデアを出し合ってユニークな活動を生んでいます。時間もコストも労力もシェアし、そのうえ多くの学びや仲間が得られます。お金をかける必要が少ない分、アイデアが出るので、いい物事の生まれることが多いようです。

さらに、4月1日に募集を始めたサポーターズサロン。第2・第3の拠点を得ようとしたら本来はけっこうな投資が必要かもしれませんけど、月々1,000円からの少額負担で済みます。サポーターとなればギルドハウス十日町を試住やサテライトオフィスとして活用できるんです。しかも、個性豊かな住人たちや全国・海外から延べ3,000人が集うコミュニティを、自分のやりたいことに活かせます。

ギルドハウス十日町でいうところの雇用では、アプレンティスやサポーターのように、本来は稼ぐべきだった家賃や食費などを報酬としています。結果、そうした仕掛けが人を呼び、ほんの微力かもしれないけれど地域にも貢献していると思っています。

「それって給料というかお金はもらえないってことだよね?」

と思うかもしれませんけど、いまあなたがもらっている給料って、本当に必要十分で価値あるものですか?家賃や食費を稼ぐために、必要以上の時間をかけていませんか?自分の時間を奪われていませんか?だからやりたいことを見つけられないし、好きなことができないんじゃないんですか?

もし家賃や食費を稼ぐ必要がなくなったとき、その分、空いた時間を、あなたは何に使いますか?その使い方を考えたり実現するための場、仲間、時間はありますか?

たった6件しかない中山間地域の新潟県十日町市、津池集落。そこにギルドハウス十日町があるんですけど、ある日のこと、その集落のおばあちゃんが言いました。

「あんた、よく稼ぐねえ」

と。

隠居している自分は「え?」と思いました。ひまつぶしに、ただ薪を割っていただけなんですけど。

「いやいや、なにも稼いでないですよ。薪を割ってもお金なんて入らないし(笑)」

と返事したら、おばあちゃんは優しく微笑んでいました。

「稼ぐ」という言葉は、もともとお金を得るという意味ではなかったんです。仕事において、いつのまにか「報酬=お金」となっていったんでしょう。

自分の楽しく幸せな生活のため《何のために稼ぐのか》、いまこそ考え直すべき時なのかもしれません。

よかったらサポートをお願いします。もしくはギルドハウス十日町へ遊びにいらしていただければうれしいです。