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ありがとう「ギルドハウス」

今回の記事はギルドハウス十日町のアドベントカレンダーのためにご近所さんが執筆してくださった文章を転記したものです。

ギルドハウスが津池集落に住み開きの家としてオープンして3年半。
なんと7,200人の来訪者が有ったなんて信じられない、夢みたいです。
豪雪の限界集落。住人は減るばかり、まして若い人が出入りするなんて怪しいと思うのも無理からぬこと、当初村人は不安な気持ちで遠巻きに傍観していました。

オッと私が何者か自己紹介をしなければ話が見えませんね。
私はギルドハウスの斜め前の家、みんなが「デンキハウス」と言っていた家に生まれ育ちました。町で理容室を営み、高齢者となった今は5日に1日の営業と自然農を妹と二人でやっています。「半農・半X」を理想な生き方とする人がいますが、私の場合「半農・半理」。食に関しては自給自足に近い生活。あまりこだわらないベジタリアンってところかな。
20年位空き家になっていた私の生家(津池)を、何かに活かせないかとずっと大切に管理してきたのに、なかなか良い活用法も浮かばず、解体もやむを得ないと思っていた矢先、絶妙なタイミングでハルさんと出会いました。

ある日津池に行くと見慣れない若者二人がギルドハウスの前に居ました。
「君たち、チョット手伝ってくれない!」と声をかけたら、「いいですよ!」と爽やかな返事が返って来た。30kgくらいの土壌改良材を軽々と車に積んでくれ「何時でも手伝いますよ。声をかけてください!!」笑顔でそう言った。
感じ良いじゃない。言葉も丁寧だし、お行儀もいいし悪い人たちではなさそう
それが私のギルドハウスの第一印象でした。

それからすぐにパーティに誘われた。行ってビックリ。これがパーティ!?
ご馳走あまり無い、お酒チョットだけ、おしゃれもしてない。
15人ほどの若い男女が何やら熱く語っている。「この人たち何者?」傍にいた男性に聞くと「僕もよく知らないんですけど、建築関係の人みたいですね」そう答えたのがハルさん。

ハルさんと話しているうちに「ネ、私の家も貴方活用できない?」
さっそく翌日家の中を案内すると「明日からでも使いたいです!」あれよあれよで話は進み、結局ギルドハウスの離れとして使ってもらっている。
いろんな人が、外人さんもいたりして。「ここはいったい何処?」って感じ。
最近のハルさんの話では「今までに千人は訪れたと思います」だって。スゴイ!!

あれから3年、とっても残念だけど今年の10月末、デンキハウスは解体してしまった。
何時までも使ってほしかったけど諸事情でやむを得なかった。ゴメンナサイね!

お節介姉妹で迷惑だったかもしれないけど、私達おばちゃん姉妹はとっても楽しかった。
年齢を忘れて踊ったり、はしゃいだりハグしたり。
妹はパーティに誘われるたびにイソイソと料理を作って持っていったりしてね。

津池集落の昔からの言い伝えを少し書いてみよう。
今から850年くらい前、紀伊の国(今の和歌山県)から3人の男兄弟がこの地に辿り着いて村を興したと聞いている。最初は山の奥で洞穴生活をしていたらしく、母の子供のころその形跡が残っていたと言っていた。その後現在の津池集落になるにはどんなドラマが繰り広げられたんだろう。津池に来られた人は解るように農地にするには平地が少ない。
昔は自給自足の生活だから狭い農地では限界がある。18軒がMaxだったようでそれ以上は他の地で所帯を持つことになったのも必然だった。
最初の頃の地名は「露池(つゆいけ)」と言っていたがいつの頃か「津池」になったらしい。
苗字も「藤原」を改め「小林」になったと書かれた文章を見せてもらったことがある。
私が子供のころは確かに18軒あった。子供も大勢いて賑やかだった。
貧しくても不便でも村中親戚や家族の様に暮らしていた。絶景ではないが自然の懐に抱かれているような安らぎがあった。温かいぬくもりがあった。
ギルドハウスはあのころの津池に似ている。なぜかしら懐かしさを感じる。
3年間の実績が地域の信頼を得、なくてはならない存在となった。
ハラハラする事も、目が点になる事もいっぱいあるが、子や孫を見るように見守っている。

町の我が家を改装して「しゃべり場・ふらんく」を開設したのは17年前。
ギルドハウスを「住み開きの家」という言葉で表現したハルさん。
「しゃべり場」もそれに似ている。誰でも気楽にしゃべれる場所を目指した。
「血族を超えた家族を創りたい!」これが私の人生のテーマのような気がします。
高齢化、少子化問題は、今や社会問題になっているが、果たしてそうだろうか。
高齢者に肉体的自立は難しいが、豊かな知識と経験を活かし、お互いが助け合い、補い合う事で解決できることもたくさんあるはず。
できるだけ医療に頼らない、福祉に頼らない生き方こそ大切なのではと考える。
もっと積極的に生きよう! もっと楽しく生きよう! もっと健康で幸せに生きよう!
ハルさんの「死ぬまで楽しく暮らす」生き方はとても共鳴します。

ハルさん、津池にギルドハウスを立ち上げて下さってありがとうございました。
住人となってくださった方々、多くの訪問者のみな様、ありがとうございました。
20年以上空き家の管理をしてきたはこの3年間の素敵な体験をするためだったのですね。
お陰様で自分では想像もつかない楽しい素敵な体験をさせていただきました。

来年も今まで以上に素敵な出会いと冒険が有ります様お祈りいたします。

小林 香代江

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西村 治久《ソーシャルな隠居》
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