見出し画像

「地味で小さな題材でも構わない。良いものは情熱をもったチームから生まれる。」- by Locomotive <vol.4>

WORKS GOOD! MAGAZINE インタビュー第4弾は、昨今AwwwardsCSS Design Awardsなどで多数賞を獲得している、カナダ モントリオールにあるデジタルエージェンシー Locomotiveです。彼らがどのように働き、なぜ良質なコンテンツを作り続けることができるのか、その理由に迫っていきます!

Question 1:
まず初めにLocomotiveについて教えてください。

私たち Locomotive はカナダのモントリオールに拠点をおくデジタルエージェンシーです。2006年に創業して、今年で11年目。20名のメンバーが所属しています。全員中途採用で集まったメンバーです。中途採用しかしていません。この仕事は、クライアントをプロフェッショナルとして、クライアントに求められる問いに、答えをしっかりと提示しなくてはなりません。それができるようになるには、ある一定量の経験が必要だと考えているため、中途でメンバーを採用しているのです。

私たちはこれまで、主に3つのタイプのサイトを制作してきました。1つめは、地方自治体のサイト。2つめは、一般企業のサイト。そして3つめはスポーツ団体のサイトです。カナダのスイミングチームから始まり、ラグビー、バレーボールなど大きなスポーツ団体のサイトも制作してきました。

どのサイトを作る際もユーザーにストレスを与えないよう、どのデバイスでも見やすくて、シームレスなサイトになるように心がけています。

Question 2:
他のエージェンシーを通して仕事をすることはありますか?

私たちを説明するのにもってこいの質問ですね。他のエージェンシーを通さず、すべてインハウスで仕事を完結させています。そのために社内には、プロジェクトマネージャー、デザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクター、デベロッパー(フロントエンド、バックエンド)がいます。

また独自のCMS 「CHARCOAL」も開発しました。WordPressなどメジャーなCMSもありますが、チームにとっては、どの案件も「可愛い子供たち」です。そんな可愛い子供たちに使うCMSも、自分たちが作ったCMSを採用するほうが、より愛着やプライドをもってチームで制作を進められると考えているからです。「CHARCOAL」はオープンソースで公開しているので、ライセンスを気にせずに、誰でも使えるようになっています。ぜひ使ってみてください。


Question 3:
どのようなワークフローで仕事を進めていますか?

プロジェクトがキックオフしたら、コンテンツから考え始めます。戦略部分をまず考え、どのようなタイプのコンテンツを作るべきなのかを明確にし、UXS※について考えるという手順でプロジェクトを進めていきます。その後デザインを考えるフェーズに入り、UI/UXデザイン、アートディレクション、プロトタイプ制作を並行して進めていきます。私たちのチームでは、プロトタイプを作ることは最も重要なことだと考え、できるかぎり早い段階から着手し始めます。プロトタイプを見てもらうことで、クライアントは、どんなものができあがるのかを実際に体験することができ、より理解を深められます。その後、プロトタイプで合意したものをデザイン、開発していきます。

※UXS
User Experience Strategyの略。

Question 4:
誰が案件を受けるか否か決めていますか?

とてもいい質問ですね。私たちは、関わった案件で誰かを刺激し、活気づけたいと考えています。つい最近リリースした産金※についてのサイト Majorは、いい例になるかもしれません。産金と聞いて「かっこいい!」と思う方はいないかもしれませんが、私たちにとって、そんなことは問題ではありません。重要なのは、クライアントです。クライアントが、活気があり、刺激し合いながら一緒に楽しく働ける相手であるかが重要なのです。一見、地味で小さな題材であっても、創作意欲とチームワークさえあれば、良いものは必ず作れます。お金も判断基準にはしていません。チームメンバーが楽しめるかどうかで仕事を受けるか、受けないかを決めています。

※産金
鉱山などで金(ゴールド)を産出すること。中国やオーストラリアが、生産量トップとして名を連ねる。


Question 5:
“お金は関係ない”と言われていましたが、お金のために仕事を受けることはありませんか?

10年前(創業時)は今とは状況も異なり、お金のために仕事を受けることもありました。でも今はお金以外の、先に述べたような「ちゃんとした理由」のために仕事を受注したいと考えています。お金を稼ぐより、チームがハッピーでいられる方を優先したいのです

Question 6:
スケジュールを作成する際、時間で計算していますか?それとも人日?それとも他のやり方ですか?

時間で計算しています。1時間$100として計算しています。時間のほうが、かかる費用を算出しやすいためです。またクライアントに対しても、時間計算が、費用を一番クリアに提示できるためです。例えば300時間の案件があるとします。その案件の制作を進めていく上で、半分の150時間に達したときになんらかの措置を管理側から出すようにしています。あと半分しか時間がないから、それに合わせてスピーディーに仕事をするように社内の担当者に促すか、時間が足りない可能性があることをクライアントに伝え、15%の追加費用をお支払いいただくか、どちらかの措置をとるようにしています。

私たちはクライアントと協議し、発注段階で、追加費用に関する契約を必ず締結しています。なぜなら、クライアントの担当者が代わるなど、プロジェクトには未知のコストがかかることがつきものだからです。


Question 7:
どのように案件がスケジュール通り進むよう管理していますか?

正直に言うと、スケジュール通りにいかないこともあります。そういった場合は、クライアントが本当に期待してくれていることを見極め、時にはスケジュールを延ばしてでも、それを完了させるまでやり切ることにしています。

また一度に複数の案件を受けないこともスケジュールを管理するためには、必要だと考えています。良い案件を適切な量で受けるようにしています。

Question 8:
会社としてどのように社員に働きやすい環境を提供していますか?

残業することもたまにありますが、なるべく18時には家に帰ることのできる環境づくりをしています。

そのほかには『Friday Locomotive』と銘打って、夏の5、6週間ほどは金曜日を休みにしています。『Friday Locomotive』では、みんなでプールに遊びに行ったり、ビーチパーティーに行ったり、アクティビティを一緒に楽しむ時間を作るようにしています。

あとメンバーの誕生日には必ずケーキを用意して祝ったり、サイトがローンチされたらシャンパンで乾杯をしたりします。乾杯することでその案件に関わったメンバーに「おめでとう!」と祝福することができる。そして「お疲れ様」という労いの言葉もかけることができます。彼らはそれに値する仕事をしているのだから、あたりまえのことです。

そのほかの活動については、私たちのサイト内コンテンツ[play]に掲載しています。ぜひみてください!


Question 9:
会社として取り入れている福利厚生はほかにも何かありますか?

この会社で働くメンバーは、お金を優先するか、それとも休みを優先するか、自分で選ぶことができます。お金が欲しい場合は休みを少なくし、休みを多く欲しい場合はその分の給与を減額して働きます。それぞれが仕事と休みのバランスをとりながら、給与を自分で決めています。なので、給与も人によってまちまちです。

Question 10:
最後に、「いい仕事」をするのに一番大切なものは、会社として何だと考えていますか?

チームです。正しい人選に基づきチームを組めば、案件やクライアントをよく理解し、チャレンジを恐れず、コミュニケーションを怠らず、良いサイトを作ることができます。チームが一番大事だと考えています。

※この記事内容は2017年4月公開当時のものです。

Locomotive’s SNS account
Facebook / Twitter / Instagram / Vimeo


前回までの記事はこちらから!

Vol.3:「小規模チームだからできることがある」- by WILD

---
WORKS GOOD! MAGAZINE twitterもぜひフォローお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?