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シンガポール華人の職場コミュニケーション

私は日系企業の駐在員としてシンガポールで働いている。会社体制上は現地子会社であり、日本人とシンガポール人で社員比率はちょうど一対一ほど。シンガポールは近年増加する外国人数に制約をかけるべく、ビザの発給要件に雇用者(会社)の現地国民率を加えていることもあり、他の日系企業も、この比率であることが多い気がする。

ビジネスの場は華人だけ

シンガポールのビジネスの場は華人しかいない。シンガポールはもともと約7割が華人で占められているが、特にホワイトカラーに占める割合は9割ほどの感覚だ。
直観的で大変申し訳ないが、インド系などはブルーカラーの職に就いていることが多いと感じる。地下鉄に乗っているとインド系のシンガポール人をよく見かけるものの、オフィス街でのビジネスの場では全く見かけないのは、そういった人種による格差がある。

華人の言語スイッチング

華人同士は、巧みに言語を使い分ける。私の職場のある華人は、英語・華語(≒普通話)・広東語・日本語を、状況に応じて採用する。
当たり前だが、職場の共通語は英語である。駐在員との会話、社内ミーティング、メールも英語が用いられる。ただ、華人同士は、仕事の話をしていても、感情が揺さぶられることがあると、華語に切り替え始める。

喜怒哀楽の感情が揺さぶられたときに、華語でより内面的な感情を示し、共感しあっているような感じだ。
彼らは私が中国語ができることを知っているので、私が居る場でも、そのスイッチングをする。例えば、私に対して、日本人の「偉い人」の文句を英語で言ってきたときに、

「对呀,为什么这样啊!(そうなんだよ、なんでこうなの!)」
「他不敢说!(こいつ言う勇気がないよ!)」

と中国語で訴えてくる。そういう感情のまま話すときは、家庭で使う華語の方がスラスラと言葉が出てくるようだ。

あとは、あまり他の人に話の内容を聞かれたくない時に、広東語を使っているように個人的には推察している。彼らが広東語を話すときは、いつもひそひそ話になっているからである(苦笑)。(華人全員が広東語を使えるわけではない。)

あと、数人だが、日本語を使える華人もいる。レベルはまちまちだが、最低限のコミュニケーションは取れる。スムーズではないので、複雑な会話の時は英語に切り替えるが、雑談をするときは、こちら側に寄り添うような形で日本語をで会話をしてくれる。

この4言語を巧みに使い分けて、状況に応じて感情や意図を伝える姿勢は非常に興味深い。
ただ、よく言われる使う言語によって性格が変わる、といったことはなさそうだ。幼い頃から、多言語を話してきたために、後に性格に影響を与えることはあまりないのかと感じた。

加えて、不思議なのが、上記のように華語で感情を表すのに、華人同士のオンラインチャットは英語、ということだ。教育も英語で受けているため、文面上は英語を第一選択肢として使うことがより違和感がないのだろうか。
場合によって使う言語を変化させるその基準は、我々外国人、いや(元)モノリンガルにとっては、想像しがたく、今度時間をとってもらって、職場の華人に詳しく聞きたいと思う。
何語で、話しかけようか。。





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