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期待とは裏腹に(下)

ーこの先のワクワク

ロシアのウクライナ侵攻が影を落としている国際スポーツイベントは、北京冬季パラリンピックだけではない。テニスをはじめ、水泳、柔道、モータースポーツなど、幅広いジャンルに累を及ぼしている。大会で好結果を残そうと頑張っていた選手はもちろん、それを楽しみに待っていたファン、売り上げや経済効果を見込んでいた関係者ら、いずれもガッカリだ。平和のありがたみをあらためて感じる。

関連リンク(連載「この先のワクワク」シリーズ):「期待とは裏腹に(上)ーこの先のワクワク」「国際大会、来月も目白押しーこの先のワクワク」「この先のワクワクー国際スポーツイベント

誰も望まない

共同通信によると、テニスは国際競技連盟(IF)主催の全大会が中止になったという。水泳は4月のアーティスティックスイミングと飛び込みのワールドシリーズ(カザン)、柔道は5月のグランドスラム・カザン大会の中止が決まったそうだ。自動車についても、9月のF1ロシア・グランプリ開催が取り止めになっている。

それだけではない。ロシア以外の国・地域への開催地変更も相次いでいる。例えば、4月に予定していたスポーツクライミングのW杯今季開幕戦、5月のサッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝、11月のカーリング欧州選手権がそうだ。集客や地域活性化を見込んでいた関係者には、大きな痛手になるに違いない。

ほかにも、スキーでは今季に残っているW杯のうち、開催地がロシアにある大会に限っては、中止あるいは開催地変更になる。世界的な新型コロナウイルス感染症の流行で、ワクワクするスポーツイベントが減る中、この傾向に拍車がかかりそうで、どうにも鬱屈うっくつした気持ちになる。こんな状況など、誰も望んでいないと信じたい。

ロシア国内でも

米CNNが人権団体「OVDインフォ」の報告を伝えたところによると、ロシア国内で発生した反戦の抗議デモで、24日以降に合計2692人が拘束されたという。モスクワでは少なくとも1370人が捕まったようだ。また抗議は少なくとも27都市で続いているらしい。

日本人にも馴染みが深いフィギュアスケート女子の銀メダリスト、エフゲニア・メドべージェワをはじめ、ロシアのアスリートや著名人も、インスタグラムなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じて、戦争反対を表明している。

こうした動きは、世界中を巻き込んで大きなうねりになりつつある。静観を決め込む中国を含め、各国のリーダーはそんな思いに応え、早く平和を取り戻せるよう協調して取り組んでほしい。国際スポーツイベントに一喜一憂できる日常が早く戻るよう祈りたい。

混乱と戸惑いの中、北京冬季パラは3月4日に始まる。(終わり)

(写真:『りすの独り言』トップ画像=フリー素材などを基にりす作成)

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