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二〇二一年・六月・二十四日
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冬の蜂

冬の蜂

明日こそ雪が降るかと床に就いたものの、杞憂に終わった。

もう長らく放ったままの庭には、植えた覚えも名前も知らない植物が随分偉そうに茂っている。

雑草というのは健気なもんで、丁寧に植え育てた植物ほど寒気とともに散っていくというのに、いつ見ても青々としているではないか。

そういえば彼ら、春には花を咲かせるのだろうか。

気にしたことなどなかった。

改めて庭を観察していると、

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片影のあるうちに

片影のあるうちに

日本の夏はまったく、ほんとうに蒸し暑い。

最近では猛暑日が何週も続くようで、これでは早々にくたばってしまう。

日向を歩いているだけでも腕毛の焦げる匂いがしてきそうなものである。

それでも土曜夕方の散歩は欠かさず、寧ろ行かねばならないという使命感すら感じる。

子供の頃の習慣が抜けていないないだけであるが。

それがいつから続いている習慣なのか、私の物心がついたころには当たり前のこととなってい

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