風船になりたい

社会的な責任もすべて放棄して飛んで行ってしまいたいときがある。
会社では詰められ、逃げ場だと思っていた親にはうまく伝わらず「頑張れ」と言われもやもやが続くようなとき。
どうせ誰もわかっちゃくれないし、分かろうとしてくれないだろう、全部自己責任だろうと塞ぎ込んでしまう。
そんな自分にも嫌気が差してしまうが、なにかしようと思う気力も湧かない。
そのまま時間だけが過ぎて、何も残らなくなる。
そしてまた朝が来て、会社で仕事。それを繰り返す。
こんなはずではなかった。
もっと自分がうまくやれると思っていた。
そんな見通しが甘かったことに、もううんざりだ。
そして、もう限界だと悟る。
自分はもうだめだ。
何もかもがうまくいかない。
何かが間違っている気がする。
いや、きっと間違いだ。
生まれた環境や才能や努力の方向を間違えたのだ。
もうダメだ。もうおしまいだ。もう疲れた。
そうして僕は全てを放り出してどこか遠くへ消え去ってしまおうとする。
(またこの夢か……)
いつものようにそう思ったところで目が覚める。
そんな夢を見ては飛び起きて、でも結局何もできなくて、 そのまま暗い部屋の中で、また眠りにつく。
そしてまた、いつもの朝が来るのだ。
そんな日々は続くし、日々を送るためのコストもかかるから
嫌でも働きに出ていく。
楽しいかどうかなんて関係なく。
思っていた以上に人生は残酷だ。人生はもっと楽しいものだと思っていた。
でも、現実は違った。
何もかもが嫌になって、投げ出すのに十分な理由になることを知った。
この夢を見るたびに思う。
もうやめたい。どこか遠くへ消え去りたい。もう無理だと悟る。
いや、本当はわかっている。そんなことは不可能だと。
そんなことをしたら家族や周りの人たちに迷惑がかかるし、いろんな人に心配もかけるだろう。
そんなこと僕は望んでいないし、できることならみんなに祝福されて幸せになりたいのだ。
そんなことすら今の僕には許されない。
ただ、それだけが僕の現実だ。
この夢も、そんな辛い現実になんとか折り合いをつけようとした結果なのかもしれない。
そんなことを考えているうちにまた朝が来る。
そして、僕はまたいつものように仕事へ出かける。

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