見出し画像

【向日葵は枯れていない!】5.ギラヴァンツ北九州ミニレビュー~第6節 vs FC今治

良い試合内容が続きながらも、なかなか勝点3に結びつかない中で迎えましたアウェイ今治戦。次節の大宮も含めましてスタートダッシュに成功したチームとの対戦が続きます。
そろそろ結果が欲しかったところでしたし、ここで結果を出せれば自分たちの実力にも自信を持てるようになる。
そんな大事なゲームであったと思います。
多くのサポーターが関門海峡、しまなみ海道を渡る様子が伝わってきました。小倉駅ではPVを実施、北九州の街全体でギラヴァンツを支える雰囲気をつくるためにも勝利が求められる一戦でした。

振り返ります。

1.試合結果&スタートメンバー

J3第6節 今治-北九州 メンバー

連戦ということもあり、メンバー構成上の都合、そしてここまでの今治の傾向(クロス多用※FootBallLAB参照)を踏まえましても、今治に自陣サイドから楽にクロスを上げさせたくないという意図が伝わってくる4バックスタートと読み取りました。前線は前節FC大阪戦の後半機能していた1トップ2シャドーの形です。前節可能性を感じさせたOFM(15)小林里駆、そして力強いセービングを魅せていたGK(27)田中悠也も引き続きスタメンで起用されます。

前節スタメン、負傷交代したFW(18)渡邉颯太はメンバー外となりましたが、FW(10)永井龍がベンチに戻ってきました。

今治はいつもの4-4-2ですが、CF(10)マルクス・ヴィニシウス、(29)アンジェロッティの強力2トップが目を引きますね。

2.レビュー

(1)「テーマ性」を感じさせる守備

対戦相手のストロングを封じながらゴールの可能性を高めていく「攻守一体」のゲーム運びが徐々に出来始めている「増本北九州」。
今日も今治の特徴をしっかり踏まえた試合の入りであったと思います。

少々今治のデータを確認してみたいと思います。

好調の今治ですが、実はここまでのボール保持率は42.1%とリーグ最低を記録しています。更に興味深いのがもうひとつのデータです。

同じく「FootBallLAB」の「AGI」という指標です。
この指標で今治はリーグ4位をマークしているのですが、この「AGI」とは、攻撃時間のうち、相手ゴールに近い位置でボールを持っていた時間の割合が高いこと、そして、攻撃が始まってから、敵陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が短いことを表す指標なのです。

つまり今シーズンの今治は、ボールを相手に持たせ高い位置で奪還し、ショートカウンターに繋げるサッカーを志向していると読み取れます(または自陣からのロングボールか)。

そこでこの試合の北九州は、今治陣内でのハイプレスから押し込み、自陣に囲い込む、つまり今治をゴールから遠ざける作戦をとったのでした。
特に(10)ヴィニシウスと(29)アンジェロッティに高い位置で持たせないよう徹底していました。
この守備が序盤からハマっていたように見えました。

今治の2CBに対して北九州は1トップ2シャドーの3枚でプレスにいける点も噛み合わせとしてよかったですし、今治CH(6)T.モスキオンに必ず人をつけて中央へのパスコースを制限していた点も効いていました。

この戦術は、最終ラインも高くなる分リスクも高いのですが、CH(34)高吉正真、(11)喜山康平の第2ラインで比較的相手ボールを奪還出来る、そしてCB(50)杉山耕二、(13)工藤孝太のスピードを考慮すると非常に理に適った戦い方ともいえるのです。

更に浅いラインを今治に突破されそうになっても各選手のネガトラが速く、大きなピンチはそんなには無かったと思います。

寧ろ危なかったのは自陣で構えた際にボールや人に寄せる第一歩が少々遅れていた点でした。しかし、この点についても雨天のピッチコンディションを踏まえれば致し方ない面もあったと思います。

(2)そしてショートカウンター発動

そして高い位置で奪還できれば、ショートカウンターでゴールに迫れます。
今の北九州にとっては得点を奪うための合理的な攻撃を展開出来ていたといえます。しかし、前半はボックス脇やポケットからのクロスをことごとく相手に当ててしまっていました。早く得点を奪いたいという心理的な焦りもあったと思います。

しかし、焦れずに攻め切りましたね。

味方スローインをロストしないといった原則の徹底をモノにしたプレーでしたし、左に人をかけて相手を寄せて、右に振って折り返す。それまでとは違い、ゴール前で上手く変化をつけられていました。
RSB(23)坂本翔が相手GKと交錯しながらもよく走り込みましたし、RSH(17)岡野凛平は嬉しいJ初ゴールとなりました。これを自信にしてほしいです。

得点後の試合運びに関しては、数分オープンになる展開があり、この間にピンチが数回訪れたのですが、よくその後もう一度締め直したと思います。
この時間帯、自陣に押し込まれながらも途中出場(10)永井を中心に前からの姿勢を失わなかったことも勝因であったと思います。

以上、簡単ではありましたが今治戦のミニレビューでした。
非常に大きな1勝です。素直に嬉しいですが、されど1勝です。
この得点の感覚を失わずに大宮戦に臨みたいですね。
その大宮ですが、宮崎戦を少し観ました。
杉本健勇はやはりJ3では別格であると思います。
彼に預ければ簡単に得点に繋がります。非常に抑えるのは大変な相手ですが、一方それで点が獲れてしまうせいもあるのか、チームの細かい部分の作り込みはまだまだという印象もあります。
案外、ライン間には差し込めるかもしれません。この今治戦のパフォーマンスならば勝機はあると思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
岡山のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

北九州大学(現:北九州市立大学)法学部出身
北九州は第二の故郷ということもあり、今シーズンからギラヴァンツ北九州もミニレビュー作成という形で追いかける。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?