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★つれづれ特番(読書感想文)_20221113

高見純代さん著書『愛』読みました

私は1年と3か月ほど図書館で働いたことがある。
それをきっかけに司書の資格もとった。
図書館で働いている人って本を「愛している」人が多い。
そういう人の中にいると、私はそれほど読書をしない人の部類に入るだろう。

物語は基本的に読まない。もっぱらビジネス本が多い。
ハリーポッターだけははまった。毎年発売日を待ってすぐに購入。一気に読んだ。最後の「死の秘宝」は、オーストラリアにいたものだからどうしても待てなくて原書で読んだほどだ。(あとで訳本を買って答え合わせをした)

そんな私がこの「愛」を読み、好き❤と思った。この本は純愛文学。

noteを始めてから「作家」さんと言われる方とつながりを持つようになった。
これまで「作家」さんとは、どこのどなたかも分からない、その人がどういう人であるかどうかはこちらの関心ごとではなく、むしろ「本」に書かれている内容だけをとらえて感想をもつことが私の普通であった。

『愛』を書かれた高見純代さんとどのタイミングでどうやってつながったか、もはや記憶にないところであるが、記事が気に入って「スキ」を押し、やりとりしているうちに出版されている本があることを知り、買って読んでみようと思った。
フィクションということであるので、この際、note上の高見純代さんとは別物として私は捉えて拝読させていただいた。

この読み方が正しいかどうか分からない。
でも、私自身、私がnoteに書いている記事について、時々、本人を超えてしまったものになっていることがあるように思っている。
もちろん、書こうと思う意志や書いている最中は私自身そのものであるが、書く内容が私というものを超えて、誰かに操られている感覚?書き始めたら止まらない感覚?ゾーンに入るとでもいうのか、自分から解き放たれた感覚を時々味わうことがある。
もしも高見さんの書かれたこの『愛』がそういうものであるとするならば、もはやこれは高見純代さんから解き放たれた一種の神秘的で完成された作品であり、そこに描かれる男女の純愛が圧倒的な力をもって、私の心をとらえた、唯一無二の純愛文学である。

さて、そろそろ中身を少々(本当は読んでもらいたいから)。

私のキャラ(柄)的に、エロティックな表現をすることは困難である。だが、この内容を語るに少々そういうことも書かねば感想を書けぬ。

この主人公の女性は、高見さんが作り上げた完璧な聖母マリア。男性との肉体関係をもたずして、深い愛情を知る。
(本人は出家を考えたので、キリスト教というより仏教ではあるが)

この男女は何度もお互いの肉体関係を求めながらもとうとう一線を超えることはなかった。女の方から「抱いて」と何回もせがむシーンは、この女性の気持ちが私の中に入り込み、「お願いだから抱いてあげてください」と思わんばかりのじれったさを何度も感じた。だが、裸体を描くという行為により、もっと深い部分でお互いを感じ、長い年月を別々な場所から愛し合うという選択をした。

この二人の背景に出てくるクラシック音楽や生け花、お遍路などについてはもしかすると作者の経験による肉付けが多いに活きているのかもしれない。
家族構成、両親との関係、職場での葛藤、ストレスによる記憶障害など、細かな設定が主人公の生き様をリアルに想像させる。

強いて、個人的な感想を書くのであれば、最後、福田さんと結ばれてほしいと願ったところかな。
この本の中で福田さんと結ばれることがないことは、読書素人の私にだって理解できる。
でもこの本のいいところは、主人公がまた新しい人と新しい人生を歩んでいってほしいと読者に思わせるところだ。少なくとも私はそう思った。架空の人物ではあるが、心からこの主人公の幸せを願う。そんな作品だ。

高見純代さま
大変すばらしい作品でした。
情熱と静寂。どちらも兼ね備えた感情のかたまりをバシバシと食らいました。
ありがとうございました。


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