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(キリ)クリスチャン人口の減少と「家族」

日本におけるクリスチャン人口は105万人であるという調査結果が、先頃、発表された(※2017年現在)。これは日本の人口の0.83%であり、2010年度以降、カトリック、オーソドックス(正教会)、プロテスタントというキリスト教派いずれも減少傾向に陥っているのだという。

https://www.christiantoday.co.jp/articles/26824/20190510/japan-mission-research-report-2018.htm

かつては2世、3世と代々キリスト教で、毎週日曜日には家族揃って教会に通う「クリスチャンファミリー」をよく目にしたものだった。教会が主催する日曜学校(日曜日などに幼児や児童を集めて行う教育活動のこと)には多くのクリスチャンの子ども達が通い、父も母も毎週日曜日の教会活動に専念した。クリスチャンファミリーの存在は、日本のキリスト教布教の一端を担い、その人口を底支えしていた。
しかし現在、キリスト教においては、そのような家族で信仰を守る姿は非常に珍しくなった。信仰は「個人の価値観に基づくもの」となり、異宗教夫婦があたり前になった。クリスチャン人口の減少は、こうした「信仰の個人化」が大きく影響しているのではないかと考えられる。

とは言え、クリスチャンには、血のつながりはないにしても、そこ(教会)には確かに「家族」がある。プロテスタント教会で、教会員同士を「兄弟・姉妹」と呼称するのは、クリスチャンは神の家族なのだという考えに基づくものである。
時代は21世紀となり、年号も平成から令和に変わったにも関わらず、教会に通う人々の顔ぶれは変わらない。教会で組織されている青年会と呼ばれる若者グループの人達は、過去に青年だった人達がそのまま年を重ね、「もはや中年会だよね!」といって笑う。
しかし、その「笑い」は皮肉めいた印象ではない。むしろ安心感のようなニュアンスを感じる。きっと変わらずにそこに居るということが「家族」にとって一番大事なことだからなのかもしれない。
(text しづかまさのり)

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