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助手席の異世界転生【毎週ショートショートnote】

急な残業で帰宅が遅くなってしまった。
普段は安全運転を心がけているが、今日は彼女の誕生日を祝う約束で、焦っていて、飛び出してきた自転車に気づくのが遅れた。
慌ててブレーキを踏み必死でハンドルを切る。
間に合わない!と思った瞬間、辺り一面に白い光が広がって何も見えなくなった。

「うぅ……」
目を開けると車の中だった。エンジンは止まっている。一瞬何が起きたのかわからなかったが、自転車にぶつかりそうになった光景が頭を過ぎり、慌てて車を降りる。
近くの電柱に寄りかかる形で、自転車と男子高校生の姿があった。
ちょうど気がついたらしく目をぱちくりとしている。怪我をしている様子もぶつかった形跡もない。

ひとまず安堵して車を確認したところで異変に気がついた。助手席が消えている。
「え、なんで」
思わず声に出すと高校生も車内を覗き込む。
「え、ここは俺が飛ぶ場面じゃね?」

そのころ助手席は、あらゆる世界の椅子を蒐集している異世界の王の元に飛んでいた。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「助手席の異世界転生」です。

普通にネタがかぶっている気がしますが、助手席のシートを飛ばしてやりました。
きっと自分のコレクションのためには、迷惑なことをする異世界の王がいるんです。
男子高校生は勇者になり損ねましたね。


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読んで下さってありがとうございます。
羽根宮でした。

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