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支え合い──唯一の前進の術

お久しぶりです。あすぺるがーるです。

最近、このようなツイートを見かけました。

自らの経験や客観的事実に基づいて、私はこのツイートに異を唱えたいと思います。


優秀な先行研究者はいる

発達障害を専門とした先生方の書いた論文やエッセーの書かれた学術冊子をお読みになったことはあるでしょうか。

『精神医学』(医学書院)の2020年7月号は、そのような雑誌のうちの一つです。

この他にも、『こころの科学』(日本評論社)の一部の号で、発達障害専門の医者ならびに研究者の論文やエッセーが掲載されています。


上記の『精神医学』の著者、内山登紀夫氏は、英国自閉症協会の設立者である精神科医のローナ・ウィング氏の勤務する病院へ留学していたことがありました。

ローナ・ウィング氏は、Asperger's Syndrome: a Clinical Account (アスペルガー症候群:臨床報告)という論文で、アスペルガー症候群もといASDの存在を広く普及させました。


何が言いたいかと言うと、発達障害の先行研究者はいるのです。

ただ、彼らは発達障害が世に知れる前から多忙で、当事者会にかかわる時間などないのです。


私も発達障害専門の病院に通ってますが、当時、そこは初診が1年待ちだったと母から聞きました。

初診までの長い待ち時間を超えない限り繋がることはできませんが、発達障害を22歳の私が生まれる前から専門にしている専門家は確かに存在するのです。


内山登紀夫氏はじめ、『精神医学』7月号の先生方のことを、発達障害専門の臨床心理士である母も高く評価しています。

決して、知識不足でも経験不足でもありません。


専門家なしには生きていけない

私は、母をはじめ、多くの専門家の方に支えられて生きてきました。

私に携わった専門家のうちの誰が欠けていても、今の私は存在しなかったでしょう。


発達障害当事者には、障害理解のある他者の存在が絶対に必要です。

『アスピーガールの心と体を守る性のルール』(デビ・ブラウン著、村山光子訳)では、それを「サポーター」と呼んでいます。


サポーター選びの基準の中には、「自分自身が幸せでポジティブな人」というものがあります。

サポーターには、その人自身が幸せで心のバランスのとれた人を選びましょう。傷ついた人同士では、上手なサポートは成り立ちません。


また、「サポーターと友人は、分けて考えなくてはありません」とも書いてありました。

これは、カウンセラーで言うところの「多重関係」を避けるためです。

サポーターとしての役割と友人としての役割を両立させようとすると、友人としての利害の対立や個人的な意見に影響され、良いサポートができなくなってしまうからです。


果たしてこのようなサポーターにふさわしい存在を、自助会だけで得ることができるでしょうか?


『アスピーガールの心と体を守る性のルール』では、専門家でなく、あなたをあなただからという理由で純粋に愛してくれる人をサポーターにすることを推奨しています。


しかし、私は疑問です。

あなたをあなただからという理由で愛してくれて、発達障害の特性を理解してくれる、サポート関係以外に社会的関係のない人。

そんな人に会った試しがありますか?


「それができたら、人生苦労しない!」

それが大多数の当事者の本音でしょう。


だからこそ、発達障害に関して正しい知見を持った専門家に繋がらなくてはいけないのです。


立場の違いを認め合うこと

専門家に支援を仰ぐうえで大切なのは、当事者と専門家は同じ立場にいないということを認め合うことだと思います。


同じものを見ても、立場が違えば認識も違います。

同じ形が、左の人から見れば「6」に見え、右の人から見れば「9」に見えるように。横から見たら「の」の字にも見えるでしょう。

しかし、そのどれもが間違いではないのです。


専門家はときに耳の痛いことをいうこともあるでしょう。

私にも、そのような経験がたくさんあります。

しかし、私はそれを致し方ないことだと思っています。母に代わって耳の痛いことをいうのが、専門家の方々の仕事なので。

どうしても不服なことがあれば、納得いくまで専門家の方と議論を重ねてください。少なくとも私のお世話になっている専門家は、それを許容してくださります。


とにかく、自分たちだけが最前線などとはいわずに、良質な発達障害の専門家につながってほしいと思います。









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