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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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2018年11月の記事一覧

(連作)みどり

夏の盛り裏庭深く穴を掘る名付けられ得ぬ境遇のため

大人しくなりぬ兎(と)はいま折られつつ暗き土踏む腕と二の足

雨の未だ降り出さぬ時眺められ死体の我には青短の無き

猛烈に奪われる程朽ちて居らず未だ優しさに涙する時

生命の猛りの如き土の香は脱兎を未だ容易く葬る

君忘れ眠るま昼間ようやくに親の居る子の寝床を知りて

遠く島眺める君と大き海で隔てられ月日(とき)は灰の染む文字

傍若で暴力的なみ

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(連作)きみはポラリス

日は沈む丘の向こうは柵の無い広場ポラリスは籠城が好き

いちめんの窓と軛を映し込む瞳が街だ一つも知らない

氷水出でませes(エス)の字の元へ支配するなど夜が裂けても

波をうつ道の上建つ住宅に居座る脈を抱え込む人

一日、冬 無記名の靴を丘に投げるsuddenlyていう僕の発愛

氷点下咲いてしまったから手折る言語以前で身篭った雪

浴場を取り囲む灯は橙で体温で泣く ふるさとに居る

北京では降

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(連作)風呂敷を広げた絵空事の街

「詩集を読んで、モラトリアムを慈しむ」

風呂敷を広げた絵空事の街 台風の目で少女恋する

まる見えで紡がれるものどこか愛 そらで描いた過去から未来

故郷を思い出してた立て膝を崩す 朝 すこし心遠くて

横顔は僕を知ろうとしない父 崖から海へ落ちてく木馬

朝焼けに碇を下ろし加速する夜を尻目に蒸気船ゆく

刑務所の横通り抜ける自転車で息止まるほど遠く角まで

光ってつかみ切れないから風か 母でな

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未来十一月号

えんえんとふくらむ一葉ぶら下げて出港のよな午(ひる)のスーパー

断続し流れるラジオ風邪薬飲んで白壁近付く一人
※「白壁に」となっていましたが歌の意味が変わってしまうので「白壁」に訂正しました。

口角に梅干しの味鬼を待つひかげはしずかひとりの盛り

アイアムアモンキーという礎よ 目下何もなき日々の衣よ

尖らせた鉛筆を持ち子どもらは悠久と思える窓辺に座る

まだ近い午前窓辺に差し込んで終わらぬ入

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