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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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記事一覧

【短歌連作】ウラオモテ

向き合ったせいで挨拶はこぼれてくはろー、メリークリスマスというからだ

どうしようかなという感じで来ただけなのに明日も草生えているこのとこ

寂しいていう感じもないけど少しの心配で草を生えさす

悩みや欲求もないことないが、太陽があるそのせいで草生えてくる

一人称はおおかみのすがたいっぴきといっぴきが群れをなす草はら

愛しがたいのはなぜなのだろう田舎の草いきれを吸う胸のなか

土のにおいがする

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●In-sect【短歌連作】【詩】

●In-sect【短歌連作】【詩】

これから何になるの、と聞かれて明日seaになるかもと言う

切符の欠けを手が気にしていて、気にするたびに汽車は出ていく

写真こぞうがあざみを撮るリズムのなかわたしたち無人駅の駅内に居る

それは前景と言えるようだった初夏風の音 君の汗 その馴れ初め

似合わないシャツを着てどこかへ出向く美しいは心の内にある

英語をみんな片仮名に変えて行く心地季節のなかでもう羽化をする

(insect)

T

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春へ、SOSをさようならで聴く

1,銀色

宇宙船の母体へSOSのラベリングが貼られていく

S、O、Sの種を撒くしつけのある動物として水を撒き続けていた

無垢な遊びをひがなしていて風邪をひくように体温を分つ

きれいに靴を揃えて来る兄弟は、楽器のような音で主張をする


男の子って理解できない 今日はヴァイオリンがこだまする部屋

酔っ払いの会場で単色になる夜みな顔ばかりほてらせる罪

細い指、サンドイッチを手掴みするとき

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12月短歌ー文庫本置く

ここのように見えないだろか皆の居るベンチの上に置く文庫本

朝人の靴と車の音ばかり五限目は皆が会ったっきりだ

存在が時に希薄になる夜雨待つと待たれるで人を統べる

濃紫の錨を鯨が吐くだろう君を思えるときの心持ち

電灯に大き未来が見えるかな私たちの方に根を張る赤ん坊

胃の中に降り積もる音ピーナッツひとつが眠る雪の最中に

小児科が内と外側を分けるなか上着を脱ぐ様に冬の雨降る

一時間は五十九分

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11月短歌〜幟はためくビークル犬

さようなら まだ今日のまま麦畑は雨後の意味なる旅客機の広み
口閉ざし色絨毯の上に待つビークル犬はたいようの温み
一片の折り紙の色の果てしなさクリスマスイブを知りきれぬひと
淡い酒飲む温度帯で肩を抱こ猫もいて猫以外も居る世に
まくらべに固きズボンを置いて寝る蒼い山さえあると信じて
ぱんだなる白黒の群れに遭遇すまた彩りを剥いでしまおか
秋雨は青の絵の具が擦り切れる幟はためくあたらしい町
向かい窓に君は

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(短歌)半径五メートル以内の視界

スローモーションをひとたびむすんだ僕たちが競技場内だけで満ちてゆき

結ばれたのは永遠の一部まじりけのないパスタ君とともにゆであげ

宙返りはいっしゅんでおわり飲みほし終えるまでの人生

入れ替わったり立ち回ったりこのところ太陽もさしあたってきてさびしい

なろうでつかさどる世界 かたまってしまった君を見ている

映し終わった朝きょりばかりなため花におはようと言う

どこか

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(短歌連作)さくら

夜のサイレンはしろかった窓のそと もうさくらがさき始めているのが見える

どうしてか見えないところでさくらさくあかりすこしずつかさまして行く

行けないだろう目の奥に輪郭結ぶとさくらわたしは川の一部をきいている

いくつかの防波防水防彩でぷつりとはじく春はわたしを

みづ そう思えばトラックも街を左右とわけへだてゆく

このひと 人のなかにある当たり前をへいきでわけもなく隔たりとして二人が似てきた

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《短歌》秋のしらなみ

両の手を塞いでしまえば愛のこと考えざるを得ない大きさ

のぞきこむその人が二卵性になる夜なら月が浮かぶだけの歌

ゆるくたつ逆さまにゆめのとりがくるしらなみ僕らがゼリーと呼んで

砂の上書いたものからさらわれて残照とあつい信頼を見る

したいだけの燃えているだけの蝋燭もその静寂の白い粘りけ

いくつかの種を真綿に並べ置きひと粒がミルク紅茶に沈む

みずうみの映しを期待とふれ回りその二度ともを澄み渡

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(短歌)描くひと、君の背中

大木の群生の中で白樺の夢見のようなアルファ派を追う

地下鉄へゆく入り口を探しては描く背中ならもう何処にもない

触れられない程を真中と呼ぶならば寂しさは真中分からぬ広さ

とっぷりは身ひとつのあやこの夜の真中にたてば水音立てる

風が吹くそのふたたびに顔見せる草はらが装った再会

炊飯器の目盛り手測りしてるまま起こされ秋のはじまりはみず

風邪菌の(ねむりなさい)という声

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(短歌)思い出のない八月

夏の窓 東の騒ぎに耳寄せてくぐもる声吐き朝の挨拶

屋根の上の淡色の布巾 かぜも無く間も無く一日が翌日を知る

月から金隣の国にも足掛けて表面アイスクリーム溶けてく

点在する穴に目を向け夜を聞き出でる時には放射状の人

夜行バスもあさがほの鉢もここにあり放射状の穴ひっそりと伸びる

ここ数日晴れてばかりの平坦にさらなる晴れ間のようなあじさい

殊勝なる最も消えないこの消しゴム立ち尽く

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(短歌)教育論・たまごやき数個入りのあたたか

うしろ指さしてときどき褒めてくるやわらかい色教育は絹

ダースベイダーも一人で並ぶレジ前のたまごやき数個入りのあたたか

ぐんじょうのビー玉のぞき込む子ども 申し訳ない外側の世界

提出をはかった皆んなも初めてはしたたかな飛翔 来てくれそうか

どたんばの自己紹介を覚えてる花束埋もれそうあのはつはる

上糸と下糸の織り下等なる生き物も食うひかりのなにか

水道の業者はシールにされてしまいこの本心が

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せんぱくのしょかんのもっともかそけき(短歌 七月分まとめ)

火は消せり 蕗の香の立てるキッチンできみどりのものひとつと数えて

からからにかわいたのどにせんぱくのしょかんのもっともかそけき波くる

うがいすれば未だ更新の頼りなさ洗面所の薄い影群に立つ

ぶらんこの足ふれぬままの地は救う すくわれぬも無くみどりが生えし

泡の下見すかすように臍見せたる僕等の若き誇りていふもの

止まらない吐気が僕を圧迫す孤独はおおきな月の腹なり

目瞑って大人となり

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あつい手–タクシーが留まる六月(短歌 六月七月詠みです)

若者の灰色のシャツの染みを見て猫達いくせんびきの濃き夏

恋愛の良いところ伸ばしゆく君もアボカドの種の綻びを持つ

なんとなく夏の海だねなんとなく小指立てれば人集まるとは

とりハムを作りし手のひら洗いおり塩と砂糖を摺りこみしとき

とりハムに声掛け違う例えればプール開きのあるという今日

生きること決めてから何もかも明るく可哀そうの歌うたえなくなりき

生きること決めたこ

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(短歌)連作「嘘それからにおい」

当然と思うのが日々 さよならは後ろからくる速度 かみなり

みんなして咲くなんて嘘 いちめんの香りは春のカモフラージュで

ばれてるのかなあ 這い出て見た朝に空を映すの昨日の雨が

独白も滑走もなく鳥たちは空に心を奪われて飛ぶ

せきばくの わたつみの深い青の中小さく尖る白い灯台

二足歩行 鉄のかたまり 寄る辺ない感情曲線テノールな船

風がくる 星も来ている 濡れている死んでく者を抱き

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