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アンディ・ラウのアクション映画。『バーニング・ダウン 爆発都市』香港・中国、2020年。


『桃さんのしあわせ』、『花椒の味』など、実力派アンディ・ラウの底力を見せつけるような映画が続いていましたが(個人調べ)、久しぶりにアンディ・ラウ(劉德華)主役のアクション映画を見る機会到来!

期待たっぷりで見に行きましたが、最近のアクション映画はリアル過ぎるのを忘れていました。人が死にそうなあたり、リアルが過ぎて、手足を失ったり、血が飛び散ったりしてハラハラきつかった。もっとそのあたり、適当にお願いします!(血に弱い私の心の叫び)

物語は、爆弾処理班のエースのアンディ・ラウが、油断から任務中に片足を失います。自信家のアンディは鬼のようなリハビリを経て、体力も回復して復帰を希望したにもかかわらず、現場の第一線から外され、広報担当に回されそうになり、自暴自棄になって仕事をやめてしまいます。そして、慰めを求めた先が、こともあろうにテロ組織。かなり大掛かりに、香港にダメージを与える計画を実行したら……というお話。

見ているお客さんは、いくら闇落ちしても主人公がそれはないだろうと思うかもしれません。でも、スペシャリストっていうのは別の言い方をすれば、他の手段を持っていない人たちなので、自分の絶対的な武器で世の中の役に立てなくなったら、自分をお払い箱にした組織や世の中への復習にも、やっぱり自分の特技を使うしかないんです。だから、映画のようになるのは9割方、アリです。

私も仕事先で見たことがあります。出世コースからは外れていたけど、実力も人望もあるAさんは、いつも、「俺は絶対○○なんて絶対しない」って会社や上司を批判していたのに、自分より優秀な後輩ができて、自分のなけなしの「実力派」立場が危うくなった途端、○○を利用して後輩を誹謗中傷して蹴落とそうとしましたから。人間って、そんなもんです。

もとい。香港のアクション映画とか、アンディ・ラウ主演の映画には、あんまり脚本の整合性とか人間洞察の深さとか求めても意味ないので、とりあえず、広東語のセリフを喜びつつ(中国版は全部普通話になっているので)、60才還暦をものともしないアンディ・ラウと劉青雲のベテラン2人のアクションを堪能するのがベスト。すごかった……

ベテラン二人に比べて、ヒロインが若すぎるのが残念で、可能であればもう少しベテランの域の女優さんがいてもいいかもしれないですが、でも、これはアンディ・ラウの変わらぬ若さを堪能する映画なので、仕方ないです。実年齢でいけば、定年間近の超ベテラン役(第一線にいるけど後進を育てる立場)になっちゃうアンディ・ラウに、青年エースを配役しているので。

アンディ・ラウと青年俳優の誰かで、『相棒』みたいな映画ならいいのかもしれませんが、そんな映画がアンディ・ラウらしいかというと、それもまた難しいかも。ベストセラー『13・67』のクワン刑事的な立ち位置のアンディ・ラウの映画がよさそうですが、殘念ながらウォン・カーワイ監督が映画化の権利を獲得したニュースが流れて早5年。監督が監督だけに、進捗は超スローが予想されて、別の意味で辛い。

ところで。映画のオープニングで驚いたのですが、この映画はシリーズ2作目なんですね。知りませんでした。1作目はいまいち話題にならなかったのでしょうか? ちょっと気になります。どんなストーリーだったんでしょう?

邦題:バーニング・ダウン 爆発都市(原題:拆彈專家2 )
監督:邱礼涛
主演:アンディ・ラウ(劉德華)、劉青雲、倪妮、謝君豪ほか
制作:香港・中国(121分)2020年


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