"ユメノハナシ"

男にはヒミツの話があった。
支離滅裂で理解を求めるには
難解すぎた。

男は「あ~夢か。」
そのような夢か現実かをはっきりさせる
意識はなく、思うように自分だけの
物語を紡ぐことができればよいのだが
自由なはずの男だけの世界は難解だった。

空を飛びたい。しかし飛ぶことはできない。
周囲の登場人物である友人だったり
漫画のキャラクターたちは
次々に飛び立っていくなか
男は何度も試みるが地上から足が
離れることはなかった。

飛び立っていく背中を尻目に
何秒か足を離すだけが
精一杯だった。

悔しく虚しさといったマイナスな感情を纏っていると
世界は別のストーリーへと移行する。

屋上を飛び回っていた。
一軒家の屋根を次から次へと飛び回り
ビルの屋上を駆け回る。
失敗することはない、わかるのだ。
目的や行き先という概念がないのか
意識はなかった。

いつのまにか世界はまたしても移る。
どこかの学校内を逃げ回っていた
恐怖の感情だけは感じることができた。
間違いなく "何か"から逃げていた。
正体はわからない。

しかし"正体はわからない"と思った
瞬間に何かが男の顔に襲いかかってきた。
反射的に足がでていた。

ガターン! ダーン!!

男は目を覚ました。
なぜだか目から涙がこぼれおち
身体は倦怠感に襲われていた。

事態の収集と覚醒まで
実に1分ほど。

男の住む部屋の襖は横の部屋へと倒れ
おそらくわたしの足が
当たったと思われる部分には穴が開いていた。

「またやっちまった。」

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