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「ラベル」

おもに洋服の裏側左横に縫い付けられている、 品質表示ラベルを鼻の下や頬っぺたに スリスリする。 また二つに折り曲げられ縫い付けられた ラベルを親指と人差し指で挟み シャカシャカする。 ラベる。 アン・ハサウェイ美しかった、 レ・ミゼラブる。 休日に会社から電話、 仕事でトラブる。 キリッとした旨さ、 キリン黒ラベる。 映画見てもラベる。 仕事で嫌なことあってもラベる。 酒のんで帰ってきてもラベる。 最近、お隣さん離婚したらしいわよ! お向かいの奥様別居中らしいわよ

    • しらんけど。

      兄は昔の写真をみると視線の先に 弟であるわたしを見ている写真が多い。 親に甘やかされて育ったわたしを 親の代わりに叱りつけることも多く よく言えば面倒見がよかった。 その反面、イジられることも多かった。 わたしが驚いたり、なにか言うと ゲラゲラ笑っていた。 23時頃、1周1キロほどの道路を二人並んで ランニングをしていた。 「愚弟よ。」 「なんだ愚兄よ。」 このころ北斗の拳にハマっており ラオウの口ぐせを真似していた。 愚かな兄弟だ。 「正常位のときに人間だけは向き

      • "家族になるということ"

        昔、勤めていた会社の同期が結婚式を するというので6~7年ぶりに連絡があった。 近況報告も兼ねて 身の上話に花が咲いた。 懐かしかった。 彼女は異性でありながら どことなく男性のようなさっぱりした部分と 女性らしい繊細さをあわせ持ち、 芸大卒の天才肌でもあった。 よきも悪きも何でも言い合える同期だった。 当時のように特に隠し事をすることもなく 些細なことから離婚から再婚したという 一般的にはナイーブな報告もした。 彼女も相手が女性であるということを 報告してくれた。「

        • 「世迷いごとと言われようとも。」

          初めてフラれたのは幼稚園児のときだった。 同じクラスの女の子にしつこく好きな子は 誰だと聞かれ言ってしまい すぐさまバラされてしまったのだ。 30を過ぎた今でも忘れられぬほど 戦慄が走ったことを覚えている。 その好きな子がスタスタ向かってきて 「わたしあなたのことスキじゃないから。」 ショックだった。 これが原因だったかは定かではないが 何度もフラれた学生時代を謳歌することになった。 それも恋に消極的になってしまったのか 告白もせず、あの子は誰がスキだとか 付き合っている

        「ラベル」

          午前2時のこと。

          そのときは静かにはじまった。 午前2時、どこからともなく引き笑いが 聞こえてきた。 わたしはいつものように#毎日note していた。 妻は眠っており、ベビーベッドから 視線を感じたのだ。 暗闇のなかにスマホで照らすと 覚醒した娘の姿があった。 その日は就寝後、寝付けないようで 苦戦したあげく寝ては起きてを繰り返し やっと寝静まった1~2時間後のことだった。 朝を迎えたかのように 大きく見開かれた目。 広角が上がりに上がった口元。 「mission1」 深夜2時。"ごき

          午前2時のこと。

          "違い" ※個人的感想※

          港の見える街はどの角度から見ても 絶景だった。 山から見える景色は一望だけではなく さながら"全望"が美しかった。 只、わたしには残念ながら 空気が合わなかった。 文字通り帰省をすると風邪を引き なぜだか鼻炎になる。 大阪の自宅へ帰ると、 いや空港に到着すると 回復するのだ。 過ぎ去れば早いもので 実家をでて人生の半分を 大阪で過ごしている。 大阪の空気こそ合っている。 住んでいた街ではエスカレーターに 乗る際、どちら側に立つか。 という問題がなかった。 そもそもエス

          "違い" ※個人的感想※

          「あんたが勉強するようになるとはね。」

          「小さいうちはお金掛からんよ。」 子どもができたときに様々な人に言われた言葉だ。 「いやいやめっちゃかかるやんけ。」 そう思う。 わたしは本当に。謙遜ではなく、 勉強しなかった。宿題は一度もこなしたことが なかったし夏休みの宿題を終わらせたこともなかった。それでも両親はなぜだか 勉強しろとは言わなかった。 言い訳にしかならない。 遅ればせながら子ができてやっと 補助金や税金・副業のことを調べはじめた。 おかげさまで多少は世間様のことを理解しはじめ なんとか活かすことがで

          「あんたが勉強するようになるとはね。」

          "さよならはまだ"

          いつのことだったか。 どれだけの時が過ぎたのかは わからない。 身は褪せ、劣化した姿で もう一度役目を果たすことができるのだろうか 今も待ち続けている。 相棒の姿を。主の姿を。 まださよならを言うつもりはなかった。 役目を全うするまでは 文字通り一心同体なのだから。 しかし突然別れは訪れた。 車の乗り入れを防止するための 太く冷たい鉄の棒にいま、突き刺さっている。 底は天を仰ぎ、足を入れるはずのフットベットには その鉄の棒が入っているではないか。 こんなはずではなか

          "さよならはまだ"

          "ユメノハナシ"

          男にはヒミツの話があった。 支離滅裂で理解を求めるには 難解すぎた。 男は「あ~夢か。」 そのような夢か現実かをはっきりさせる 意識はなく、思うように自分だけの 物語を紡ぐことができればよいのだが 自由なはずの男だけの世界は難解だった。 空を飛びたい。しかし飛ぶことはできない。 周囲の登場人物である友人だったり 漫画のキャラクターたちは 次々に飛び立っていくなか 男は何度も試みるが地上から足が 離れることはなかった。 飛び立っていく背中を尻目に 何秒か足を離すだけが 精

          "ユメノハナシ"

          「あの日から日を数えて。」

          .5月某日午前0時 「いらっしゃいませ。1名様ですね。」 ファミリーレストランの女性店員は わたしを店内へと案内する。 「テーブル席にしてもらえますか?」 わたしの要望に嫌な顔をせず、 窓際の4人掛けの席へと案内された。 「お決まりの頃お伺いいたしますね。」 マニュアル通りの対応を見送りメニューを 決める。 呼び出しボタンを押しオーダーをした。 「全部二つずつお願いします。」 少々強張った表情を見せる女性店員。 すぐさまオーダーを繰り返し 奥へと消えていった。 

          「あの日から日を数えて。」

          スマイルたこ焼きパーティー

          15年ぶりにあった同級生と 見知らぬ3人とたこ焼きを焼いている。 「なんだこの集まりは。」 あまりのおかしな光景に心の声が 漏れてしまっていた。 「君は社会に不満があるようだね。辛いだろう?」 座っていてもわかるほどの身長の高い 男性が言う。 「辛いなら言ってごらんよ。全部吐き出そう。」 示し合わしたかのように中背小太りの男性が 煽ってくる。 「仕事が辛いのかな?」 さらに被せてくるのは 小柄で髪が薄くなりはじめた男性だ。 思わぬ三段攻撃にたじろぐ わたしに同

          スマイルたこ焼きパーティー

          コンドームの "ねぇさん"

          今日も仕事が終わった。 次の日が休日とおもうと、 作るのも買うのも億劫になったので 馴染みの居酒屋へ足を運んだ。 カウンターだけの狭い店内の 向かって右側がわたし定位置だ。 いつもの位置に腰掛けると キンキンに冷えたビールと 塩辛がでてきた。 「うまい。」 一日が終わったという気にさせてくれる。 ビールをちびちび飲みながら 深夜番組をみていたら 一番奥の向かって左側から 声が聞こえてきた。 相当、酔っているようで 日が暮れてから飲んでいるそうで 手元には日本酒らしき

          コンドームの "ねぇさん"

          おっちゃん。

          「おーごはん食べたんか?」 夜ご飯の心配をしてくれているのは 7~8年来ずっと500円で日替わり定食を 提供してくれている "おっちゃん" だ。 おっちゃんの本名は知らない。 しかし身内以上にわたしのプライベートを 網羅しているお方だ。 23:50自宅近くの最寄り駅へ着いた。 仕事が長引いてしまい、 夜ご飯もまだだった。 気の効いた24時間営業のレストランや 牛丼が食べれるお店もなく 終電近くになるとコンビニか居酒屋を 利用する他なかった。 その日はお酒の気分ではな

          おっちゃん。

          "ソルティドッグとオムライス"

          「わたしと結婚するらしいですよw」 古い木製のドアを開くと開口一番に これだ。 「はい?」 少々飲み足りなかったわたしは 家の近くで足しげく通った 馴染みのバーがあった。 そこで働く女の子から変なプロポーズを されたところだった。 左の端に座る見慣れぬ男性も 馴染みの客のようだった。 その客が言葉足らずな言動に 付け加えるかのように言った。 「いやぁこの子がさ、早く結婚したいっていうから 次に入ってくる客にしたら?ってアドバイスしてた ところなのよ。」 甚だ迷惑

          "ソルティドッグとオムライス"

          "親愛なる父"

          「投げるぞ~取れよ! ほいっ」 投げられたボールは重力のまま まっすぐ土の上へと落ちる。 「…は?」 父に向けられたその一言と疑問のクエスチョンの 二文字で不満を表しているのは 小学生のわたしだ。 その日は父に誘われるがまま キャッチボールをするぞ。 ということになり あまり気乗りしないわたしを 半ば強引に公園へと誘い出したのだ。 気乗りしない理由は面倒くさいわけではなかった。 父との遊びは少し変わっていたので 嫌気が差しているのだ。 親子のキャッチボールといえば

          "親愛なる父"

          看板娘

          「あした大阪に帰ることになったわ。 じゃあねぇ~」 故意にあからさまに大人げなく そっけない態度で別れの挨拶をした。 「う、うん。じゃあね…」 引いた様子の彼女も簡単に 別れの挨拶を返した。 彼女の横にはわたしの先輩がいた。 楽しそうに会話をしている姿に 無性に腹を立てていたのだ。 わたしとその先輩を含む10名の営業マンが 大阪より東京に出向にきていた。 アパートを借り上げ男子寮のように 1Kの部屋にそれぞれ住んでいた。 中でも最年少のわたしと4つ上であった 先輩

          看板娘