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午前2時のこと。

そのときは静かにはじまった。
午前2時、どこからともなく引き笑いが
聞こえてきた。

わたしはいつものように#毎日note していた。
妻は眠っており、ベビーベッドから
視線を感じたのだ。
暗闇のなかにスマホで照らすと
覚醒した娘の姿があった。

その日は就寝後、寝付けないようで
苦戦したあげく寝ては起きてを繰り返し
やっと寝静まった1~2時間後のことだった。

朝を迎えたかのように
大きく見開かれた目。
広角が上がりに上がった口元。

「mission1」
深夜2時。"ごきげんなむすめを寝かしつける"

一歳を迎えた娘にとって
起きた姿であればベッドは窮屈なのだろう。
ごきげんだった姿は一変し、
グズり始めたのだ。

自身で眠ることもあるので
様子をみていたが眠るようすはなく
益々、覚醒していった。
自体に気づいた妻が布団の中へ招き入れるが
すぐさま飛び出る。

覚醒しきれていない妻は
覚醒しきった1歳児を制御するには
難しく妻は夢の中へと戻っていった。

まだ眠気が残っているという一縷の望みに
賭け、わたしは抱っこを試みた。
ダメだ。寝る気配はない。
Tシャツの首もとを引っ張り、顔を突っ込む。
メガネ外そうとし、ヘラヘラ笑っている。

寝る気配はない。
気分を変え、少し窓の外を覗いた。
少し興味が外に向き、
結露した窓にアンパンマンと
ドラえもんを書いて見せた。
満足そうに窓に書かれたそれらを
撫で回しキャラクターの原型がなくなった。

飽きてしまった彼女はわたしの懐から
飛び出ようとする。
熟睡中の妻の顔の上でうつ伏せで
睡眠を試みている。
寝心地が悪いようでうなだれる娘。
悪い夢を見ているかのように
うなされる妻。

すぐさま引き剥がし布団で寝かしつけよう
するが寝る様子はない。
興味は絵本へと向く。

絵本を出すだけだし「読め。」と
言わんばかりに差し出してくる。
電気はつけていない。
暗闇のなかでの読書タイムだ。

見えないのだろう。
引っ張り出すだけ出し終わった絵本と
おさらばし、時刻は2:30を過ぎた頃
再び興味は妻へと向かう。

顔をじーっと見つめ、
叩きはじめた。

再び引き剥がし長期戦を覚悟した。
わたしは柵で囲んだ遊び部屋へ
娘と移動した。
深夜2:45「おーきなくりのー木の下で~…」
滑舌の良い歌のお姉さんの歌声が
部屋に鳴り響く。

ひとしきり遊んでいる姿を見届けた
わたしも睡魔との戦いになった。
娘はオモチャとオモチャを叩きつけている。
それを尻目に瞼は重く瞑られていく。

危険とは皆無なゾーンと化しているため
安心してしまっている自分もいた。
先に寝てしまったが釣られて横になっている。
眠気はきていたのだ。

午前3時を過ぎた頃
娘は眠りに落ちた。

眠りに落ちた娘をそっと抱き抱え
ベッドへと誘うことができれば
ミッションクリアとなる。

わたしは息を止めミッションに
取りかかる。
抱き抱え、柵を越えた。

ベッドへと着陸態勢にはいる…
着陸成功だ。

起きる様子はない。
わたしは寝床へと潜り込んだ。

先程までの出来事が嘘のように静かな
時間がやってきた。

ー mission clear ー

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