村上 善行

本業は工場でカイゼン指導。 仙台で貧困家庭の子どもを支えるNPO「STORIA」のプロ…

村上 善行

本業は工場でカイゼン指導。 仙台で貧困家庭の子どもを支えるNPO「STORIA」のプロボノとして活動。 「STORIA 貧困の連鎖から愛情の循環へ」ワークショップ毎月開催していますので気軽にご参加ください! https://storia-sendai.peatix.com/

最近の記事

製造現場は人生道場 ①ケンカで生産が止まる

さて、生産現場では、ケンカで生産ラインが止まることがあります。 でもこのことは、決して上には報告されません。 報告のしようが無いからです。 「週次生産報告会」のような場所で 「えー 昨日は2時間の生産停止。原因は、オペレーター同士のケンカ。なかなか派手な殴り合いだったので難儀しましたけども。再発防止策としてはそうですね。和やかなデザインの壁紙でも張り替えたいと思います。」 なんて話は出来ません。「設備不具合」とか、適当な理由を付けて誤魔化されます。 例えば私が出くわし

    • 人は変わる

      私がいつも工場で話す”決めゼリフ”のようなストーリーがあります。 「工場の250名の従業員が幸せになれば、家族にも波及する。やりがいを感じ、チームに必要とされ、充実して帰宅すれば、そのことは家族にも伝わる。私たちの仕事は、1,000人の人々を幸せにする仕事だ。」 いつものように工場幹部と食事をしながらその話をしていました。 製造課長はうんうんと頷き、「2,3年前と比べると、工場内の雰囲気は見違えるようだ。」と言います。 すると、係長がこんな話を始め、私は嬉しく

      • 学歴を得るのも大変だ

        何か政治家の学歴が随分マスコミに取り上げられて騒がれていますが。 やれ卒業証書はあるし当局も認めている。だが卒業のプロセスが正当だったかどうかに疑義がある、云々。 「それを言い出すとキリが無くね?」と思うのですが、自戒と反省を込めて、私の苦い思い出話を。 私はどう大目に見ても、真面目な学生ではありませんでした。サボってばかりで単位は落としまくり。大学四年生の年末頃です。私は取得した単位を数え始めました。それまでは怖くって、数えてすらいなかったのです。本当にただの、現実

        • その言葉どういう意味?

          世の中で見聞きした表現なのだけれど、よくよく考えてみると言いたいことが分かるようで、分からない。言語明瞭、意味不明。 私が思う、そのような表現の代表的事例を紹介します。 ・プライベートは本人に任せています 芸能人に交際が発覚したときに事務所が出すコメント。この逆は存在するのかという。 「本人にプライベートはありません。仕事もプライベートも含め、当事務所が全てを管理しています。」 ・停止信号の為、停車します 電車内でよく聞くアナウンス。それ以外はあるのか。停止信

        製造現場は人生道場 ①ケンカで生産が止まる

          若い間しか現場に入れない

          私は製造業の現場で生産性カイゼン指導の日々を送っています。この世界では現場で培った経験がモノを言います。 社会人新人の最初10年くらいはずっと下積みだったでしょうか。工具箱を持って設備故障だらけの製造現場を、朝早くから深夜まで走り回っておりました。 当時の工具箱。私の「保全魂」の宝物としてずっと大事にしています。今は自宅のDIY用の道具箱ですが。 生産設備のオペレーターをしていた頃の「金差し」。 生産終了後の設備分解洗浄はオペレーターの大事な仕事のひとつで、金差しは手

          若い間しか現場に入れない

          移り行く車窓の風景② ~Push型からPull型へ~

          私の半生を振り返ったときに、車窓を流れるかのごとく、様々な心象風景がありました。 私は若干の経済的困難を伴って育ったこともあって、「世の中の人の役に立ちたい、必要とされる人間になりたい」という渇望が尋常なものではありませんでした。 目の前の全ての方をお客様と考える。雑用は全て引き受ける。 現場作業を一直二直の通し勤務のあとにようやくデスクワークに取り掛かる。 部署の飲み会には絶対に遅刻しない。仕事が片付いていないならば、飲み会の後に会社に戻って朝までに仕上げる。 どん

          移り行く車窓の風景② ~Push型からPull型へ~

          移り行く車窓の風景① ~列車の旅はなぜ楽しいのか~

          列車の旅って、独特の楽しみ、ワクワク感がありますよね。 子どもが座席の上にヒザを立て、窓の桟に手を掛け、口をポカンと開けて流れゆく車窓の風景を眺めている。その気持ちが分かる気がするのです。 きっと、流れゆく風景や、それぞれの町に特有の人や雰囲気、そういうものの移り変わりを「御縁」として味わって行く。 日本の列車は世界に誇る正確運行です。計画通りの旅を楽しみつつ、ランダムに現れる御縁も楽しめる。その安定計画性とセレンディピティの塩梅が絶妙なのでしょう。 「塩梅」な

          移り行く車窓の風景① ~列車の旅はなぜ楽しいのか~

          根源に遡れば、AIは怖くない

          「AIに将来仕事を奪われる職業リスト」みたいな記事がインターネットに溢れていて、AIによって職を失うことの不安が語られます。 AIは人間の存在理由を脅かす存在なのでしょうか?私は、人間が、その崇高な志を保っていれば何の心配も要らない、と思っています。 例えば 「世の中の貧困をなくし、全ての子どもたちに夢と希望を与えたい。」 「戦争の無い、全ての国が融和する平和な社会を実現したい。」 という志を持っている人が、仕事をAIに取って代わられたとしましょう。 「AIの

          根源に遡れば、AIは怖くない

          はい、笑って!

          私は世の中の細かい事々をあれこれ突き詰めて考える割には基本的なところが抜けている天然ボケな側面がありまして、そのようなお恥ずかしいエピソードをひとつ吐露させてください。 社会人も40を過ぎてから知見を広めたいと思い、社会人ビジネススクールに通いました。 コミュニケーション能力のオバケのような人々が巣食う場所です。コミュニケーションが苦手な私が最も不得意とする難関の試練が現れます。 立食パーティー。初めての分からない人と名刺を交換し、矢継早に小気味の良い会話をしなけ

          はい、笑って!

          言い続ける

          心の底から信じたこと、同じことをずっと言い続けることは重要だと思います。十年も、二十年も。 私は「ハッピーサイクル」という言葉を掲げて、工場の現場生産性改善に取り組んでいます。 従業員が俯いて仕事をしている。挨拶も無いし元気も無い。だけど業務設計が素晴らしいから成績はいつも良好、そんな現場を私は見たことがありません。 現場のメンバーが活き活きと働いていることと、会社が数字で業績を上げていることは必ずセット。であるなら、まずは皆が活き活きと働く環境を作るには何をすべき

          言い続ける

          楽しく結果を出す

          工場で働いていて、最近周りから得たフィードバックに、とても嬉しいものがありました。 「あなたと一緒に働いていると、仕事が楽しい。みんなが巻き込まれて楽しくやっているうちに、いつの間にか業績も改善している。」 なぜ嬉しいかというと、まさにこれこそが私が意図しているものだからです。 「楽しい」と「業務改善」は両立しない、と信じている人がいます。 業務改善は乾いたタオルを更に絞り上げる厳しい世界。従業員には厳しい自己犠牲を求めなければならない。 職場は仲良しクラブじゃな

          楽しく結果を出す

          やる気のない人はいない?

          先日インターネットの相談サイトを見ていて、「やる気のない新人社員をどう扱ったらよいのか分からない」という記事が目に留まりました。 私は会社員人生の中で何度か組織の責任を負う機会を頂きましたが、未だかつて、「この人はやる気が無くてどう接したら良いのか分からない」という経験がありません。私が極めて運のよい人物だったのか、あるいは勤めた会社が例外なく優秀な人材しかいないスーパー集団だったのでしょうか。 課題を抱えている人は必ずいます。家族や生活、健康上の課題等を抱えていて、

          やる気のない人はいない?

          どうぞ北陸へお越しください

          冒頭にまず、今回の震災にて被害に遭われた皆様方へ心からお見舞いを申し上げます。 影響を受けられた多くの方々が一日も早く、平穏な生活を取り戻されることを心より願っております。 地震の数日前まで、私は被害が大きかった地域を母を連れて旅行に周っておりました。 私の生まれ育った富山県西部の町は、実家のある山側は比較的大丈夫だったのですが、海側には未だ、元の生活に復帰する目処が立たない方々がいらっしゃいます。 昨年来、このnote記事にて日々の様々な出来事を雑記として書

          どうぞ北陸へお越しください

          何をしたかより、どうあるか。

          仏教的な考え方を人生のベースに置く私は、功徳を積むことで人間は成長するのだ、と考えています。 人の為になることをして、人は錬成される。評論ではなくて、実行のみ。 それは仕事に関しても一緒で、目の前の人みんなをお客様と考えて、今この瞬間にベストな、何をして差し上げられるか。それを続けるのが仕事道だ、と考え続けてきました。 しかし同時に、あたかも修行であるかのようにそのことを自分に課すると、時折逃れられないモヤモヤに捉えられてしまいます。 「こんなに助けているのに、なぜ感

          何をしたかより、どうあるか。

          コスト削減交渉

          年末は生産現場での厳しい折衝が続きました。 全米のグループで一番成績良いと言われている工場へ赴いての、更なるコスト削減の交渉です。 成績良いということは、筋肉質で、すでにそぎ落とすぜい肉が無い。そこを更に削り落とすよう要請しなければなりません。私は本社部門の一員として、上司のディレクターと同僚からなる4人ほどのチームで入り、どのような手法で削減を達成するのかを工場現場メンバーとともに協議します。 重苦しい空気、張り詰めた緊張感の場面が続きます。本社メンバーがMBA

          コスト削減交渉

          嫉妬が成長を阻害する日本 人格が成長を阻害する米国

          二十数年サラリーマン組織に向き合い、五十路になりました。 日本とアメリカの会社組織で経験を積み、色々見えてきたものがあります。 若い人の参考になれば、と思い記事に記します。同年代から年配の方々にとっては「今更文章にしなくても」という内容かもしれません。 ここに記すことを私が若い頃に知っていたならば、「もっと賢く振舞った」かもしれないし、或いは今まで通りのスタイルを貫いたかもしれません。たらればの話は意味がありませんが、将来に何が起こるかを予測する材料をより多く持っておくこ

          嫉妬が成長を阻害する日本 人格が成長を阻害する米国