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【弓道】大会で結果を出すために。

3月24日(日)に近隣支部開催の交流大会に参加しました。

この大会は任意のメンバーで3人1組のチームを組み参加する大会で、チームメンバーは支部混成メンバーでも構わない、その名の通り「交流」を主眼におかれた大会です。

私はこの大会に同じ支部の弓友2人とチームを組ませていただき参加しました。結果は団体戦24射20中、個人戦8射8中で見事優勝することができました。ここ最近、大会でよい結果を出せていなかったので無事結果を出すことができて安堵しました。

今回はなぜ大会で結果を出すことができたのか、主観的に考察して備忘録として書き記していきたいと思います。
「自分以外の選手は試合のためにどんなことに取り組んでいるのか?」と疑問に思った方の参考になれば幸いです。

大会当日までの取り組み

1.練習について

まず今回の大会のために練習した日数ですが実はそれほど多くなく、長く見積もっても1週間程度です。しかし大会前後に所属地連にて国スポ選手選考会が実施される都合から、大会で結果を出すための練習は行っていました。その練習の開始時期ですが昨年の国体が終了した10月中頃から取り組んでいました。つまり今回のような結果を出すために準備していた期間はおよそ6カ月ほどということになります。
練習内容は至ってシンプルで、

大会6カ月前~1カ月前:矢数をかけて練習
大会1カ月前~3日前:矢数+本番を想定して練習
大会3日前~大会前日:本番を想定して練習(矢数はあまりかけない)

という内容です。それぞれ細かく詳細を記します。

基本的に大会の1カ月前まではひたすら矢数をかけることを意識します。そして射癖の修正や修正した射の定着をこの期間に行います。射の定着とは(私の造語です)、頭で考えながら行射していたことを無意識にできるようになることです。例えば、行射中に胴が退いてしまわないように気を付けていたとしたら、退き胴にならないようにと考えずとも正しい胴造りができるようになった状態が「射が定着した」ということです。
またこの期間中は的中率は全く気にしません。的中率を気にしてしまうと射癖の改善のために思い切ったことができなくなり、中途半端な状態で大会当日を迎えてしまう可能性が高まるからです。大会当日以外の的中は大会に全く関係ないので、仮に練習で1本も当たらなかったとしても、大会で皆中すれば優勝できます。だからこそ大会1カ月前までは的中のことは一旦置いておいて、射癖の改善と射の定着に全力を注ぎます。

大会1カ月前を過ぎる頃から本番を想定した練習を開始します。本番を想定した練習では、
・要項に沿った行射方法(立射・坐射、1手・4矢、制限時間など)で練習する
・大会当日と同じテンポで体配や行射をする
・入退場を行う
・シチュエーションを細かくイメージする(何立目の何本目か、自分のチームは何中しているか、相手が何中しているか、どれくらいの観客がいるか、審判はどの辺りにいるか、天気、風向風力など)。
など、とにかく大会当日をイメージして練習を行います。
不安というものの多くは「わからないこと」から生まれます。大会で起こりうる状況をできるだけ多くイメージして、当日の「わからないこと」を少なくすることが、不安や焦りを払拭して実力を発揮するためにとても大事なことです。
また団体戦ならチームメンバーと一緒に本番さながらの立練習をすることが(私にとっては)とても重要です。一人ひとり行射のスピードが異なるため、それらを事前に練習を通して知っておくとより不安なく大会当日を迎えることができます。
この頃から1カ月前までの練習とは異なり、的中も少し気にし始めます。ただしあくまでも「少し」です。蓋を開けてみるまでどのくらい中るかはわかりませんから、調子が良ければ自信を持ってよし。調子が悪くても「こんな日もある」くらいに思うようにします。反省点を洗い出して常にポジティブでいることが何より大事です。なるべく不安を心の中に残さないようにします。

大会直前ではあまり矢数をかけません。直前に慌てて矢数をかけても体力を消耗したり怪我のリスクが高まるだけで効果が少ないからです(経験則)。
矢数よりも身体を万全の状態にして当日を迎えることの方が大事なので、矢数はかけても大会で引く射数+8射程度に収めて、今までやってきたことの確認をします。

2.大会当日について

大会当日のキーワードは「平常心」です。しかしこの「平常心」は当日どうこうするものではなく、前日までに徹底的に準備をしておきます。
例えば会場への到着時間。私は受付時間の30分前には会場に到着するように予定を組みます。車の場合は渋滞、電車の場合は遅延が想定されるからです。
大会のスケジュールも頭に入れておきます。自分の出番の時間や空き時間を調べておけば、いつ頃アップをするか、昼食はいつ摂るかなど予定を立てることができます。
会場ならではの特徴もわかるとなお良いです。控室は室内か屋外か、近くにコンビニや自動販売機はあるか、巻藁は使えるのか、駐車場はあるのか・・・など。
予想外のことを予想して、当日の焦りや不安の原因をあらかじめつぶしておくのです。そうすると会場での大抵の出来事が予想の範囲のことになり「平常心」でいられます。

もう1つ気を付けていることが、「集中モードの切り替え」です。
人間の集中力は数十分しか持続できないともいわれています。会場につくなり集中モードになるのは良いのですが、適度に息抜きをしなければ弓を引く頃には疲弊してしまいます。私の場合は「弽をつけたら集中ON、外したらOFF」と決めています。ONになったら呼吸を整え、自分がやるべきことを思い出し、ポジティブなイメージを思い浮かべます。逆にOFFのときは普段と同じように(周りに迷惑がかからない程度に)くつろいで、ここぞというときに最大限集中できるように努めます。

当日になったらもうできることはほとんどありません。自分を信じて一生懸命弓を引くだけです。

会場に併設された広場。
ご近所の方がたくさん遊びに来ていました。
集中OFFのときはキッチンカーで買ったものを談笑しながら食べました。焼きそばが美味しかったです。


3.メンタルについて

人生の半分以上弓道に費やしてきましたが、メンタルについては初心者の方々とほとんど変わらない自信(?)があります。弓構えをして打起しをすると「もっとこうした方がいいか?」と疑問を抱き、引分け・会と進めば頭がパニックのようになって雑な離れが出てしまう・・・。そんな経験を幾度となく繰り返してきました。

私が緊張すると上手くいかない原因は主に3つあると自己分析しています。
1つ目は「緊張すると中らなくなる引き方をしている」こと
2つ目は「メンタル面に関する知識がない」こと
3つ目は「自信がない」ことです。

「緊張すると中らなくなる引き方」とは端的にいうと、手先を使って引く引き方です。私の場合は手の内を握りこむことと、手繰り引きをすることです。こういう引き方は練習のようなリラックスして引ける状況であればある程度的中できるのですが、緊張して身体の細かなコントロールができなくなると途端に中らなくなります。力を込めて弓を引くとなんだか矢飛びがよくなったような気がしたり、会のときの充実感が感じられるような気がしたりと、自分の中の満足度のようなものがかなり高くなります。しかしこれには非常に高度な手先のコントロールが必要になるため、私のようなあがり症の人はすぐに調子を崩す原因になります。
私はこのことについて、実は改善する射癖の1つとしてずっと練習してきていました。手先で弓を引いたり離れを出すのではなく、あくまで背中や肩など身体の中心に近い部分で伸合いや離れを出すように気を付けることで、緊張しても中る引き方を定着させるよう努めてきました。
この甲斐あってか、今回の大会では無事に8射皆中を果たすことができました。

また私は今まで射技・体配の練習はしてきましたが、メンタルに関するトレーニングや知識を蓄えることを怠ってきました。そのため緊張に弱く、自分をコントロールすることができていませんでした。
今回の大会に向けた準備の中で、メンタルに関して新たに学んだことを以下に記します。
「これから取り組む事象においてその結果を0~100(0:失敗、100:成功)とすると、50をイメージして取り組むと0~50の結果が得られ、100をイメージして取り組むと0~100の結果が得られる。」という考え方です。この考えの大事な部分は「どんなに強く成功をイメージしても失敗することはある」という点です。
今まで私は、成功をイメージすれば物事は必ず良い結果が得られると思い込んでいました。そのため良い結果が得られないとすぐにポジティブに考えることをやめていました。しかし前述のことを知ってからは、失敗しても「しょうがない」と良い意味で開き直ることができ、常にポジティブに考えて行射に集中することができました。そして成功体験だけを鮮明に頭に焼き付けることを意識したところ、緊張する場においても冷静さを保っていることができるようになったのです。
メンタルについては様々なトレーニング法や説がありますので、それらを知り、実際にやってみて、自分に合う考え方ややり方を身に着けることが重要だと思います。

そして最後に、緊張する場において最も重要なことは「自信を持つ」ことだと思います。
自信を持つためにすることはたった1つです。
それは、「毎日を後悔のないよう、やりきること」です。
私は自信を持つために妥協しないように日々を過ごしてきました。仕事が大変で疲れていようと弓を引き、ジムに通い、家事をこなす。雨が降ろうと風が吹こうと、練習すると予定を立てていたなら練習をする。逆に休むと決めたら絶対に休む。こうした妥協をしない日々の積み重ねが「これだけ一生懸命やってきたのだから絶対上手くいく」「自分以上にこれほど追い込んでいる人はいない」という大きな自信になります。実際のところは自分より努力している人がいるかもしれません。しかしそれはシュレディンガーの猫と同じで、いくら考えてもわかりませんから仕方のないことです。大事なのは大会のために自分はやるべきことをやりきった、という事実なのです。
この事実があると大会中、自分でも驚くほど冷静でいられます。もうこれ以上良い結果を出すためにできることはないからです。まさに「人事を尽くして天命を待つ」状態です。結果、負けてしまっても「仕方がない」とまた次回に向けて前向きに取り組めますし、勝てばこれほど嬉しいことはありません。
妥協せずやりきることは簡単なようで実はとても難しいです。しかしこれが最高のメンタルトレーニングであることは紛れもない事実である、と私は力説させていただきます。

終わりに

いかがでしょうか。
自分はこうしました、という主観的な行動記録のため人によって合う合わないがあると思います。ただ、こうすることもできるという選択肢の1つとして考えていただければ幸いです。

今回の大会では上手く結果を出すことができましたが、もっと大きな規模の大会や射会で結果を残すためにこれからもいろいろと取り組んでいきます。
皆様の大会に向けた取り組みについてもコメント欄やSNSでのメッセージで教えていただけるとありがたいです。勉強させていただきます。
またこの記事に関して質問等があれば、同じく教えてくだされば可能な限り回答いたします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次の投稿もよろしくお願いいたします。

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