マガジンのカバー画像

即興小説

3
即興です。 趣味です。
運営しているクリエイター

記事一覧

《三題噺》『残念な可能性』

《三題噺》『残念な可能性』

「あたし、トマトきらい!」

愛娘の琴音は、フォークをダイニングテーブルに可愛らしく叩きつけてそっぽを向いた。

私は、にやにやしたため息をつき、こう言った。

「ママは、琴ちゃんもトマトも、大好きなのになあ」

琴音はすぐさま私を見つめ返した。

「あーしもママが大好きよ!…でもトマトはいやっ!」

またそっぽを向いてしまう。幼少期用の高めの椅子から、琴音は足をぶらぶらと手持ち無沙汰にしている。

もっとみる
「身勝手な”気分”屋さん」

「身勝手な”気分”屋さん」

人間ってすごく身勝手な生き物だと思う。
お腹がすいたからご飯を食べることは生き物として自然だけれど、
頭に血が上って求めていない身体に食べ物を押し込むこともある。

”気分”は人間の特徴の1つだ。

それがないと、(今の時代だからこそ)ありきたりなロボットになってしまう。
けれど、”気分”は人間を「幸せ」にも「不幸」にもできる。

いつの間にか、”気分”の渦に巻き込まれて…

気づいたら1人ぼっち

もっとみる
即興小説#1

即興小説#1

テーマ:誰かとドロドロ
ワード条件:暗黒の瞳
時間:1時間

《白と、黒の恋人たち》

【2018,12,24,16:44】
足元に、死体が転がっている。

何故だろう。
私はワクワクしてしまう。
仰向けになった「それ」は、一向に微動だにしない。

「ねぇ」

私は、話しかける。
既に聞こえてはいないであろう屍に。

「✕✕✕✕…」

日が翳り始めた黄昏時。
場違いな格好の私。
黒づくめの私。

もっとみる