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増淵敏之「韓国コンテンツはなぜ世界を席巻するのか ドラマから映画、K-POPまで知られざる最強戦略」

増淵敏之「韓国コンテンツはなぜ世界を席巻するのか ドラマから映画、K-POPまで知られざる最強戦略」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓

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 かつて日本をベンチマークとした韓国🇰🇷は完全に日本🇯🇵を抜かした。一人当たりGDPという経済性で抜かれ、何よりエンタメで差をつけられた。映像・音楽・グッズ・ツーリズムなど、すべてをパッケージとして売り出し、独特な世界観を作り出すマーケティング。それが「イカゲーム」「パラサイト」「BTS」などの韓国エンタメの成功の果実である。日本だって「スタジオジブリ」や「鬼滅の刃」「キングダム」「スラムダンク」に代表されるアニメや漫画など強力なコンテンツがある。おニャン子クラブやAKB48やEXILEなどの芸能システムも先進的だった。音楽だって中島みゆきもいれば、オフコースもいきものがかりもPerfumeもいる。それでも韓国が日本に差をつけた理由は、以下の通り。

1️⃣Netflixというインフラを制した

・当初は日本が先行していたが、あっという間に逆転。韓国コンテンツは Netflixの出資を受け入れ、コンテンツにプライオリティを与えている。そこがNetflixに利益を独占される問題点でもあるが、そこをパクった独自インフラも形成。

2️⃣「韓国コンテンツ振興院」に代表される政府の援助とライツ管理一元化

・箱物行政にこだわり過ぎる日本のクールジャパン。だから利権に流される。ソフトはハードに優先する。そして日本は文科省や経産省など所轄官庁に許諾や支援が分割されている。韓国は一元化して、そのような弊害を脱した。

3️⃣世界的に見て高水準なブロードバンド率の高さがOTTを具現化

・インターネットを否定する六本木のどこかの某音楽芸能事務所。アナクロイズムの老害に犯されている。

4️⃣著作権にこだわり過ぎないフリーミアムな合従連合

・オラクルのような共有思想がない。韓国はファンが世界各国語に翻訳して世界に発信している。日本にも青空文庫など素晴らしい土壌があったのに。

 つまり日本は時代遅れにして、縄張り意識が強すぎるのである。

 そしてここからは私見。日本が韓国に後塵を拝している要素。

5️⃣日本人は長い映像を観る忍耐力に欠けつつある。

・だからテレビドラマも長い物が作れず、回数が少ない。その結果として、迫力に欠ける。制作で丁寧にディテールを追えなくなってきている。

6️⃣生きる世界が日本はぬるま湯

・韓国は生きる世界が圧倒的に厳しい。歴史的に見てもずっと中国の属国だった。挙句に日本にまで占領統治された。現代でも北朝鮮との戦争と緊張、兵役の義務、苛烈な受験戦争、激しい貧富の差など。日本は国内市場で生活を全うできた。社長と平社員の給与差が少ない。だから安全お気楽第一で、責任を取る立場で偉くなりたい若者が少ない。人のことは言えないが、英語力も低い。アジア人の語学勉強熱はすごい。世界に打って出ようという心意気が違う。

 日本は一人当たりGDPが2000年には世界第2位だったが、2021年に世界第27位に転落した。もちろん韓国や台湾にも迫られている:。率直に言えることは、少なくともテレビドラマなど映像コンテンツにおいて、圧倒的に日本より韓国の方が面白くて感動する。もはや学ばれていたのが、学ぶ側に立場が逆転した日本。韓国は数多くのノウハウと成功例を身につけた。日本は官民挙げて、プライドを捨てて、隣国の成功にひれ伏して学ぶべきである。

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