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佐藤正久『図解 令和自衛隊大全 「隊」格大改造 「防衛力抜本的強化」の深層』

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 東日本大震災、能登半島地震などの救援で、すっかり国民から頼りにされている自衛隊。しかしその存在は常に「日陰者」で、憲法でその存在を保証すらされていない。一方で世界はウクライナ🇺🇦、ガザ地区🇮🇱で戦火が続き、台湾🇹🇼に緊張が走っている。日本🇯🇵は中国🇨🇳、ロシア🇷🇺、北朝鮮🇰🇵という侵略国家と国境を接する、極めて危険なロケーションにある。そんなピンチにありながら、少子高齢化やコロナ禍の影響を受けて、成り手がいない状況に陥っている。それなのに自衛隊員の待遇改善は、長い間放置され、むしろ劣悪と言いたいレベル。
 著者の佐藤正久氏は、自衛隊出身で帯広第4普通科連隊に所属。その後、国連PKOゴラン高原派遣輸送隊初代隊長を務め、湾岸戦争直後に先遣隊長としてイラク🇮🇶入りして「ヒゲの隊長」として人気を集めた。その後2007年に参議院議員選挙に当選して、第二次安倍内閣で防衛大臣政務官を務めて、2017年に外務副大臣、2022年に参議院国会対策委員長代行に就任とキャリアを積んでいる。この間、出身である自衛隊の予算拡充、自衛隊員の待遇改善に具体的かつ積極的に取り組んでいる。
 読んでいて愕然としたのは、国民の自衛隊員に対する無理解と、危機意識の欠如である(自分も含めて)。故吉田茂首相が自衛隊を「役に立たない方が国民は平和でいい」からと「日陰者」と称したこと。著者がイラクに派遣される際に、派遣反対デモが防衛庁前に押し寄せたので「裏門から出ろ」と言われた屈辱(結局は副大臣の奔走で表門から出発)。中国は台湾だけでなく、日本も狙っている。ロシアは北海道の半分の占領の野望をずっと抱いている。自らの妻子が蹂躙された時に、われわれは指を咥えて見ているのか?。自衛隊員を「誇り」と呼んだのは故安倍首相であるし、防衛費の倍増を指示したのは岸田現首相である。これまで自衛隊は、「わかりました」「大丈夫です」「がんばります」で通してきた。もう既に遅きに失しているかもしれないが、著者のように現場を知っている人が政治の表舞台に出てきたことは良いことだ。本書は自衛隊入門書としても、読むべき価値のある本である。自分たちが、あまりにも自衛隊を知らない、理解していないことを痛感させられる。

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