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市民活動を生かしたクリエイティブな公民連携〜埼玉県小川町の公共的な空間4例

埼玉県小川町で近年生まれている、古い建物を生かした公共的な空間の、つくられた背景や経緯についてお話を聞いているうちに、これは市民活動が盛んな小さな町の地域特性を生かした、小さな町なりのクリエイティブな公民連携なのかもしれない、と思い始めました。

今回『公共R不動産のプロジェクトスタディ』にて、小川町の4つの公共的な施設を、それぞれ行政や市民活動などの関わり方や経緯、事業の組み立て方に着目して、記事を書きました。ご覧いただけるとうれしいです。

↓リンクはこちら。

掘れば出てくる小川町なりの工夫

廃校となった小学校の分校を活用する『霜里学校・分校カフェMOZART(モザート)』。かつて養蚕技術伝習所として使われた古民家を活用する『玉成舎(ぎょくせいしゃ)』。駅前の昭和レトロな料亭跡を活用する『むすびめ』。大谷石でできた築100年の石蔵を活用する『NESTo(ネスト)』。

ひとつひとつは小さな事例であり、特段の派手さや目新しさがあるわけではありませんが、並べてみると大きく2つの特徴が見えてきました。
・これまで積み重ねられてきた活発な市民活動を生かすこと。
・行政や公的団体は、これを妨げることなく必要な支援をクリエイティブに行うこと。
これは、小さな町の地域特性を生かした公民連携と言えるかもしれないと思ったのです。

掘れば面白いものがやたら出てくる小川町。公民連携についても、それと意識はしていなくても、課題に対して向き合ってさえいれば、何かしらクリエイティブな工夫は生まれていたのだな、と。これをどうにかまとめておきたいという一心で書きました。

今回多くの関係者のみなさまにたくさんのお話を聞かせていただきました。あらためて感謝申し上げます。できるだけ背景や経緯、苦労や工夫などをポイントを押さえつつコンパクトにまとめようと腐心しました。書ききれずカットしたエピソードも多いです。すみません。

プロジェクトの立ち上げ、オープンに至るまでの積み重ねや苦労についても、私はそのマニアックなお話に涎を垂らしながら大変興奮したのですが、マニアックすぎてカットした部分も多いです。こちらはまた別の機会に、きちんとレポートとしてまとめたいと思います。

工夫はおのずと地域独自のものになる

記事の最後にも書いたのですが、他のまちにもおそらく、舞台裏には地味で地道なクリエイティビティがあるはずです。

理想的なやり方では難しくても、一歩でも目的の実現に向けて、その時点の状況や活用できる資源から、最も有効と考えられる方法で組み立てて行けば、おのずと地域独自の方法になります。似てくる部分は当然あるとは思いますが、まったく同じなんてあり得ないです。

そんな地域独自の公民連携が今後ますます増えていくと思うと、これは楽しみしかないです。

そして以前に、こんなレポートを書いたことを思い出しました。『これからの地域経営に求められる官民連携と公的支援の視点』。あらためて目を通してみると、似たようなことを小難しく書いてました。書いたのが2018年なので、3年前になりますね。あらためて書き直してみようかな。

でももちろん懸念もあります

今回は帰納的に「市民活動」に着目して整理しました。しかし市民の善意も有限ですから、市民の善意にだけ頼り続けるわけにも行きません。小さな民間投資が数多く起こる状況には、まだ距離があるような気もします。いや、小川町は江戸時代に開かれた「商都」であり、ヤオコーやしまむらが生まれた地でもありますから、そんな懸念など杞憂かもしれません。現に、意欲的にどんどん事業活動に取り組む方もいらっしゃいます。

このあたりは、また少し時間を頂いて整理できればと思っています。


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