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「もはや老後ではない」〜老害にならないために『モダンエルダー』になろう。

 少子高齢化は、世界中で起きている現象ですが、日本はその進展が最も甚だしい国の一つです。そして移民の受け入れシステムが作れていないこともあって、労働力確保が課題として深刻に語られています。
 僕は、労働力以上に問題なのは、社会の意思決定が高齢者に偏ってしまうことだと思っています。コロナ感染対策でも、死亡率が高い高齢者の感染を抑えることを優先して、危険度が低い若年層の行動を制約する意思決定が、社会正義のように行われました。医師会/厚生労働省の硬直性と、非科学的な政策の評価についてはこれから総括していくべき問題ですが、人口分布を投票率も低い若年層の行政に反映されづらくなっているのは日本の大きな弱点になっています。象徴的に言うと、高齢者の高齢者による高齢者のための民主主義になってしまっているのです。

 しかも、時代はデジタル化による根本的な構造変化の時期です。情報革命は人類史上で、産業革命以上の変化をもたらすと言われています。戦後の高度成長期に世界有数の経済先進国になった日本が、失われた◯◯年とか言われながら、長期低落を続けているのは、過去の成功体験にしがみつき、「昭和の仕組み」を変えられないのが原因です。これには、前述の「高齢者民主主義」が大きな理由だと思います。
 そんな問題意識をもっていて、自分自身50代後半になった僕にとって、この本は示唆に富むものでした。

 ホテル業界で成功した起業家が、Airbnbの経営陣に加わっているというのはぼんやり聞いていましたが、本書を読むとその価値がよくわかります。上の世代を巻き込んだAirbnbのCEOブライアンも慧眼ですが、ホテル業界を破壊(ディスラプト)するだろうシェアエコノミーに加わった本書の筆者チップ・コンリーも素晴らしいですね。温故知新という言葉がありますが、まさにそんな感じです。メンターンというメンターでありながらインターンでもあるというスタンスは組織に新しい風を吹かせたのでしょう。
 
 詳しくは、この本を読んでみてほしいのですが、そこでも紹介されている映画「マイ・インターン」も併せておすすめしておきます。ほっこりできるコメディです。素直さと好奇心が人間を成長させるのだということがよくわかります。見習いたいですね。

 決定権に近いポジションに居る50代、60代が「もう少しなんとか引っ張れる」と構造的な改革を先送りしているのが日本の諸悪の根源です。デジタル世代の価値観を尊重して、自らはサポートするポジションを取っていきましょう。「逃げ切り」を図っている人には、この本を読んで反省してほしいですし、逃げ切りに失敗して残りのキャリアが不安な人には、モダンエルダーのなるという方法を知って勇気を持ってもらいたいです。
 もはや「老後」という概念はありません。人生100年のLIFE SHIFT時代に合わせて自分のやるべきこと、やりたいことを整理していきましょう。僕自身、要らなくなった仕組みを壊して、整地するのが自分の役割だと認識しています。

 個人的な話になりますが、最近、友人の小杉茂さんが再婚しました。結婚パーティにお招きいただいたのですが、お二人共成人した子供が居て、まさに第二の人生としてのパートナーとなっていました。平均年齢50代以上の参列者に祝福される素敵な宴でした。日本社会も変わってきているなと実感します。

<関連投稿>
●100歳まで健康に生きましょうね。

●小杉茂インタビューはこちら。

●僕も健康維持にきちんと目覚めたのは緊急入院してからです。

●日本が先進国から脱落しないように危機感を共有したいです。


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