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3歩先を行くヒトとテクノロジーの未来を知るために読む本『NEO HUMAN』

  凄すぎる本です。近年で最も衝撃を受けました。もちろん良い意味でですし、是非、読んでほしいオススメ本なのですが、読後感は保証できません。少なくとも爽快感を得る書籍でないことは確かです。それでも、薦めるのは、医学とテクノロジーが進歩していく先は必ず人類の視野に入ってくる世界だからからです。

 著者のピーター・スコットモーガンのプロフィールはこちらです。人類の新たな地平を切り拓ける天才ですね。天才言えば夭折だったのが、21世紀からは、サイボーグ化して不死に取り組む時代のようです。

インペリアル・カレッジ・ロンドンにて博士号取得(ロボット工学)。世界的コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルにて企業変革マネジメントに従事。独立後も含め、25年以上にわたって世界中の数多くの企業や政府機関のシステム上の脅威を分析し、その対応策をリーダーに助言してきた。2007年、40代の若さで商業的な仕事から完全に引退。以後、イギリスを拠点に世界中を旅する生活を送る。2017年、運動ニューロン疾患(ALS)と診断される。余命2年の宣告を受けるも、病を「画期的な研究をすすめるための機会」とみなし、自らを実験台として「肉体のサイボーグ化」「AIとの融合」をスタート。同時に財団を設立、インテルやDXCテクノロジーなど世界的企業のサポートを得て、継続的な研究体制を確立。自らが生き残ることにとどまらず、「人間である」ことの定義を書き換え、あらゆる人がもっと自由に生きられる可能性を追求している。余命宣告から4年を経た2021年現在も、研究のほか著書出版、テレビ出演などの啓蒙活動を精力的にこなしている

 イギリスの上級階級に生まれた著者が、偏見と戦いながら、ゲイのパートナーとの関係をご両親に認めてもらえるようになるというのもサブストーリーとしては貴重な内容なのでしょうが、僕的にはヘテロもゲイも関係なく、パートナーとの愛情が大切と思いました。(なので、その部分はもっと少くても良いのにと感じました)人情味も感じられる内容です。

 この本の衝撃が最も象徴的に表れていると僕が思うのは、著者がパートナーに語る以下の箇所です。

「つまり、僕が実際にいるのが物理的現実の世界なのか、拡張現実の世界なのか、完全にバーチャルな世界なのか………なんて事は、そのうちどうでもよくなるだろう。例えて言うなら、映画を映画館で見るのか、テレビのライブ配信で見るのか、ノートパソコンにダウンロードしてみるのか、その程度の違いだってことさ。」
「その3つは全然違うよ……」
「でも最終的に重要なのは、どんな映画を観たかということだけだろ。それと同じで僕が存在するのが物理的現実なのか仮想現実の中なのか大きな問題ではなくなる。大事なのは、そこで経験していることがどれだけリアルかと一点だけだ。複数のリアルが存在する多重現実であっても、僕は一向にかまわないね。」(P250)

 何を言っているのかわからないという人は、是非、この本を読んでみてください。未来の見え方が少し変わってくるはずです。
 最新の日本語の紹介記事が版元の東洋経済新報社に掲載されていました。書籍の内容は、To be continuedであることがわかります。

 同じような未来予見のスタンスに立つノーベル賞作家カズオ・イシグロの小説『クララとお日さま』は、非常に感動的です。こちらは小説なので、主人公に感情移入してしまうのが感動の理由の一つです。そして、ディストピア的な未来の中で、人間にとって大切なことをヒューマノイドから教わることになると思います。併せてオススメします。



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