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高校新卒1年目で、ヤマチク「納豆のためのお箸」を作るまで

こんにちは!
ヤマチク入社2年目、19歳の松嶋 里利香です。
今回は、私が開発したお箸の魅力をお伝えします。

そのお箸が、こちら!

そう、納豆をかき混ぜる専用のお箸!『納豆のためのお箸』です。

ちなみに私自身、朝ごはんは納豆派!冷蔵庫には納豆パックのストックも切らしません。(ちなみに詳細は割愛しますが、納豆が好きすぎるがゆえにヤマチク随一の納豆偏愛派と呼ばれています...!)

そんな私が開発した『納豆のためのお箸』には、いつもの納豆をさらに美味しくする工夫をこれでもか!とばかりに詰め込みました。

嬉しいことに、すでに地元熊本県の納豆メーカーさんとのコラボが実現したり、納豆好きなインフルエンサーの方にもご紹介いただいたりと、多くの方に届き始めています!

今回は、私が高校新卒でヤマチクに入社してから1年目にして『納豆のためのお箸』を作るまでのお話をしたいと思います。     

高校1年生で出会った、ヤマチク

そもそも私がヤマチクと出会ったのは、高校1年生のときに参加した就職説明会でした。

当時、卒業後は就職するとは決めていましたが、やりたいことも、夢もなく。進路に関して興味関心を持てないまま企業の説明を聞いていました。

そんな中、会場に流れた一本の動画。

(ヤマチクのコンセプトムービー)

「かっこいい......」

山から竹を切る切子さん。その竹から工場で一本一本お箸をつくるヤマチクの社員さんたち。

私の家の近くにこんな仕事があるんだ、と気がつくと釘付けになっていました。

とはいえまだ高校1年生。進路なんてまだまだ先のこと。そう思い、こんな企業が地元にあるんだぁ。という漠然とした印象を持ったまま高校1年生の会社説明会は終わりました。

それから2年後。

高校3年生になった私は、頭を抱え悩んでいました。本格的に進路先を決める時期になっても、やりたい仕事も、就職したい企業が決まらない...。

そんなとき、頭の中にふっと浮かんだのがヤマチクでした。

「先生!1年生の就職説明会に来ていた『ヤマチク』って求人きてますか?」

先生にすぐ相談しました。

「うん、今年も来ると思うよ」

その言葉を聞いた瞬間、私はヤマチクにします、と決めました。

ふだんは優柔不断な私が、どうしてこんなにも「ヤマチクで働きたい!」と即決できたのかは、今でも不思議です。でも、自分の中でなにか誇れる仕事がしたいと思っていたことは確かでした。

竹のお箸をつくる人たちの働く姿、日本各地のものづくり事業者を巻き込み地元でイベントを主催する取り組み。それらを見るなかで「ここでなら、誇れる仕事ができるんじゃないか」と、思えたのも竹のお箸づくりの世界に飛び込むことを決めた理由の一つのように思います。

入社1年目の社内デザインコンテスト。納豆専用のお箸作りに挑戦!

念願叶って、高校卒業後はヤマチクに入社。第1工場でお箸の製造をすることになりました。一日の目標加工数を目指し、ひたすらお箸を作り続ける仕事は想像の何倍も難しく大変。入社当初は長時間の立ち仕事に慣れない毎日でした。

そして入社から半年が経ったある日。

社員がアイデアを出してお箸を開発する「社内デザインコンペ」というプロジェクトが開催されることを知らされます。経歴不問で、誰でも参加可能。賞金もでます。商品が採用されれば1万円。最優秀賞は、15万円。

入社前から「社内デザインコンペ」があることは知っていてましたが、まだ入社半年にもならない私は自分のできる仕事にも限界があり、やりたいという思いより、こんなのできるはずない。無理だよ...。というマイナスな感情ばかりでした。

そんななか、山崎専務から「納豆箸を作ってみるのはどうか?」と提案をもらいます。実は専務は納豆が苦手。数々のお箸を開発してきた専務でも、納豆のお箸だけはお手上げです。

一方、私は毎朝食べても飽きないほどの納豆好き。それなら「私が開発したお箸で、専務にも納豆を食べてもらいたい!」と、前向きに構想を練り始めたのでした。

0からお箸を作る難しさを痛感。それでも諦めなかったのは・・・

まずお箸を作るにあたり、考えることがたくさんありました。色、長さ、太さ、形。重心の位置はどこに持ってくるのか。材料は何を使うのか。何もかも0から考えなければなりません。

もちろん簡単にできることではなく、まだまだお箸の知識も少ないため、まずは自分の考えた箸を絵にしてみることにしてみました。

考える中で、納豆を食べるときの課題点に目をつけました。

それはお箸が納豆パックから倒れて、テーブルや手がベトベトになり汚れることです。ある、ある...。という方も多いのではないでしょうか。

通常のお箸だと箸先が細いため、浅い納豆パックに立てかけると重心の関係で倒れてしまいます。そこで、箸先を太くすることで重心を下に動かすことができないだろうか?と考えました。

そうして完成した、試作第一弾。自分の中では、自信あり!

でもそう簡単にはいきませんでした。

「これ、どっちで混ぜるの?」

いざ考えた箸を形にすると、箸先が太過ぎて持ち手との区別がつかず、使い手を混乱させてしまうことがわかったのです。

パックでも倒れない安定感と、パッと見たときに使いやすいデザインの両立。今までにない箸の形状に挑戦する難しさを痛感しました。

ここからもう一度、トライ。

お箸が倒れない「重心」。持ち手との区別がつくような「形」。力を入れずにかき混ぜられる「太さ」。すべてのバランスを考えながら0.1mmずつ微調整していきました。人間の手はとても敏感なため、持ち心地はミリ単位でもかなり変わります。

さらに使いやすさを追求し、箸先に「切りこみ」を入れるひと工夫も施しました。そうすることで納豆に空気が入りやすくなり、力を入れずかき混ぜられる設計にできないかと思ったのです。

またカラーバリエーションも、「納豆箸ならではの色ってなんだろう」「愛着を持ってもらえる色ってなんだろう」と頭を巡らせながら、納豆鉢にお箸を入れて合う色味を探したり、男女問わず使いやすいカラーを試行錯誤...。

あまりに繊細な作業なため一人では難しく、ベテランの社員さんに協力を仰ぎながら何度も何度も試行錯誤を繰り返し、理想の形を追求しました。

するとだんだん、お箸づくりに対する強い感情が芽生えてきました。

ここまでやったからには諦めたくない。1人でもいい。誰かの心に響くお箸が作りたい。自分の考えた箸が店頭に並んで、お客様が手にとってくれたら嬉しい。

最初は、社内デザインコンテストに弱気だった私も、気がつくとどんどんのめり込んでいき・・・

そしてついに「納豆のためのお箸」が完成しました!!!

「自分が考えたお箸」がしっかり形になり、目の前にできあがったときは、感動と達成感で胸がいっぱいでした。

この一膳に詰め込んだ、たくさんのこだわり。

◉パックにお箸が立てかけても倒れない安定感
︎︎◉箸先が太いため、パックに箸が刺さったり、穴が空くのを防ぐ
︎︎◉箸先の7本の切りこみにより、納豆のふわふわ感UP!(より空気を納豆に取り込む作り)
◉細身な持ち手で薬味を掴み入れることもできる
◉カラーは3色。お好みの色を選べる楽しさ!

実際に自分で使って食べてみると、自分でも驚くほど、納豆がふわっふわでした...。混ぜるときに空気がよく入るため使いやすい!納豆好きな方はもちろん、ご家庭に一膳あることで、いつものお箸が美味しくなる。そんなお箸に仕上げることができました。

またお箸に安定感があるので、小さなお子様も安心してお使いいただけます。「納豆、混ぜたいー!自分で混ぜるから食べるよ!」と、納豆が好きになる・食への関心が高まるきっかけになれば嬉しいです!

そして嬉しいことに、地元企業・マルキン食品さんとコラボが決定しました!!!

マルキン食品さんの「納豆食べて710名様に当たるキャンペーン」 の景品として、『納豆のためのお箸』が採用されたのです。う、うれしい...。マルキン食品さんの『つゆだく納豆』が一番好きな納豆だったので、お話をいただいたときは感無量でした...。

https://www.marukinfoods.co.jp/genkinatto_campaign/
※【キャンペーン概要】 キャンペーン期間中、当社のLINE公式アカウントを友だち登録後、対象商品をご購入いただいたレシートを撮影して送信し、応募していただいた方の中から抽選で合計710名様に、購入個数に応じた景品をプレゼントするキャンペーンです。
【応募期間】 第一弾:2022年4月1日(金)~2022年4月30日(土)23:59まで
第二弾:2022年5月1日(日)~2022年5月31日(火)23:59まで

マルキン食品さんとのお打ち合わせには、私も同席。商談の場自体が初めてだったので、とてもとても緊張しましたが、自分が作った箸を社外の人に初めて褒めていただけて、とても嬉しく感動しました。

また納豆インフルエンサー・なっとう娘さんにも『納豆のためのお箸』を使ってみた感想をSNSで発信してくださったり、お客様から「『納豆のためのお箸』がきっかけでヤマチクを知りました!」という声をもらえたり。

多くの人にお箸を届けることができ、「挑戦してよかったな」と心から思えました。

たった一膳のお箸を作るためには。

0からお箸を作る経験を通じて学んだこと。それは「たった一膳のお箸」を作るためにも多くの努力と考えと技術が必要だということです。ふだん何気なく使っているお箸を「自分で作る」ことで、その有り難みを身に染みて感じました。

と同時に、内面にも大きな変化が起きました。

自分に、自信が持てるようになったのです。

自信がなく人前に立って話すこともできなかった私が、今では自社イベントの運営や県外出張にも同行し、自信を持ってヤマチクの魅力を伝えています。

高校1年生でなんとなく参加した進路説明会。たった1本の動画から始まった私の進路。不安だらけで入社した4月。製造業と聞くと、ひたすら黙々と作業をするイメージを持っていましたが、

一本のお箸作りに向き合うことで、いろいろな人を巻き込んで仕事をすることを学び、そして自分の仕事に誇りを持つことができました。

まさか高校新卒1年目で、こんなにもたくさんの経験ができるなんて、いまだに信じられないくらい...。

仕事で「やってみたいこと」を形にできた達成感。その仕事を、認めてくれる褒めてくれる人たちに囲まれて働ける環境。ヤマチクでの1年間が、私を変えてくれました。

自分がやりたいと思ったことは、口にしていい。そう思えたからこそ、これからも与えられた仕事をこなすだけでなく、自分がやりたいと思ったことは実現させていきます。

まずはヤマチクのある熊本県南関町で、全国各地のものづくり事業者が集まる工房見学・販売イベントを開催するのが目標!地域を超えて、いろいろな人を巻き込んで、工芸界を盛り上げていきたいです。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。改めて、私一人で『納豆のためのお箸』を開発したわけではなく、ヤマチク社員さんの経験や技術が、この一膳に現れています。

少しでもいいなと思った方はオンラインストアを覗いて見てください!
きっと素敵な出会いがあると思います。

納豆を食べるときのお供として、あなたの食卓にも登場できたら嬉しいです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!!

<編集後記>
今年も社内デザインコンテストを開催します!今年はどんな新しいお箸が誕生するのか?乞うご期待ください。

書き手:松嶋里利香 編集:貝津美里

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