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【hint.441】◯◯◯を活用することを重視したアルフレッド・アドラー

今、「アドラー心理学・ライフスタイル診断」のセッションご案内ページをリニューアルしています。

セッション内では、「早期回想」と呼んでいる「幼い頃の記憶」を取り扱いますが、これの重要性や、どうして重要だと考えているのか?ということについて、いま一度整理をしてみたいと思います。


僕の「月一活動シリーズ」のひとつである、「原書で学ぶアドラー(原アド)」で、仲間と読み進めていた本の中に、「早期回想(幼い頃の記憶)」を理解する上でのポイントとなる箇所がありますので、引用をしてみますね。

以下、アルフレッド・アドラーさん自身の講演内容を、文字に起こしてまとめた内容ということを踏まえて読んでみてくださいな。


古い記憶を話してもらうという、まったく違う手法を用いることもできる(中略)。この手法が有効なのは、幼少期の記憶は、初期のライフスタイルを作る基盤になるからだ。そしてこの初期のライフスタイルを、私たちは人格の原型と呼んでいる。誰かの人格の原型を知りたかったら、その人に幼少期の記憶を話してもらわなければならない。どんな人でも、強く残っている記憶があるだろう。そして記憶に残っている出来事は、たいてい重要な出来事だ。心理学の中には、反対の意見を持つ学派もあり、彼らによると本人が忘れている事柄こそがいちばん重要だという。しかし、両者は基本的に同じことを言っていると考えていいだろう。何かの記憶があっても、本人はその意味がわからず、自分の行動との関係も理解できないかもしれない。そう考えると、本人が意味を自覚していない記憶を重視するにしても、失われた記憶を重視するにしても、結果は同じだ。

 患者が語る過去の記憶は、すべて何らかの感情的な思い入れがある出来事だ。その記憶の中に、患者の人格を知るカギが隠されている。もちろん、忘れられた記憶(または、無意識の記憶)もライフスタイルと人格の原型を構成する大切な要素だが、こちらは見つけるのが難しい。意識的な記憶も、無意識の記憶も、優越性を目指すという同じ目的を持っている。どちらも人格の原型を構成する要素だ。だからもし可能なら、意識的な記憶と無意識の記憶の両方を発見することが望ましい。どちらの記憶も同じくらい重要であり、そして本人は、たいていどちらの記憶も理解していない。

(いずれも、「『生きるために大切なこと』著:アルフレッド・アドラー/訳:桜田直美 方丈社 2016年9月29日出版」より引用)


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そういえば、以前にも、この部分のアドラーさんの主張を踏まえての文章を書いたかもしれないなぁ、と、いまこうやって書いていて感じているのだけれど、

こういう大切なこと、ポイントとなることは、何度も取り上げることが必要だと思うのでね。


それで、上に引用した文章をどう解釈しましょうか?という話。


まとめてみるとこういうことのなのかな。

◯ 誰かのライフスタイル(生き方のクセ)を知ろうとするときには、できれば、「意識的な記憶」と「無意識的な記憶」の両方から考えられるといい

◯ 「意識的な記憶」というのは、その場面のシチュエーションや映像や感情などを、その本人が話すことができるもので、「幼少期の記憶」「強く残っている記憶」という表現などによってイメージされるものでもある

◯ 「無意識的な記憶」というのは、「忘れられた記憶」とか「忘れている事柄」などとも表現され、本人が自分ひとりでは言葉にすることができないもの、といった感じだろうか

◯ しかしながら、「意識的な記憶」も「無意識的な記憶」もどちらも、本人としてはその記憶の意味するところを理解していないという点、そして、今よりも良くなろうとする(優越性を目指す)様子が含まれているという点、また、人格の原型(生き方のクセ)を知るための手がかりの一つになるという点、では同じ(と、アドラーさんは考えている)

◯ 「無意識的な記憶」を取り扱うよりも、「意識的な記憶」を取り扱う方がやり易いから、こちらを取り扱う方法もあっていいよね

◯ もちろん、何度も言うけれど、「意識的な記憶」を取り扱う方法だけが、唯一の方法ではない、ということは忘れないようにしようね


一言でいうと、「取り扱いが比較的容易で、かつ『ライフスタイル(生き方のクセ)』を知るのにも非常に効果的な、『古い記憶(幼少期の記憶/早期回想/意識的な記憶)』を活用することを重視したアルフレッド・アドラー」となるでしょうか。


うん。だいぶ整理されたかな。

もちろん、『古い記憶(幼少期の記憶/早期回想/意識的な記憶)』を活用するだけでは、汲み取りきれない部分もあるだろうけれど、かなり効果的ではあるんだよね。

これは、これまで僕がこのやり方でクライアントの方と関わらせてもらって強く感じていること。


あぁ、いつか、「無意識的な記憶」を取り扱う関わり方を専門としている方々とも、コラボしてなにかしてみたいなぁ〜。

ぜったいオモシロイよね!

自分たちとしても。もちろんクライアントの方々にとっても。


よぉし、まずは自分にできることをコツコツと。ですね。

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今日の皆さんにも、たくさんの元気になる瞬間がありますように。

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