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【hint.285】こういう発見が、原書を読んでいると度々あるからおもしろい

 今日の夜は、「月一活動シリーズ」の一つ、「原書で学ぶアドラー(原アド)」の活動日だ。

 前回、昨年の12月までで、アドラー心理学(個人心理学)の提唱者であるアルフレッド・アドラーさん自身が英語で書いた一冊の本を、原アド仲間とともに読み終えた。

 今回から3月までの三回で、全13章あったこの一冊を、もう一度振り返ることになっている。

 今回は第1章〜第4章の振り返りを行う予定で、それぞれの章を、一人が担当をし、原アドミーティング内で話した内容をふまえて、ポイントとなる部分をまとめてみたり、疑問点として残っているところや、キーワードなどを整理した上で、発表する予定なんですね。

 僕は今回、第4章「THE STYLE OF LIFE」を担当することにした。

「アドラー心理学」の数ある概念のなかでも、特に重要なものの一つである「ライフスタイル(生き方のクセ・特徴)」というものについて、アドラーさん自身が語っている部分になる。

 現在リニューアル中だが、僕自身も活動の一つとしている「ライフスタイル診断」についての理解をいま一度深める目的も兼ね、あらためて精読をしているところ。

 今夜の勉強会でも、この点については触れようと思って準備をしているが、僕自身、そしておそらく関東を拠点として「アドラー心理学」を学んできた方にとっては、あまり馴染みのないであろう、アドラーさん自身の主張をここで共有できればなぁと思う。

 いわゆるアドラー心理学的アプローチでは、「早期回想」と呼ばれる、「幼い頃の記憶」を活用して、その方の「ライフスタイル(生き方のクセ・特徴)」の見立てを行うが、

それ以外の学派によるアプローチでは、それとは違う意見を持っているという点にアドラーさんは触れながらも、「何を意図してそのアプローチを採用しているのか」という点では、共通しているのではないか、ということを主張されているのだ。

 日本語訳された本から、この部分についての主張を以下に引用してみる。

誰かの人格の原型を知りたかったら、その人に幼少期の記憶を話してもらわなければならない。どんな人でも、強く残っている記憶があるだろう。そして記憶に残っている出来事は、たいてい重要な出来事だ。心理学の中には、反対の意見を持つ学派もあり、彼らによると本人が忘れている事柄こそがいちばん重要だという。しかし、両者は基本的に同じことを言っていると考えていいだろう。何かの記憶があっても、本人はその意味がわからず、自分の行動との関係も理解できないかもしれない。そう考えると、本人が意味を自覚していない記憶を重視するにしても、失われた記憶を重視するにしても、結果は同じだ。(アルフレッド・アドラー 著/桜田直美 訳『生きるために大切なこと』/株式会社方丈社 より引用))

 この主張を知るまでは、いわゆるフロイトの提唱した精神分析とのアプローチの比較において、「両者は根本的に違うものを採用している」という認識を持っていたが、どうやらそうではないらしいということを知ることができた。

 アドラー的に言えば、「両者の『手段』は少し違っているが、『目的』は同じものなんだと僕は思っているよ」といった感じだろうか。

 こういう発見が、原書を読んでいると度々あるからおもしろい。

「日本における現代アドラー心理学」は、この原書内でのアドラー自身の主張を踏まえた上で、いろいろと検討や変化を重ねたものになっているのだろうが、実際にこのような主張が存在していたことを知っておくことは、なにかしらの深みや奥行きのようなものを纏わせてくれるんだろうなぁと、そんなことをホクホクと考えながら、引き続き学びを継続していこうと思う、今朝なのでした。

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