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【システム屋考】コスパがいいのはフリーランス、地雷が多いのもフリーランス

自身もフリーランスのITコンサルだが、今回はフリーランスの人に発注する立場でメリット・デメリットを語ってみる。

会社に所属していた時は自社の案件を手伝ってもらうパートナー要員としてフリーランスの方にお願いすることが多かった。
別にフリーランスに絞って探していたわけではないのだが、案件で必要なスキル・経験、そして一番重要な予算を踏まえると結果的に選択肢がフリーランスに絞られるケースが多かったのだ。

例えば「一定の開発知見があり、上流経験もあり、ドキュメント作成スキルもそこそこ、曖昧な指示でも考えながら自走できる」といった要件を満たす人を探すと、どうしても高単価なコンサル会社(大手はもちろん、中小でもコンサルを標榜しているとそこそこの単価提示になる)の要員になりがちだ。

もしくはコンサル会社でなくても年齢が高めのベテランだったりするので、必然的に営業単価も高くなってしまったりもする。
そうするとクライアントからの貰い単価を超えてしまうので選択肢になり得ない。
(クライアントからその分貰えればよいのだが、その時は手ごろな単価というのも価値の一つとして提案していたので、なかなか難しかった)

対してフリーランスであれば、そういった高単価な会社にかつて所属していたり、年齢は40~50代のベテランで経験豊富な頼れる方が、かなり割安な単価で営業していたりする。

これはいわば当たり前の話で、会社の場合は要員自身の給料の他に、営業コストや育成コストも含めて稼がなくてはいけない。
また、何かあったら交代も含め会社全体でバックアップするという価値に対する対価として、プレミアムが乗った単価になりがちだ。

フリーランスであればそういったことは一切考慮が不要なので、割安な値付けにすることができる。
それでありながら、フリーランス個人に支払われるフィーは、高単価で稼働していた会社員時代の給与額を超えることがほとんどだ。
(私自身も大手コンサルに所属していたころの6~7割の単価で稼働しているが、収入では約2倍稼げている。)

では、とにかくコスパのいいフリーランスを使えば営業楽勝だよね、となるかというとそうでもない。
(まあそもそもプロパーをきちんと育成して自社要員でチームアップすべきという指摘もごもっともなのだが、それには時間がかかかるので、直近の人不足にはどうしてもパートナー要員に頼らざるを得ない前提で容赦いただきたい。)

コスパがいいのはフリーランスというのは間違いないのだが、私の感覚だと地雷が多いのもフリーランスだからだ。

私が社会人になった2001年ごろ、まだフリーランスのITエンジニア・コンサルというのはほとんど見かけなかった。
当時のフリーランスは本当に凄腕で、自分の名声とコネで仕事をとれるすごい人というイメージだった。
10年以上前、クライアントから多大なる信頼を得ていたコンサル時代の上司が独立した時には、「そうだよな、これくらい信頼される人なら独立できるんだよな」という思いで見送ったことを思い出す。

いまや有象無象のフリーランス向け営業会社が跳梁跋扈していて、ふつーの経験の浅い若手でもフリーランスとして営業が可能な世の中になっている。
働き方の多様性観点ではよい話なのかもしれないが、あまりにも独立のハードルが低くなりすぎているのも事実だ。
会社員時代に周りと上手くやれなかった「社会人として課題のある」人が、残念ながら退職した後に何をするかと思えばフリーランスでやっているらしいという話も耳にする。
会社員として上手くやれない人が、フリーランスになって上手くいくはずがない。
マネージャーとしては適性がないが、プレイヤーとしては優秀なので、プレイヤーに専念するためにフリーランスになるというケースならわかる。
だが、基本的なコミュニケーションやベーシックスキルに難があり会社員として評価されてない人が逃げ道としてフリーランスを選ぶのは悪手としか言いようがない。

私自身がこういう人をアサインしてクライアントに迷惑をかけてしまったこともあるし、別のチームでアサインされたベテランフリーランスとの触れ込みの人があまりにもスキルが低すぎて、チームリーダーの方に苦言を呈したこともある。

フリーランスの場合、営業会社が責任を取ってくれるということはまずないので(ほとんどのケースで謝るだけで何もしない)、とにかく慎重に見極めるしかない。

面談でのNG人材見抜き方についてはこんな記事も書いているので、よければ見ていただきたい。

2023年7月現在、コロナ禍でのDXブームによるIT・コンサルバブルも翳りが見え、誰でもフリーランスで案件が見つかるという状況も少しずつ落ち着いてくるのではないかと思う。
それでも、2000年代に独立していたような”凄腕”フリーランスの需要は変わらないはずだ。
自分もそういう存在であり続けられるように精進したいものだ。
同じ志を持つフリーランスの読者の方も共に頑張ろうではありませんか。

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