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休養 瞑想法


前回、究極のパッシブレスト法として睡眠について書きましたが、ストレスフルな現代の社会に生きていると、なかなか上手に眠ることができず、十分な休養を取れていない方も多いと思います。
そんな方に最適なのが、瞑想によるストレス対策です。

瞑想は古今東西、あらゆる宗教的実践において行われてきましたが、1979年マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバット・ジン博士がストレス低減センター(マインドフルネスセンター)を設立し、マインドフルネスストレス低減法を紹介して以来、宗教色のない瞑想法として、マインドフルネス瞑想が広まっていきました。
マインドフルネス瞑想のエクササイズでは、リラックスできる環境で床や椅子に楽な体勢で座り、自身の呼吸に注意を向けます。
「いま、ここ」の感覚のみに集中することで、過去や未来の心配事や不安感を客観視し、相対化させます。
「すること」ではなく「在ること」に意識のモードをシフトさせ、思考や連想によって生み出されているネガティブな感覚から、自分を解放させるのです。

マインドフルネス瞑想は元々、ベトナム出身の仏教僧ティク・ナット・ハンが、ベトナム戦争さなかのアメリカ社会に渡り、戦争終結の和平提案を行う中で、平和のための念(マインドフルネス)瞑想法として普及させたものです。
ティク・ナット・ハンは社会参画仏教Engaged Buddhismの指導者として、アメリカ社会に禅仏教の慈悲と非暴力の思想を知らしめました。
この「行動する仏教」運動は、マーティン・ルーサー・キング牧師らにも強い影響を与え、1967年にはノーベル平和賞候補となっています。

ジン博士はティク・ナット・ハンの瞑想法を、慢性の痛みを持つ患者を対象としたMBSR:Mindfulness-Based Stress Reductionプログラムの一環として、臨床医学の場に取り入れました。
このプログラムは患者がストレス、痛み、病気に対応することを助けるための、瞬間瞬間に注意を向ける瞑想とハタ・ヨガを組み合わせた8週間の心理療法として作られています。
ジン博士のマインドフルネスストレス低減法は、身体のストレス対策として、がん、心臓病、慢性疼痛、線維筋痛症などの患者に適用されているだけでなく、マインドフルネス認知療法として、うつ病、不安、燃え尽き、摂食障害といった認知症状の緩和にも取り入れられるようになり、その効果を示しています。

2000年代に入ると、アメリカでは西海岸を中心に東洋思想実践への興味がより一層高まり、仏教の伝統を背景とするマインドフルネスが注目を集めました。
この流れを受けて、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、2007年からマインドフルネス研究への出資を開始し、Google社やFacebook社などシリコンバレーの企業では、社内プログラムの一つとして、マインドフルネス瞑想が取り入れられるようになりました。
マインドフルネスプログラムを導入したビジネスの現場では、仕事の内容に新たな意味や充足感を見出して、困難な状況にも無理なく対処できるようになり、パフォーマンスが高まるなどの効果を上げているようです。

マインドフルネス瞑想は、朝昼晩いつでも、10分程度の時間があればできる、手軽な休養法です。
やり方に慣れさえすれば、座っていても、横になって寝た状態でも、立って歩きながらでも、その場で実践することができます。
起床時に頭をスッキリさせるために行うのも良いですし、仕事中の気持ちの切り替えや、ぐっすり眠るためのリラックス法としても優れた効果があります。

何より大切なのは、習慣として継続することですが、そのためには一緒に続けられる仲間を見つけると良いかもしれません。
観音整体ラボでは、定期的にイベントなどを通じてマインドフルネス瞑想会を行っています。
お近くの方に限られてはしまいますが、一緒に瞑想の場に参加して、マインドフルネス習慣を定着させてはいかがでしょう!

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