世界地図

RPGに倣うカスタマージャーニーマップの描き方

PL的考え方とBS的考え方

ブランド全体のユーザーエクスピリエンス(UX)を考える時に想定のペルソナをおいて、AIDMA的な認知から購買、リピートへのステップごとにどのような体験をしてもらうかを考える事が多い。売上にコンバージョンさせて直結させるPL的な考え方UXの場合は王道である。

もちろんこれもとても大事ですが、今回お話するのはBS的考え方UXである。顧客ロイヤリティを高めて、少し長い時間軸でブランドエクイティを高めてBS資産を最大化するというコンバージョンに向けてUX設計の考え方をMinimalを事例にお話していきたい。概念としてはBS的考え方のUXはカスタマージャーニーマップ(CJM)やカスタマーエクスピリエンス(CX)の考え方とほぼ同じであると思っています。

Minimalという冒険世界をクエストするという世界観で発想し設計する

BS的考え方UX=カスタマージャーニーマップを描く最大のポイントは長期的なブランドエクイティの形成。

その際にゴールイメージはファン化そのコミュニティ化である。

ここで私が参考にしているのはRPG(ロールプレイングゲーム)だ。

ご多分に漏れず私も小学校から高校生くらいまでFF、ドラクエ、ロマサガにドはまりした経験がある。当然RPGにはストーリーもシナリオもあるが、それに加えてプレイヤーがそれぞれの勝手に自分なりの楽しみ方を発見する事に面白みがある

例えばドラクエのはぐれメタルが出るポイントを発見して、そこでひたすらレベル上げを繰り返すなどプレイヤーが勝手に楽しみ方を発見してくれるパターンがゲーム自体の深みと広がりを付加していく

ここから学べるポイントは、

1つ目は「冒険世界の世界地図を設計する」「世界地図を更新して拡張性を持たせる」といった「冒険世界の設計」

2つ目は、「プレイヤー数を増やしていく考え方や仕組み」

3つ目は「プレイヤー同士が相互に交流機会を通してのコミュニティ化」

上記を意識してMinimalという事を考えるとそれはMinimalのCXの基本設計は、

「Minimalという冒険世界をクエストするという世界観で発想し設計する」

という事です。

1、カスタマーがジャーニーできる「世界地図」を描く

Minimalという冒険世界を基本設計は、特定のカスタマージャーニーを設計する事だけではなく、カスタマーがジャーニーできる「世界地図」をつくることです。

具体的にはMinimal興味を引くような「入り口」をたくさん作り、興味の導線を用意する事で接点となる「表面積」を広げ、さらに「奥行き」を感じるようなCX設計をする事

それを世界地図を描くと表現しています

例えば、パッケージのデザインにおいては、商品名の書いてあるカードの部分を取れるようにして、そのカードの内側に、カカオの産地や挽き方を記載しています。はじめてMinimalを買ったお客さんがこれに気が付いて、次お店に行く時に、産地について店舗のスタッフさんに聞いてみようと思っていただければ、これが入り口のひとつになります。他にもフレーバーやカカオの割合、挽き方やペアリングなども記載しています。お客さんによって趣向や気になるポイントは違うので、こういった情報のどれが入り口になってもいいのです。

最初のきっかけは何でもいいので、とにかく多くの入り口を作り、興味の動線をどのようにデザインするかが大事です。

MinimalはBean to Bar というコンセプトで全方位的にい「入り口」を用意する事で「表面積」を拡げています

・Beanは、産地やカカオ豆。冒険、赤道直下、発酵・乾燥、フェアトレード、貿易など。
・Toは、製法や風味。新しい製法実験や風味の実験、職人、商品開発秘話など。
・BarはLife with Chocolate。ペアリング、テイスティング、イベントといった新しいチョコレート体験の提供など。

上記の「入り口」を用意することで、単なるチョコ屋だけでは取れない接地面を持つ事ができる

接地面が広がって表面積を拡げる。
この表面積はブランドに興味を持ってもらえる点の総量と考えられる。

当然表面積が広い方が多くの人がファンになってくれる可能性が広がります。

さらには入り口から興味の動線を引く「奥行き」を設計することが大事です。仮に表面積を最大化できたとしても、その先に「奥行き」がなければ離れていってしまいます。つまり、入り口からより深い場所へと、興味の動線を引くことが大切です。

例えば産地に入っていって農家さんとのやり取りだったり、良いカカオ豆を造るために発酵乾燥の勉強するのもその「奥行き」部分にあたります。

普通のチョコ屋さんだとそこまでマニアックにやらない。でもそこを思いっきり掘っておくと必ずその奥の方まで興味をもって進んでくれる人がいるんです。

「入り口」とたくさんもって「表面積」を拡げて、「奥行き」をブランド全体として用意することで、Minimalの冒険世界の「世界地図」を拡大していく。それこそがMinimalのCX・CJMの基本思想です。

2.全員が“つくりて”という発想

私は、Minimalと言うブランドを未完成の作品と捉えており、「小さな完成品よりも、偉大なる未完成品でありたい!」と思っています。

スタッフには「Minimalはまだまだ未完成であるから一緒にその作品を創っていこう」と暑苦しく語っています(笑)

Minimalという未完成品への作品創りに参加するという発想で考えると

職人チームは「新しい風味や製法をつくる人」であり、

サービスチームは「ストーリを紡ぎ共感者をつくる人」であります。

スタッフのそれぞれの立場で作品の“つくりて”と考えています。

これはMinimalの運営側に限った事でありません。お客さんもMinimalという作品創りの“つくりて”として考えているのです。

お客さんは「一緒に新しいチョコレート文化をつくる人」です。

Minimalスタッフもお客さんも同じMinimalという作品創りに参加している仲間であり、同志であり、共犯者と考えているのです。

全員が“つくりて”であるという発想です。


そうなると全員がMinimalという冒険世界でクエストする冒険者です。Minimalではよくこんな事が起こります。

お客さん:
「このワインとMinimalのFruityチョコを合わせてみたらとても相性がよかったんです」
Minimalスタッフ:
「そうなんですか!ありがとうございます。ちょうどチョコに相性いいワインを探していたので試してみます!」

普通に考えると立場が逆の会話ですね(笑) 

でも全員がMinimalという作品の“つくりて”と考えると至極自然な会話なのです。一方的にMinimalスタッフが情報提供するのでなく、時にお客さんから情報提供してもらいながら一緒につくる

Minimalはこのような売り手と買い手の境界線をいかにファジーにしてお客さんを半歩でも一歩でもこちら側に入ってきてくれるかを大事にしています。

そうなると理論的にはMinimalという作品の幅が一気に広がります。内部のスタッフだけでは限界があるところに、様々な興味の「入り口」から入ってきたお客さんが勝手に世界地図を拡げていってくれます

そうMinimalの「世界地図」の上でプレイする冒険者が一気に増えるのです。Minimalとして意識して管理する一番は「入り口」の数を多く用意する事です。

**3、Minimal冒険者同士が相互に交流したり、情報が流通するコミュニティを創る

**

世界地図上に様々な関心をもったMinimal冒険者が増えると面白い事が起こります

それはMinimal冒険者が勝手に面白い世界の旅の仕方、マニアックな楽しみ方を発見して楽しみだすのです。

 例えば、あるお客さんは毎週自分の友達を連れてMinimalの店舗をツアーしていました。Minimalは試食が食べ放題なので(笑)、初めて来た人はその味の違いに驚くというサプライズを気に入ったその方は、毎週違うお友達を連れてきてくれました。そして、何回かするとうちのスタッフよりも流暢にMinimalの説明をしてくれました(笑)しかもその方のオリジナルストーリーを添えてです。
 他のお客さんはコーヒーが大好きで毎月お気に入りのお店から買ったコーヒー豆に合うチョコレートを探しにお店に来て頂けます

このように世界地図の上で、冒険者の皆さんが勝手にクエストしてもらう流れができるように、世界地図の「入り口」を多く用意して「表面積」を増やし、コンテンツごとの「奥行き」を掘るという事が重要です。

そうなると通り一辺倒な窮屈なペルソナで設定されたCJM・CXではなく、その人ごとのオリジナルストーリーのCMJ・CXが出来上がります

あとは、そのそれぞれのストーリーを共有をできるように仕組みを創っていく事です。

まずMinimalが重点的に行ったのは、リアルなイベントでした。

創業から毎週イベントを行い、これまで述べ一万人以上の方にイベントに参加してもらっています。例えば毎年行う周年パーティーは150名~200名が来場いただけます。また、興味ごとにイベントテーマを設定することで、近い“入り口”からMinimalを知ってもらった人同士が出会える場になるようにしています。

その結果、Minimalのイベント知り合った人同士が仲良くなり、毎回Minimalのイベントにお互いを誘ってきて頂けたり、もちろんスタッフとお客さんが顔見知りになってイベントから店舗に差し入れをもって遊びに来て頂いたりなど、単にモノを購買する関りよりも踏み込んだ関係性があちこちで発生します

このコミュニティ形成が見える化したのが、19年6月に行った上原店のクラウドファンディングです。実施時点のでMakuake調べで「食」のプロジェクトで歴代1位の支援人数1619名ものご支援を頂きました。暴露すると、支援者の中で創業メンバーなどの個人的な顔見知りは5%以下でした。95%以上がMinimalと言うブランドを何かしら知って頂き純粋なファンとしてご支援頂いた方でありました。私自身も驚きと、これまでの地道な活動が見える化してとても嬉しい体験でした。

大事な事は余白を残す事

見てきたように、Minimalで私がCJM・CXを考える時は、ロールプレイングゲームの世界観を参考にしています

その肝は拡張性を前提に余白を残す事です。
余白は曖昧さとも言えますし、プレイヤーの自由度とも言えます。

その余白があるからこそ、冒険者たちはその余白を自分のストーリーで埋めてくれるのです。それが結果としてその人自身のオリジナルストーリーになります。そうなるとブランドはそのプレイヤーのモノになるのです。

高級ブランドのように完璧な世界に浸るという設計もあると思いますが、情報の非対称性がなくなっていく世の中においては、価値観の多様性が進んでいきます。その時に特定のペルソナをおいて狭めてしまうよりも、良いモノづくを基軸に冒険世界を拡げていき、プレイヤーがそれぞれの興味の導線を拡げていく事で個別のCJM・CXを描けるような全体設計で考える方が私は大事だと思います

そして、Minimalの冒険世界をもっと面白く、もっとマニアックに、もっと自由に広くしていくために私自身が一冒険者として楽しみながらMinimalの世界地図を広げていきたいと思います。

※Minimal商品のおすすめ

このnoteをきっかけにぜひMinialの商品を知って頂ければ幸いです。特に個人的なおすすめは、Minimalが造った板チョコレートが毎月3枚届くサブスクリプションである新サービス「カカオツアー(送料無料)」です。マニアックな情報から単純にチョコを食べてMinimalの風味を知るという経験までMinimal的CXをぜひこちらから!

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こんにちは。最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。その学びが少しでも何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます^_^

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脱サラしてコンサル業界から未経験でチョコレート業界へ。「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」代表。1年のうち4カ月程度は赤道直下に買付に。noteではリアルなブランド経営の学びをお届けします。Twitterは@taka_minimal
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