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母の記憶〜小学生の頃〜

子供の人気定番マンガ「アンパンマン」は、子供はもちろん大人も知っている超有名なキャラクターの一つ。

だが、あろうことかウチの家族は、人気アニメ「アンパンマン」の存在を誰一人知らなかった。
もちろん私もその中の一員なのであった。

そんな私が小学校低学年の頃、クラスの中で数人のグループごとに分かれて、「アンパンマン」の劇をする事になった。

私のグループも、メンバーの中で、それぞれアンパンマン役、食パンマン役、みんな自分の好きなキャラクターを選び、配役が決まっていく。

私はこれがやりたい!という役もなく、きまった私の役は、バイキンマン。

そして、配役のお面を自作してくるのが、宿題となった。

私は家に帰って、バイキンマンのお面作りに取り掛かった。母に劇に使うバイキンマンのお面作る旨を伝えると色鉛筆を出してくれた。

そして、バイキンマンを描き始めた。

「ばい菌」から想像しうる、とにかく怖い顔をイメージして...
尖った様な角を生やし...
目は鋭くつり上がり...
口からは牙も出てるだろう!

黙々と描き上げ、お母さんに見せると、とても褒めてくれた。

翌日、ワクワクしながら学校へ持って行った。
そこで私の目には驚くべき光景を目にする事になる。

なんと、他のグループのバイキンマン役の子達のお面が、どれもこれも、皆同じ顔なのだ!目は丸っこく、牙なんて生えて無い、そして、とにかく怖くない!

クラスの中で私のバイキンマンは、誰よりも「ばい菌マン」だった。

私はその時初めて「アンパンマン」というアニメの事を知った。

そんな中、劇は始まり…
「バイバイキーン」というセリフを言ったまま帰ってしまいたかった。

「実は私、アンパンマンを知らなかった」という事は、誰にも言えなかった。

こうして私は、我が家への疑問が更に増えて言った。

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