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鱈の白子と生姜のアラビアータ 生スパゲッティ

 青森県に住んでいると子供の頃から鱈という魚は馴染みがあり、家庭の冬の食卓にはよくでます。とはいっても身の方ではなく、頭や内臓がスーパーで安く売っていてそれを使って「キク汁」や「じゃっぱ汁」をつくるのですが。で、身の方はどうするかというと、冬の鱈は栄養が内臓の方にとられているので身はそれほど美味しくない。なので干鱈にして水分を飛ばして味を凝縮しつつ、冬場の保存食にするのです。鮭なんかも同じですね。

 調理師学校でフランスの肉食文化を学んだ際に、冬が来る前に豚を一頭屠蓄して、モモやロースはハムに、ばら肉をベーコンに、屑肉はパテやソーセージにして冬場の保存食にして、内臓類は煮込みやスープの具にして新鮮なうちに食べるという映像を見たのですが、魚が肉に置き換わっただけで国は違っても人間の行動はたいして違わないものだと思いました。
 基本的に人間が生き延びるために、「ある食材を無駄なく頂く」っていう試行錯誤の歴史が伝統料理の歴史でもあります。

【作り方】

~鱈の白子の処理~
·鱈の白子を房に切り分け、70℃程度のお湯でボイルし、氷水にとる。
·水分を拭き取り、ソミュールに一晩漬け込む。

·フライパンにオリーブオイル、多めの唐辛子、刻んだ生姜、アンチョビを入れ火にかけ香りをだす。
·白ワインを加えアルコールを飛ばし、トマトソースとオレガノ、白子を加え軽く煮込み、茹で上がったスパゲッティと和える。

激辛にするとワインと合わせるのが難しくなるので、「辛い香りをしっかり感じる」というイメージでつくるとよい。

追記

 白子と辛いソースの組み合わせは、中華の白子の麻婆豆腐からのインスパイアです。ニンニクではなく生姜を使うことでより体を温めてくれるので12~2月の寒い日はより美味しく感じます。

  最後に鱈の旬は冬といわれていますが、身を食べるなら夏から秋です。冬と違って身割れせず、昆布締めや薫製にしても美味しく頂けます。念のため寄生虫対策で一度冷凍してね。

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