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続・つづけたいなら休もう【八百屋から見た“食”no.46】

※これまでの経緯※
序章:2019〜コロナ禍〜2022年の経緯を書きました。

前回:人手不足という次元を超え、働き手が年100万人ずつ消えている現在(2024)を書きました。

上の2つを読んでから、以下本文をお読みいただくと店舗運営のリアルをさらに感じていただけるはず。流し読みぜひ。

前回お伝えした人手不足の状況と弊害について
もう少し細かく、より運営に準じた話を書きます。

これまでの食品小売業界、ファーストフード・惣菜販売・スーパー・コンビニ・デパ地下・飲食店・パン屋八百屋etc.専門店といったあらゆる店舗運営は『アルバイトの人手が充足した上で運営する』が原則でした。製造にも袋詰めにも陳列にもレジ決済にも商品管理にも全てにおいてアルバイトが居てこその営業時間/営業日設定であり、売上や収益をあげるうえでの“元手”になる労働力でした。

提供できるサービスの大半は人手がある前提だったのです。

ところが、いよいよ働き手が消え始めた2024年。
特に「定時で働く」「夕方・夜間に働く」アルバイト/パートがどんどん減っていて、今後も増えません。昭和世代が当たり前に思っていたような“ヒトに溢れいつでも豊富に採用できる”労働市場はすでに消滅しました。

人手が足りない/シフト充足しないまま続けるとあらゆるリスクが増えます。

◆サービス縮小
提供量が低下する
提供までの時間が遅れる
業務内容&ラインナップが狭まる
内容が簡素化&省略される
営業時間が短くなる

◆他の従業員が無理してカバーする
健康リスクが高まる(≒休業リスク)
殺伐剣呑とした雰囲気になる
お客目線でいい雰囲気に見えない/店舗評価が低下する
疲労によるサービス提供力の低下
不注意による怪我や物品破損といった事故リスク
事故をカバーする追加労働の悪循環

長年、身をもって経験してきました(&現在進行形)。
店長と言われる人達共通の悩みです。食品だけではない全業種の“店”や“物販”に関わる運営責任者に共通する悩みかもしれません。

アルバイト募集に工夫を凝らすことも大切です。
コロナ禍では仕事が一時的になくなった方を採用しました。
現在は短時間勤務・不定期勤務・育休中の方の採用も多いです。
それでも従来のアルバイトシフトを充足させるには至りません。

人手不足時代の解決策は、至ってシンプル。
・休む(営業時間や日数の適正化)
・何かのサービスを止める/絞る(集約化)
     +
・正直にお客さんに伝え、共有する

これしかありません。
今後も満足のいく、質を落とさないモノやサービスを提供するための決断です。

提供側&店側は「人繰り」も「カネ勘定(損益分岐)」も「自身の健康・家族の暮らし」もすべて天秤にかけ悩み抜きながらサービス維持に努めています。

が、どうしようもない不可抗力の場面が多々出てきました。
現在(2024年)以降さらに人手不足が深刻化するのは間違いありません。
前述した通り、様々な決断を経て各店主は営業を続けています。
精いっぱい続けている現況をあたたかく見守っていただき、購入/ファン継続をお願いします。

次はヒトが減る時代〜消費編〜を書きます。

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↓参考:2024年年初予測


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