八百屋ノムさん

都内23区の美味しい野菜売り。八百屋歴20年超えちゃいました。埼玉の秘境出身。音楽&ク…

八百屋ノムさん

都内23区の美味しい野菜売り。八百屋歴20年超えちゃいました。埼玉の秘境出身。音楽&クラフトビール愛好家。野菜はどうした。

最近の記事

あなたの食生活の変移こそ、日本全体の「食の変遷」であり「未来」になる【八百屋から見た“食”no.44】

「りんごが減ったのはなんで?美味しいのに。」という会話をちょくちょく聞きます。 霜害の不作や台風の落果。凍結・降雹・異常開花。 2018年長野千曲川氾濫・2022年青森岩木川氾濫による埋没や流出。 表年裏年等、生産者(供給側)の状況は店でもこれまでしてきました。 今回は、逆の視点から。 つまり消費者(需要側)の状況説明により、よりリアルに考察します。 ===== 皆さんに質問です(._.) ご自身が今年に入って(1月+2月)【リンゴを生で何回食べたか・食卓に出てきた

    • 展示会でゆっくり考えてみた【八百屋から見た”食”no.43】

      先日、和食展に行ってきました。 東京農大出身なので大根画像を撮ってみました。 深い内容は専門家にお任せするとして、 【展示を見る】自体久々で、展示見ながら考えに耽る・想いを馳せる時間は動画SNS全盛の今、かえって貴重だな贅沢だなと感じました。 食を囲む時間がコミュニケートの中心だった古代〜昭和中期。何かに急かされるように栄養摂取する現在との比較に違和感と合理の両面を感じています。そしてとても大切な何かが抜け落ちているのだろうとも。 食べる時くらいは、時間を取って。 世

      • 40代以上は気をつけよう【八百屋から見た“食”no.42】

        目の前にあるモノ・場・人・状況から連想することでヒトの判断力は育ちます。 スマホ(web)・テレビ・雑誌といったメディアを閲覧して情報を“仕入れ”たところで、誰かが発した悪い意味での「伝言ゲーム」には参加したくないし、参加するメリットがありません。 10代20代30代の皆さんは、物心ついたころからWebやスマホとの付き合い方に慣れていて、エンタメとして(≒情報の距離を置いて)閲覧できても、40代以上の方々はスマホ発信の全てをメディアだと思い込んでいて、エンタメとして見れな

        • 個人商店は特定のお客さんに喜んでもらう仕事。全員に認められなくてもいい【八百屋から見た“食”no.41】

          昨年より闘ってまで言いたいことが減っています。 ある種の承認欲求が落ち着いたのかもしれないし、自分の出力(≒マンパワー)が落ち気味なのかも。あるいはヨノナカの全員に受け入れられはしないという諦観なのかもしれません。 「こんなことやってます」アピールよりも、日々のサービスレベルを落とさずそつなく終え、店を利用してくださる方々に応えたいという意識が強くなっています。個人商店にとっては(全員でなく)ファンに応え続けることこそが有意な拡がりとでも言いましょうか。 弱者の闘い方と言

        あなたの食生活の変移こそ、日本全体の「食の変遷」であり「未来」になる【八百屋から見た“食”no.44】

          ヒト&胃袋の縮減と無関心の大波。〜2024年の抱負〜【八百屋から見た“食”no.40】

          2024年も美味しい普段遣いを念頭に仕事します。 いつのまにかフォロワー100名超えてました。ありがとうございます。 2023年の抱負は継続しつつ、2024年になった今思うことを列記します。 ◇経営の最適化(≒個人労働/行動範囲の最適化) ◇(働く)ヒトがいなくなる中の運営 ◇食資源が減りづづける中の運営 ◇〃→それでも野菜&コメは余っちゃう問題 ◇労働のスコア化(単価&軽作業化) ◇食事のスコア化(栄養摂取化) ◇「〇〇の消費拡大・推進」という都合良い未来はやってこない

          ヒト&胃袋の縮減と無関心の大波。〜2024年の抱負〜【八百屋から見た“食”no.40】

          八百屋は簡単に事業展開できると思っている人達へ【八百屋からみた“食”no.39】

          「八百屋なんて簡単」 いや~ひさびさに聞いたんで所感を。 異端の八百屋を紆余曲折21年ほど続けています。本当にいろんな方に支えられてきたし、正直運もあります。仕事にばかり運使ってどうすんだという御声は置いといて。 個人的には【八百屋は個人運営で最も難しい商い】と常に思っています。継続できる収益性を常に生み出しにくい職種。だから他人に全く勧めないし、ベンチャー企業&しくみ作って多店舗展開とかマニュアライズした運営でうまくいくなんてビタ1文思わない。テンプレでできるわけないで

          八百屋は簡単に事業展開できると思っている人達へ【八百屋からみた“食”no.39】

          インボイス苦闘【八百屋から見た“食”-番外編-】

          ※当方は法人経営です※ とある農家Aさんとのやりとり(インボイス登録ナシ・消費税はオマケしていると思っている方)を残してみました。 ↓インボイス、個人的にはこんなふうに思っています(・ω・).。o○。 と、雑念たっぷりに思ってますが、ルールはルールなので現状理解につとめ、インボイス登録されてない方には極力登録をお願いしています。美味しいモノ作って出荷してくださる農家とこんなしょーもないやりとりで、商品本位だった永年の取引を最悪切らなきゃいけないのか(or消費税コチラで丸

          インボイス苦闘【八百屋から見た“食”-番外編-】

          美味しいくだものは生産者から直接買おう【八百屋からみた“食”no.38】

          果樹(≒樹木で実るくだもの)の今後は本当に厳しいです。 ◆異常気象(暖冬の開花異常・遅霜の枝花凍結・台風の風水塩害・夏秋の高温多湿&病害) ◆流行病・ウイルスによる伐採。高温耐性&耐病品種への植え替え ◆生産者高齢化による労働力不足&廃業(継いでも未来が見込めない) ◆大幅な需要減(贈答文化の消滅+今まで食べていたご年配層が噛めなく剥かなくなる+元々美味しいくだもの食べたことない層) ◆生産資材/燃料動力費/人件費といった生産コストの上昇 ◆梱包資材/宅急便送料/クール便切

          美味しいくだものは生産者から直接買おう【八百屋からみた“食”no.38】

          生鮮売場は必需ではなくなった【八百屋から見た“食”no.37】

          近年、都内スーパーでは、リニューアルのたびに惣菜売場&冷凍食品売場が拡張し生鮮売場(とくに青果と鮮魚)は縮小しています。買い物される皆さんは実感あるのではないでしょうか。生鮮の売場面積が小さくなったため、選ぶ楽しみも選択肢もどんどん減っています。 すでに“料理する前提”で生鮮品が売場に並ぶ時代は過ぎました。常備ではなく、使うか使わないか/気に入った商品か否か/料理するかしないか、世帯ごとに判断が分かれる食材になりました。特に単身世帯。 生鮮品を高い安いで騒ぐ時代も過ぎてい

          生鮮売場は必需ではなくなった【八百屋から見た“食”no.37】

          9月10月のトマトが高い理由【八百屋から見た“食”no.36】

          「びっっっっっっくりするくらいトマト・ミニトマトが高い」とのニュースが駆け巡っています。 戦争/肥料/輸入危機といろいろ理由をつけたがる人がいますが、現在のトマト高騰については単純な理由。 9月・10月は、1年で最もトマトが流通しない(栽培リスクが高く流通量が少ない)期間。簡単に言えば元から季節外れ・旬外れだからです。 今年ならではの理由もあります。 ①7・8・9月の全国的な猛暑で、1カ月早いペースで取り切ってしまい、(10月まで収穫予定だった)夏トマトの樹勢が弱まり、

          9月10月のトマトが高い理由【八百屋から見た“食”no.36】

          オーガニック⇔慣行農業は対立しない。比較・優劣・区別する人達は時代遅れ【八百屋から見た“食”no.35】

          いわゆる“オーガニック農業/農産物”を10項目にまとめます (慣行農業と比べ) ①石油資材&動力使用は減らない。地球環境に優しいとはいえない。 ②生態系に優しいが、生育中の植物に対して悪さもする。 ③栽培条件(生育適期/地域/地質/水/温度/日照≒旬)に合う品目品種がメイン。 ④栽培条件に合わない品目品種の栽培は困難。技術力と天候と運。 ⑤栽培条件&品種特性&技術投入に対し、出来&味が素直。良くも悪くも。 ⑥天候不順による出来/不出来の波が大きすぎる。ド豊作もゼロもある。

          オーガニック⇔慣行農業は対立しない。比較・優劣・区別する人達は時代遅れ【八百屋から見た“食”no.35】

          八百屋を目指す皆さんへ。【八百屋から見た“食”no.34】

          八百屋・直売農家・小売店に共通します。 以下、謎解きみたいな書き方かもしれませんがお付き合いください。 これからの食料品販売は ◆安値&量販(お買得/お値打ち品/特売) ◆ストーリー(起源/歴史/イイモノ/自分優位/優劣比較) ◆農法(無○○/減○○/○○をなるべく使わず/丁寧に/キケン/安全) 上記に【訴えない】運営で いかに顧客を増やし続けるかどうかです。 意気揚々と新しく始めてはすぐにつぶれた店。 テンプレートのようにこだわりだけは言える店。 メディアにたくさん出て

          八百屋を目指す皆さんへ。【八百屋から見た“食”no.34】

          猛暑に耐えられない東京の食品流通【八百屋から見た“食”no.33】

          もう7・8・9月の東京は生活する場じゃないなと。 夜間28-30℃・日中35-40℃・直射50℃・車両輸送50-60℃ この環境下で丸々3カ月過ごす世界観。 農産物&食品全般の流通や販売は来年以降大幅に減ると推測します。農家&製造元もそこまで(廃棄や赤伝前提で供給)しなくてもいいし、作っても収入にならない状況は経営上難しいです。 ◇輸送・小売◇ほぼすべての野菜/くだもの/農産物が「クール輸送」でないと成立しなくなりました。季節柄コメも冷蔵輸送&保管したいくらい。食品流通

          猛暑に耐えられない東京の食品流通【八百屋から見た“食”no.33】

          猛暑期は買い込まないこと。【八百屋から見た“食”no.32】

          猛暑期はフードロス回避とか言ってられません。 生鮮品&食品は傷みます。食べきる量だけ買う。安いからもったいないからとたくさん買わない。すぐに食べないのであれば、結果、捨てるのです。 真夏の生鮮品売場の判断は特にシビア。“売り物”でなければ/お客さんが買いたいと手に取る状態でなければ、見切りor廃棄します。 廃棄処分をもったいないという方は、売れなくていつまでも冷蔵ケースに置いてある干からびた野菜でも順繰りに買いたいか/買って使い切れるかを冷静に考えてください。もったいないと

          猛暑期は買い込まないこと。【八百屋から見た“食”no.32】

          (軽い)熱中症になってしまいました。

          関東は連日の真夏日猛暑日。 私達が普段見る「天気予報の最高気温」は直射日光が当たらない筒の中で風通しが良い、芝生にある地表1.5mの位置で計測されています。 店頭の1.5m程度の高さで実測すると 日陰で+3-5℃。日なたは+7-10℃。 ほぼ毎日、日陰でも33-38℃を計測しています。 7月初旬。早くも熱中症になってしましました。 めったに体調云々で店を休まないthe自営業体質。どうにかして営業できないかなと思考します。やることリストも毎日パンパンな中、月曜に通常開店。

          (軽い)熱中症になってしまいました。

          「食の安心」は、あなたの心の中に。【八百屋から見た“食”no.31】

          はっきり申し上げます。 私が仕事する“食・農の世界”に限定すれば 『安全』はお伝えできても 『安心』はあなた次第です。 === 記事見てやきもきして 動画見てそわそわして ナニカ知った気になって (明確に言えないけど)食べ物が不安だ・農薬使用が不安だとまくしたてる一見さん、まぁまぁウチの八百屋に(いわゆる自然食品店と勘違いして)来ます。月1~2人くらいでしょうか。 どこかで見た怪情報をもとに「使われている〇〇がアブナイ・不安・心配」と食品や野菜を眺める人達。買い物へのこだ

          「食の安心」は、あなたの心の中に。【八百屋から見た“食”no.31】