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大学生のレポート:地域開発分野に関わる農業ソーシャルビジネスについて。高齢者がいきいき!

2020年7月19日 日曜日 15:43
「株式会社いろどり」から見るソーシャルビジネス

今回もこのシリーズの一環で、過去の自分のレポートを振り返っていく。
それでは早速!👇

ソーシャルビジネスとは

ソーシャルビジネスとは?
地域社会の課題解決を目的としているビジネス。

具体的には?
・少子高齢化、医療・介護問題、そしてリサイクル等の環境問題に至るまで、幅広い内容での課題解決を目指す。
・社会的な課題の中から「ビジネス市場」を見出し、持続可能な経済活動と問題への取り組みを両立させる概念。
・住民、NPO、企業などの様々な主体が協力する。
・ビジネスという名前ではあるものの、社会貢献の意味合いが大きい。
・従来の会社だけでは仕事に十分なやりがいが感じられず、報酬よりも社会や地域のために貢献したいという人の「需要」から、ソーシャルビジネスは生まれた。
・働く人のやりがいと地域社会のニーズの両方に応える。
・事業形態はまさに「win-win」。

具体例

具体例としてここからは【「株式会社いろどり」~葉っぱを商品に高齢者が生き生きと働く街~】に焦点を当てていく。この企業は、徳島県上勝町で、葉っぱや草花を料亭やホテル・旅館で使われる料理のつまものとして出荷事業を行っている。

ただし、最初からこの地域で葉っぱの生産が盛んにおこなわれていたわけではなかった。上勝町の主力産業のミカンが寒波で思うように収穫できず、新しい農産物を探していた。そのタイミングで、このビジネスの火付け役が、葉っぱの生産を提案した形だ。

出荷サイクルが短いから、新しく生産を始める際の資金繰りもしやすい。更に、葉っぱは軽いため高齢者でも生産時に負担がかからない。現在の代表取締役は、つまものの市場調査を重ねながら市場拡大に尽力した。

生産者は高齢者が中心だ。操作を大幅に簡略化し、「高齢者にとっての使いやすさ」に特化したパソコンの開発を行い、POS 【Point of Sale(販売時点情報管理)】システムを導入した。商品の売れ行きを種類ごとに分析することで、需要と供給のバランスを確認することを可能にした。

また、バーコードを付けて出荷情報を確認できるようにした。市場動向を農家の高齢者に把握してもらうことで、出荷調整を生産者の高齢者たち自らができるようにした。

売り上げの可視化などによる、「見る価値のある情報」で、パソコンに拒絶反応を示していた高齢者も、パソコンを意欲的に使ってくれるようになった。

提供する具体的な情報としては、商品の出荷先の市場、出荷量、売れ行きと単価、翌日の目標数量、市場状況の配信等多岐にわたる。JAからの市場状況・出荷情報の提供を受けて市況を分析して、専用PCで生産者に情報を届けている。

企業が、JAからは十分に提供されない消費者からのフィードバックもまとめて生産者側に届ける。売り上げがいくらで、どの商品が得に売れているのかを知ることで、その後の生産に計画性を持って取り組める。

パソコン上で個人売上を公表して周りと高めあうシステムの構築も行った。売り上げが伸び悩んでいる農家にはすぐ電話をして状況を聞いて相談に乗る。売り上げの目標をファックスで伝え、生産者のモチベーションを高く保てるよう工夫している。

これらの策が功を奏し、おばあちゃんたちはとても元気な様子だ。歳を取ると働かず、寝たきりになる人が多い世の中で、この町の農業に従事している高齢者は、自分で稼いだお金で納税している。毎日目標を達成することで生きがいを感じる高齢者。笑顔をみられる事が団体を更に突き動かしている。

農協職員が中心となって徳島県で86年にスタートしたこの事業のおかげで、上勝町の葉っぱのシェアは全国の八割を占めている。今までとは違った生産品目を、街の主力産業に成長させ、街の老人に活気を与えた事業と言えるだろう。進学・就職などの理由で都市部に働きに出た人が出身地に戻って職につくきっかけにもなっている。

ここまで紹介してきた事業以外にも株式会社いろどりは様々な取り組みを見せている。「いろどり農業体験」では、上勝町の農業を短期で体験してもらって、就農の足掛かりにしたい人を募集している。指導を担当するのは上勝町の農家さんで、参加費、宿泊料は無料だ。

ホームページでは、農業体験をきっかけにした移住者体験動画も公開している。インターンシップとしての農業研修も案内されている。さらに、ビジネスを立ち上げた代表取締役自らが講演会を開いたり、一般向けではなかなかない葉っぱのオンラインショップ開設にも取り組んでいる。

評価基準から考える

JAとのやり取りだけではどうしたらいいかわからない農家の人々からのニーズが十分にあるため、このプロジェクトには妥当性がある。

葉っぱが主力産業となり、地域も活気づき、波及的効果で上勝町に移り住んでくる人も見られるため有効な事業だ。

当初のミカンに変わる産業を創り出すという目標に加え、地域の高齢者の大きな支えとなっているため、当初の計画以上に効果が出ている。現在の代表取締役の地道な努力が実を結び、効率的に事業効果が得られている。

また、先ほど述べた通り、当初の目標以上の成果が波及的にみられているためソーシャルビジネスとしての「インパクト」は十分にあった。

支援終了後に支援効果が持続するかと考えると、企業とJAと生産者が相互依存関係にあるため、一つでも欠けてしまうと上手くいかない。だが持続的な雇用創出にも繋がっている。三つの主体同士の連携によって実現されている事業なので、整合性が認められる。

ただ、この企業の活動は本来JAが担当することが出来れば三つの立場がやり取りをするよりももっと効率的だと感じた。


最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています👋


参考資料

・経済産業省 ソーシャルビジネス事例集55選 NPO法人ハートフル
http://www.npo-hatofuru.or.jp/information/case/case_social55_all.pdf 
・株式会社いろどりホームページ https://www.irodori.co.jp/
・地域開発論講義内容

僕のnoteを読んでくださって、ありがとうございます!お金という形でのご支援に具体的なリターンを提示することは出来ないのですが、もしサポートを頂いた際は、僕自身の成長をまたnoteを通して報告させていただけるように頑張りたいと思っています。