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Japan Color その2 誕生から普及までの流れ

日本の標準印刷色Japan Color誕生

1995年に日本の代表的な印刷機器、インキ・用紙を資用いてオフセット印刷した場合、どのような色が再現されているかを、ISO/TC130国内委員会によりとりまとめられました。

この時点での日本の印刷業においての一般的な色再現自体が、まずは把握されました。

もともとISO12647-2という、オフセット印刷の世界的標準化 を規定したものがありました。しかし印刷の色再現はインキと用紙に大きな影響を受けますが、これは各国で使用される銘柄がまちまちで統一が難しく、国ごとにカスタマイズする位必要がありました。

そこでISO/TC130国内委員会が、ISO12647-2を日本の事情に沿って「Japan Color色再現印刷'97」を策定されました。ここで初めて日本の印刷の色再現の標準化が行われたことになります。

この時点で関係者の間では、学会や協会などで日本の印刷の標準化の動きが始まったが、実際にこの印刷標準をどのようにつかってよいのか、まだピンと来ていない状況でした。

 この1990年代後半では、グラフィックアプリケーションのカラーマネジメント対応も進んでおらず、Japan Colorのプロファイルも作成されていませんでした。

余談ですが、この頃デジタルカメラが少しずつ普及してきており、製版現場で少しずつRGBデータが取り扱われるようになりました。しかしJapan Colorのプロファイルはなく、アメリカの印刷条件のプロファイルであるSWOPがCMYK変換に使用されました。アメリカの印刷は日本にくらべ、GCRというグレー成分をKインキに置き換えインキ量を減らし、印刷結果の安定やコスト削減を目指した手法が多く適用されており、結果としてスミっぽい仕上がりとなってしまいました。そのため、本当はSWOPプロファイルのCMYKのせいだったにも拘わらず、デジカメは画像をスミっぽくなるという汚名を着せられていました。

Japan Color普及を目指して

続いて日本国内で通常使われているインキ、印刷用紙4種類(アート、コート、マットコート、上質紙)について標準色を定めた「Japan Color色再現印刷2001」が策定されました。

Adobeがそれに対応したプロファイル、Japan Color 2001 Coatedを作成しAcorbat6.0から順次バンドルしていきます。

 dobe製Japan Color 2001 Coatedは、ただ単にJapan Colorを反映させて日本の印刷事情に合わせだけではなく、スミ版の生成や色のグラデーションのつながりなど、プロファイルとしてとても優秀でした。

これにより業界全体がこぞってJapan Color 2001 Coatedを使い始め、印刷会社だけではなく、デザイナーやカメラマンにも日本の印刷基準であるJapan colorが浸透していきます。

また、Mac OS XやAdobe Creative Suiteなどにより、カラーマネジメントのインフラが急速に発達、デジカメの普及とともにカラーマネジメントのニーズが高まります。

その後は、印刷方式拡張の「新聞用ジャパンカラー:JCN2002」、「商業オフ輪用ジャパンカラー:JCW2003」が、アナログ刷版からCTPへの移行を受けてのアップデート「枚葉印刷用ジャパンカラー2007」/「ISO準拠ジャパンカラー枚葉印刷用2011」が続き、今に至ります。

また2009年からは、「Japan Color認証制度」が開始され、「マッチング認証」「プルーフ運用認証」「プルーフ機器認証」「デジタル印刷認証」と制度は拡張され、Japan Colorはさらなる普及が続けています。


ここまでまずは、なぜ必要なのかの理解が大切だと思いましたので、Japan Colorの背景・歴史をご説明しました。しかしここまで来ると、印刷色はどうのように定義されて、実装されているのかが気になってくると思います。

次回はその点技術的にお話していきたいと思います、2億4千万の瞳のための色を。本日もお粗末さまでした。

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