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リーマンショックで去っていったアーティストたちから学んだこと

20代の時、私は音楽業界で働いていました。
好きなことと得意なことと大切にしたいことが一致していて、日々やりがいを感じ、全身全霊で打ち込んでいました。体力的には相当きつかったものの天職だと思って働いていました。

そんな私が、いま現在、なぜ”ビジネス知識を届ける”ことを自分のテーマにしているのか、そんなパーソナルな内容を書きます。

創作に打ち込む人はビジネス知識が浅くなりやすい

音楽業界で働いていた時、たくさんのミュージシャンやクリエイターに出会いました。どんなジャンルや音楽性の人でも、パッションやエネルギーが高く、チャーミングでスマートで人を引きつける人間力は共通していました。

「メジャーデビューする人は違うなあ!」と仕事をしながらいつも感嘆していたものです。

しかし、どんなに人間力や出してくる作品のクオリティが高くても、やはり芸能&エンタメ。簡単に生き残れる世界ではありません。そもそも単発契約(ショット)でしかCDを出せなかったり、契約更新ができずに終了するアーティストをたくさん見送ってきました。

売れる/売れない、残る/残らないという振り落としは実に厳しく、本当に数多くのアーティストと別れてきたものです。

総じて言うのであれば、クリエイターはビジネス知識が弱いことが多いんですよね。どうしても自分の作るコンテンツのほうに注力しがちで、契約知識や交渉、ファイナンス、競合やブランディングや戦略、個人法人のプロコン、長期ビジョン、市場の変化やデジタル化、イノベーションの与える影響など。。。まあご想像の通り、ほんとうに苦手な人が多いものでした。

私が働いていた10年前などは、ネットに知識が落ちていることがいまほどなく、調べてもわからないことだらけ。そこをサポートするのが昭和平成は事務所、マネジメントでしたが、クリエイターにとってマイナスな事務所も世の中にはあります。また、時代が変わってきてセルフマネジメントが大切になることは明らかでした。

私は関係するミュージシャン本人に、なるべく知識をつけるように、マネジメントにすべてを預けないように、こっそりとでも本気で時折伝えていました。


リーマンショックですべてを失う

そんなMAX最高な日々の中、起きた事件が「リーマン・ショック」です。

このビッグビッグ経済トラブルの余波で会社の私の所属部署は閉鎖。部署所属のミュージシャンも問答無用で一気にさよなら。部署の先輩たちもほぼリストラ(契約社員が一般的)。部長も社長もリストラ。早期退職大募集のアナウンスを見て、4年目の同期も応募する始末。もちろん私が心血注いでいた担当アーティストたちもすべてリストラ。。。

「想定外」すぎる出来事のおかげで、仕事を失った先輩たちは怒り狂ってパソコンを投げたり仕事中に酒を飲みだして泣き出したり。ミュージシャンとマネージャーがひっきりなしに会社に来て、大声でわめいていました。

わたしも人生の最高に楽しい時期から最悪の時期へ急降下、こんなことあるのかとこれまでの人生で一番落ち込みました。どうにかしたくて労働組合や社長に陳情しましたが、過去例を見ないほどの売上減の中そんなものなんの役にも立たず。どんどん部署の雰囲気は悪くなり、出社する人も減っていきました。ただただ、敗戦処理を片付ける日々...

正直つらすぎる記憶でよく覚えていないのですが、私自身も眠れなくなり、家の中で笑いが止まらなくなった直後に涙がとまらなくなり吐いたりする事が続きました。なんどか会社でも倒れ、確か5キロくらい痩せました(今思えば本当に限界の精神状態でした)。

ある担当アーティストに謝罪の挨拶をしに行ったとき、言葉が出ず、涙が止まらなくて喋れなくなって意識が遠のきかけたのを覚えています。(いまも書きながら思い出して呼吸がしにくいです)

荒波に放り出されたアーティストたちは、散り散りになっていきました。最悪な結末を迎えた人もいます。

私は自分の力量不足で救えなかったアーティストたちに申し訳無さと謝罪と後悔の思いばかりで合わす顔がなく、本気で笑えなくなり、人との交流が怖くなり、数年間ひきずりました。


知識がないと守りたいものは守れない

当時の私は何が起きたのか、本当に本当にわかりませんでした。
リーマンブラザーズなんて聞いたこともない会社の破綻がなんで自社に影響して、私が愛していて全身全霊をかけていた仕事がなくなるのかまっっったくわかりませんでした。新聞を読んでも、ニュースを見ても理解できない。
世間知らずで浅はかだった自分を恨みました。

唯一わかったのは、
「経済ニュースを理解できないと、自分が守りたものも守れない」
ということ。

結果私は他部署に拾われたのですが、そんなわたしの人生を一番揺さぶったリーマンショックを通じて、

「ビジネス知識や経済ニュースを理解できないと、やりたいことなど続けられない」
「資本主義社会で生き抜くためには、資本主義の仕組みを学ばなければ、やりたいことなど続けられない」

というマインドセットが私の中に強く強く強くインストールされたのです。


学べばやりたいことを続けられる

ビジネス知識や経済ニュースがわかるだけで、荒波を漕ぎ、やりたいことを続ける方法が見えてきます。

行きたい方向に向けて船を漕ぎ続けるには、オールの使い方がわからなければだめなんです。運転方法がわからないとだめなんです。天気や海流を読み取れないとだめなんです。

自分の行きたい、やりたい、だけでは違うところにたどり着くし、転覆して死んじゃうこともあるんです。大船だって、穴が空いたり座礁したり違う方向に進むこともあるんです。

ものすごく当たり前なんですけど、20代の私はここがわかっていなかった。
自分の周辺でいい仕事をすれば行きたいところに行けると思ってた。

人生で一番大きな教訓だったといまでは思っています。


コンパスとサバイブする方法を届けたい

一連の経験から、
「ビジネス知識やスキルや経済ニュースを気軽に学ぶことで、やりたいことを続けられる人を増やしたい」
ということが自分の人生のテーマになりました。

その後模索期がありましたが、いま私は子連れMBAという団体で「自分らしい仕事をするために必要な知識、場所、仲間」を多くの人に届けたくて活動しています。

改めて、このビジネス知識や経済ニュースを届けること、気軽に学べる場を作ることこそが私の使命で、パッションが燃え続けることだと感じています。当時のアーティストや当時の自分に顔向けできる価値のあるテーマだし、どん底体験をバネに昇華できたからモチベーションが湧いているんだと思います。


子連れMBAでは、ビジネス知識やスキルや経済ニュースを仲間と気軽に学ぶことができます。

ここで学ぶことは、あなたの自分らしい仕事を作るために、続けるために役に立ちます。

よかったら講座やプログラムや会員コミュニティにご参加ください。

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子連れMBA
10月講座 未来を創るための「組織論」
11月開催 現実を変える! ライティング基礎 第2弾(アンコール開催)


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