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ミッション・ハチ再び~達人の技~

 朝ごはんを食べ終わり皿洗いを終えた頃

ブブブブブブブブブブブブブブ・・・ッ!!


一目、いや、一聞きで明らかに蚊やハエとは違う激しい羽音が聞こえました。ミツバチとかのブ~ンとかいう羽音が普通のバイク音としたら、この巨大バチの羽音はデッカイ改造マフラーをつけた暴走族のような爆音、しかも小刻みに震わせてるのがクッキリとわかる羽音でした。

反射的に天井を見ると、また(←!)私の親指ほどもある巨大な蜂が!!!

(ココがどんだけ頻繁に蜂の襲来を受けている家かは、こちらの記事を読んでいただけばおわかりいただけるかと思います↓↓)

私は即座に部屋の電気を消しました。

いつも家に乗り込んでくる足長バチっぽい、それなりに大きいけどスリムな蜂は「明るい方に向かって飛ぶ」という習性上、電気を消してじっとしていれば10分もしないうちに、ほぼ自分で出て行ってくれるからです。

ところが電気を消したままにしても、今日のヤツはむしろ更に暗所に隠れ、じっとしたまま居座っています。

電気を消すと、窓から差し込む光が如何に明るいかよくわかりますが、そこにいたらわからんだろうね・・・。

そして、洗面所に籠もってダラダラと長支度している旦那Kを呼びつつも、いつも手伝ってくれないKに私は半分絶望しながらビリビリラケットを片手に一戦を交える覚悟を決めました。

ビリっと痺れさせる為電池交換して電気マーカーが点灯するかチェック!

ところが!


今日に限って何を思ったか、Kが台所からビニール袋を取り出し、
「お前、子供の頃ハエ取りして遊んだことあるか?」と一言。

・・・は?"(-""-)" 

ハエ?!

ハエ取りして・・・遊ぶ???

Kの意図もわからなければ、「ハエを取って遊ぶ」という感覚もピンと来ず。やって楽しい遊びは他にもいっぱいあるだろうに、どうしてこともあろうに「ハエを取る」ことを遊びにしちゃったのか・・・理解できません。

Kは袋をこんな風に半分くらいで持って、ビニール袋を下半分の虫取り網部分と上半分、文字通り袋小路の部分とに分けて見せてくれました。

聞けば、Kは子供の頃に何人もの友達と皆でこの袋を使った即席虫取り網で、下の網部分でハエを捕まえては、ハエをうまい事追い込んで上の袋小路に溜めこんでいき、誰が一番たくさんハエを捕獲できたかを競っていたそうです。

「ハエを捕まえんのに、ハエに感知されないくらいゆっくり手を近づけて、でも逃がさないように袋の口を隙間なく押さえ込むのには冷静さが必要なんだよ。」
と説明してくれるK。

・・・・ふ、ふうん・・・💦

やりたくはないけど、確かに色々なテクがいりそう・・・捕まえたら捕まえたで下の網部分から上の袋小路に閉じ込めるのにちょっとした器用さがないとハエを溜めこめないだろうし。

・・・でもちょっと待って。

アンタ、そんなヤワいビニール袋で、あの巨大な蜂を捕まえようとしてるの?!

小型のハエには通用しても、あんなデッカイ蜂が暴れたら、そんな袋ひとたまりもないでしょうが!!?

「いやいやいやいや・・」

止める私をスルーして、Kは脚立をセットすると、そっと登っていきます。

私なら蜂が動いた瞬間、ビビッて脚立から落っこちそうだけど・・・😨

Kが近づいてきたのを見て、ハチが明らかにそれに気づいた反応を見せました。Kはそれでも慌てず騒がず、滑らかな動作で決してスペース十分でもない壁に止まっている蜂をビニール袋の口でパフっと捉えました。

途端に

ブブブブブブブ?ブブブブブブ?ブブブブブブブブブブブブブブブブ!!
ブブブ ブブブブブ? ブブブブブ ブブブブブ
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ!!

何かを問いただすかのように、抗議をするかのように、ハチは羽を震わせてみたり、何かを確認するかのように止まってみたりを繰り返しながらとにかく激しく暴れ続けました。

私だったら、仮に100万歩譲って捕獲に成功しても(100%成功しない自信はあるけど)もうこれだけ暴れられたらビビッて手を緩めてしまいそうなところ、Kはその激しい音にも少しも反応することなく、脚立の上でそのままの姿勢をキープしつつ上側に追い込もうと蜂のスキをうかがっています。

な・・なんと‥‥‥‥シュールな光景!

遠目で見てる私の内心

そして、数分間の格闘の末・・・

で・・・・デカい・・・
ブブブブブブと激しい羽音を鳴らし続けながら、出口を見出そうと色んな向きにグルグル回り続けます。って言うか支度するから持っててと持たされた私。
ひっくり返って見たり。薄い袋一枚隔ててるだけなので持ってたくもないんですけど。
そして最終的にはこの袋を噛み切ろうと、口のハサミをガチガチさせる様子。袋が口のハサミに押されて尖り気味なのがおわかりいただけるだろうか。

ひっきりなしに羽音を鳴らしながら袋の中を暴れる蜂がコワくて、袋を持ちながらいる私。

蜂を拷問しているのか、私が拷問されているのか、もはや私には謎。

そして支度を済ませたKが、ようやく私の手から蜂袋を回収して
「下に下りたら袋を開けて逃がしてやるわ♪」と。

何・・?
何なんですか、その菩薩心?
何でこんな苦労してまで生け捕りにしたんですか?

今日に限って!!!

という私の心の叫びが聞こえる訳もなくKはご機嫌で下りて行きましたとさ。




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