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「ワーク・ライフ・バランス」では地方の暮らしは回らない。

人口35,000人のまちで暮らしている。7年前に移住してきたときと比べると居住者は5,000人ほど減っていて、県内でも人口減少が進行しているエリアだ。

近頃、自分の生活の中で考えるべきは、ワーク・ライフ・バランスというよりも、ワーク・ライフ・コミュニティ・バランスだな、と感じるようになった。

ここでの「コミュニティ」とは、近隣の住民で組織する地域コミュニティの活動のことを指している。

「ワーク・ライフ・バランス」とは、「仕事と生活の調和」という意味で、

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
(内閣府webサイト http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html

を国は目指している。

この文章でも、「地域生活」という言葉は入っているけれど、あくまでも「ワーク・ライフ・バランス」は、一人ひとりの暮らしという目線で考えるものという印象がある。

しかし、人口が少なく住民自治の意識が強い地方では、個人の生活の中に地域コミュニティでの活動が否が応でも入り込んでくるのだ。

そのきっかけは、たった1つ地域の中で役割を引き受けることだったりする。たとえば僕の場合は、自分が住むaという部落の「教育委員」という役を引き受けたことがきっかけだった。

プレゼンテーション1

a部落は、b部落・c部落と共に、A地区(昔の小学校区)を構成している。
A地区では、各部落の区長や老人会、婦人会といった住民組織どうしの連絡・調整を行う協議会(A1)があり、a部落の教育委員はA1の構成メンバーに自動的に組み込まれる。また、A地区には、A1以外にも、住民有志が自主的に企画する地域づくり活動に取り組むためのA2という組織もある。部落の教育委員は、こちらにも自動的に組み込まれる。

つまり、部落の役を1つ引き受けると、少し広域のA地区での役がもれなく2つ付いてくる、ということだ。

そして役についてまわるものは、会議。
総会、評議員会、地域行事について検討する会などなど、毎月、何かしら地域コミュニティの会議の案内が届く。

A1とA2の構成メンバーは、ほとんど同じなので、わざわざ別々に会議しなくても、まとめてやってしまえばいいのに…と思っていたら、市が公民館を自治センター(コミュニティセンター)へと移行する方針を打ち出し、その流れの中で、A地区でもA1とA2の統合について検討することになった。
…という経緯で、あらたな会議に呼ばれる。

さらに今年度からは、小学校の学校運営協議会の委員という役も回ってきた。

これ以外にも、今は引き受けていないが、消防団やPTAなど、地域コミュニティに関わる役は、まだまだある。

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地方には、仕事(働き口)がない、と言われたりするが、地域コミュニティの役はたくさんある。同世代には、こうした地区の役を引き受けることを嫌がる人もいるようだが、役を引き受けることで、地区で暮らしている人とのつながりは確実に増えていく。
そうしたつながりが生む、顔が見える関係性というのは、なんだかんだで良いものだ、と自分は考えている。

ここ2年くらいは、コロナ禍で地域行事の中止が相次ぎ、交流の機会が著しく減った。それはコミュニティの存続にとっては結構、致命的なダメージを与えたと思っていて、これを機に衰退していく地区も増えていくのではないだろうか。

個人レベルの、ワーク・ライフ・バランスだけでなく、コミュニティのことをもう少しだけ意識する人が増えてくれたらな、と思う。

そのためにはどんなことができるだろうか。

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