「新書ベスト3」2023-24シーズン

1冊目『ソーシャル・ジャスティス』内田舞。

このシンプルで、複雑な概念は、良く考えたいです。

承認欲求。これはソーシャル・ネットにつながれた世界で過剰な言説によってアピールを行う様態に対して、否定的な評価をする用語とします。

この場合の承認欲求は、過剰である。それが問題視されますが、承認欲求それ自体は、何も問題ない。

過剰さに対する、過剰な批判。それが承認欲求という言説となってしまっている。

本書では、そのようなレッテルが世界を覆い尽くすような現実に対して、自身の生活をベースに、医学者の立場から科学を踏まえて問題解決としている。

一方で『実験の民主主義』宇野重規さんの場合は、保守主義(変化に対して慎重な立場)を紹介して、政治理論の実現可能性を、展望します。

この場合の保守主義は、トランプ支持者は、もしかしたら良い人(個性的な明るさ)かもしれない?

アメリカの思想では、プラグマティズムの活用という点では、単純な問題解決は無い。

共著の編集者、若林恵さんのようなweb3的な価値観は、可能性。その意味では成立する。

(当然に、不可能性とも紙一重。DAOという卓越者によるゼーレは、特定の条件にのみ依存して成立する。ひとつは経済的なプラットフォームである事。ふたつは、歴史的に創られる事。

問題点は、民主主義的なプロセスではなく、そこで試行錯誤する今にあります。

何度でも考え直さなければならないが、リアルな最適解は、構成する市民によって変動する訳で、未来予測は真理には到達できない。その今際。)

2冊目。『言語の本質』今井むつみ、秋田喜美。この本では、プラグマティズムと認知科学をテーマとしています。(それぞれ、アブダクション推論と、オノマトペの言語習得に対応します。)

哲学が、入門から始まる。来たるべき未来は各論として、野矢茂樹さん、『言語哲学が始まる』は、英米に向かう。ここも大事です。

この本『言語の本質』では、アメリカのプラグマティズム(合理と前に進むようなパワー)を、言語習得に関連付けて論じている。

身体性としての認知科学は、例えば赤ちゃんが寝ている状況で、ベッドや毛布のふれあいから、家族から、私とは何かという感覚が発見される。

これは心の哲学では、クオリアのような不思議なものをともなう。デヴィッド・チャマーズは、それをハード・プロブレムと呼び複雑な哲学的な命題とした。

一元論は、物質のみが存在する。

二元論は、物質と心が別々に存在する。

ふわふわとした説明ですが。

最後に。3冊目『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないか』ナンシー・フレイザー。

ここでは、斎藤幸平さんが思い浮かび、マルクスを再解釈して現代思想の枠組みで、革命を起こす。

セルジュ・ラトーシュ『脱成長』では、問題点を明確にして(やや過剰ですが)います。斎藤さんは、これを活動につながるような共同体として脱成長コミュニズムに発展させます。

環境問題のグローバル・ジャスティス批判、これは『ソーシャルジャスティス』内田舞さんに直接関係ないが、問題意識はリピートされる。

脱成長という言葉自体に価値がある。言語としてです。

戻る事と、繰り返しがキーワードだと思います。

時には過剰で。

そしてサイは再び振られる。ジャスティス。


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