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中高生の部活(運動部)に潜む危険

まもなく新学期。

この季節になると思い出す風景があります。

それは何年か前に、近所の中学校の前を通りかかった時のこと。


新入部員といえば


まだ桜が少し残っている校庭に、真新しいジャージを身にまとった、テニス部のおそらく新入部員さんたち。

そんな彼女たちが、まるで死んだ魚のような目をしてやっていたのが…

新入部員といえば、な、素振りです。

おそらく「素振り100回」などのノルマがあったのでしょう。

やる気な〜く、だら〜んと、テニス素人の私の目から見ても相当ひどいフォームで、死んだ目でただただ素振りをこなしています。

学校の部活って変わらないよねえ…と、気の毒に思いながら通り過ぎたのでした。

素振り100回に意味はあるのか


日本の教育現場では、素振り100回、腹筋100回など、回数をこなすこと=練習=よいこと のような風潮があるように思います。

運動でなくても、漢字や英単語を10回書く、音読5回など、宿題でもやたら時間がかかることをやらせることが多かった。

漢字などは1回書けばそれなりに覚えられるタイプだった私は、こういったタイプの宿題が本当に苦手で…



話を素振りに戻すと、実際にボールを打つ前に、ラケットを振る練習(素振り)は確かに必要でしょう。

まずはラケットと仲良くなる必要があります。

どうすればよりよくラケットを振れるか、自分で試行錯誤し、その結果素振りが100回になったなら、それは意味ある素振り100回でしょう。

しかし、私が見た子たちのように、誰からもアドバイスをもらえず、ただ回数をこなすことが目的になってしまったら?

貴重な時間が無駄になるばかりか、フォームが悪かったとしたら悪いフォームがますます増長してしまい、最悪身体を痛めることにもなりかねません

中学校の部活は、エネルギーの余っている子どもたちの体力を奪って悪さをしないために拘束時間を長くしている、という話があるくらいなので、「時間を奪う」というのはある意味正しいことなのかもしれませんが、せっかくの時間は有意義に使ってほしいですし、身体を痛めるなどもってのほか!と、おせっかいな私はつい思ってしまいます。

練習時間を有意義に


もし、部活で選んだスポーツ(あるいは他のことでも)にとても興味があった場合は、おそらく自然に自分からフォームの研究などをして上達していくことでしょう。

憧れの上手な先輩がいればその先輩の真似をしたり、教えてもらったりして上手くなるかもしれません。

興味がある上手になりたい、この気持ちが部活や習い事を選ぶ場合何よりも大事だと思います。

問題なのは、中学校の部活など、入ることが強制なのに、そこまで興味があることがない場合です。

仲のいいお友達が入るから、など、軽い気持ちで興味もない、しかもスキルのある指導者のいないに運動部に入ったりしてしまうと、時間が無駄なばかりか、身体を痛めるリスクも上がります。

実際、中高時代の部活がきっかけで慢性的な腰痛に悩まされている人、足首に爆弾をかかえている人などに私も数多くお会いしています。

どうしてもその運動部がいい!というわけではない場合、指導する人が専門家かどうかも選ぶ基準になるでしょう。

最近では外部から専門のコーチを呼ぶ部活もあるようなので、できればそんな部活を選べるとよいですね。

多くの時間を割く部活ですから、かけた時間は上達につながり、怪我なく楽しんでほしいものです。

周りの大人ができること


例えば「骨を折った」など、わかりやすい外傷なら怪我が治るまで休むことができるでしょう。

しかし、「腰が痛い」「膝の調子が悪い」「手首が痛い」「突き指」「軽い捻挫」など、外からは見えない不調だと、専門医にかかることもなく、痛みが少し引けばすぐに練習に復帰することも多いでしょう。

また、完全に治っていないのに復帰することが「やる気がある」と評価されるのもどうにかしてほしい風潮です…。

上で挙げた不調の原因には身体の使い方が大いに関係ありますが、そこを突き詰めることはまずないと言っていいと思います。

中高生が不調を訴えても、「若いから大丈夫だろう」とあまりおおごとにはされず放置され、本人も「そんなものか」と不調を我慢することが当たり前になってしまう。

こういったことが将来的な不調にもつながってしまいます。

子どもが不調を訴えた時には是非、専門医の診察を受け、完全に治るまでは休めるようまわりの大人が配慮してほしいと思います。

またなぜ痛めたのかの原因を考え、対策ができればなおよいでしょう。

あまりに理不尽な練習が強制される場合は、その部活を辞めることも選択肢です。

引退まで続けてこその部活、内申が気になる、等、色々事情はあるでしょうが、学校、部活だけが世界になりがち、視野が狭まりがちな子ども達に、大きな視野で将来を見据えたアドバイスをするのも周りの大人の責任かと思います。


運動=身体によいこと

と一般的には認識されています。

しかし、「勝つこと」が目的の「競技」になってしまうと身体への負担が増します。

「競技」になると、まんべんなく身体を使うというより、その競技に特化した強化をしていくのでどうしても身体の一部に負荷がかかる使い方をせざるを得ません。

いくつかの競技を組み合わせて練習できるとよいですが、部活、特に運動部は、入学時に決めた一つのものを引退まで続けるので、他の競技をやる機会がほとんどなくなってしまいます。

多くの部活は、大会で勝つことが目標の、すなわち競技スポーツでしょう。

競技スポーツは身体に負担をかけるものである、ということをぜひ覚えておいていただければと思います。



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