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女性性の奥深さを知る『娼年』

こんにちは、石川由弥子(ゆみこ)です。

先日、石田衣良さん原作の映画『娼年』を観ました。

こちらの作品は、池袋にある東京芸術劇場にて舞台化もされ、仕事を早退して観にいった思い出の作品です。

石田衣良さんといえば、大人なラブストーリーが上手な作家さんですね。

そう、例に漏れず、この作品もとても大人な作品です。

本作の見どころは、なんといっても女性の数だけある性欲の形

もはや濡れ場しかないと言っても過言ではないこの作品を、主演の松坂桃李さんは体当たりで演じ切ったわけです。

舞台では、松坂桃李さんとわたしの大好きな女優さん・高岡早紀さんがタッグを組んでいましたが、映画では高岡さんの役を元宝塚の真飛聖(まとぶ・せい)さんが演じられていました。

今回は、映画『娼年』の魅力についてご紹介します。

『娼年』のあらすじ

恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく……。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。

『娼年』のおすすめポイント

まず、ご注意から申し上げます!

映画冒頭から、松坂桃李さんのプリッとしたお尻が映し出されます。

初めから濡れ場なので、音量を小さくしておくことをおすすめいたします。窓など開けて観ることのないよう、ご注意ください。

①「退屈」にしているのは自分

セックスも退屈、学校も退屈。そんな退屈まみれのリョウが、バイト先のバーで会員制ボーイズクラブのオーナー・静香と出会うところから、この物語は始まります。

「女なんてつまらないよ」

そう言うリョウに対して、静香はリョウのセックスは5,000円だと評価をします。

理由は、「相手に心を開かない。」「相手の体が出すサインを読もうともしない。」「2人ですれば素敵なことをあなたは1人でしている。」から。

人間は探しているものしかみつけない。
あなたがつまらないと見下しているものはもっと素晴らしいものよ。
この世界で生きている限り、女性からもセックスからも逃げ切ることはできない。

ううむ、なるほど。「退屈」と思っているから「退屈さ」を探してしまうのか。

静香の言っていることは真理だなと思っていて、人は見たいようにしか見ていないものですよね。

事実は一つだとしても、人によって解釈が違うのはそのせいだと思います。

②性の奥深さを知る

この出会いをきっかけに、リョウはたくさんの女性と会い、さまざまな女性たちの性欲を知ることになります。

リョウが出会う女性たちは、人妻もいれば、未婚女性もいれば、未亡人もいます。年齢も様々です。

みんなそれぞれ心の中に欲望を抱え、その欲望の形も様々

旦那や彼にはいえない欲望を発散する場が、彼女たちには必要なのです。

人との関わりの中でしか知り得ないことがあり、分かち合えないことがある。

だからこそ、彼女たちと出会い、リョウの世界は少しずつ広がっていくのです。

最初の印象がぼんやりとした、暗そうな男性だった松坂桃李さんが、ピシッとスーツを着こなし表情すらも一流の気品が漂わせるように変化していく様子は流石だなと感じました。
プロの仕事を見せていただいている気になります。

リョウの成長に合わせて、松坂さんの印象も変わっていくので、ぜひそこにも注目してみてください。

③洗練された都会の描写

本作で目立つのは、大都会・東京の描写です。

赤坂、渋谷、新宿、池袋、鶯谷など主要な都市でリョウは女性に会います。

洗練された都市で、人知れず、ボーイズクラブの人間とお客さんが待ち合わせしているのか〜なんて、想像してしまいます。

わたしが好きなのは、リョウの仕事終わりに静香が車で迎えにくる描写。

静香が左ハンドルの赤い車に乗って颯爽と現れ、東京タワーを横目に首都高を走り抜けるのです。

このシーンがかっこよくて、真飛さんのファンになりました!

車を運転する時の仕草がとても色っぽいくて本当に素敵。

ぜひ注目してみてみてください。

つまらない人生からの脱却の物語

リョウは静香との出会いから気づきを得て、つまらない人生から豊かな人生を選択しました。

もちろん仕事の賛否はあるとは思うのですが、死んだように生きていたリョウがみるみるうちに生気を取り戻していく様子を見ていると、リョウにとっては最善の選択だったのではないかなと思います。

人はお互いに良い影響を及ぼしあって生きているし、人は誰しも1人では生きていけない。

静香によってリョウが救われたように、リョウによって静香は救われます。

また、きっと映画を観ている人の中にも、映画に救われた人もいるのではないでしょうか。

それくらい人の欲望は奥深いものなのだと感じました。

見てみたいけど過激な描写が多いので映像はちょっと…という方にはぜひ原作小説をおすすめします。

また、前日譚は『初めて彼を買った日』にも収録されていますので、そちらもチェックしてみてください。

ではまた〜

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