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バギクロス
2024年5月9日 10:45
「はぁ…」俺は駅前の街頭を背にひとりため息をつく。そんな俺のことを、すれ違う人たちはまるで興味が無いように俯いて歩いている。俺はギターケースを背負い直すと、必要以上に眩しい景色から逃げるように歩く。ミュージシャンを目指すため、上京して早3年。とにかくお金がない俺は、事務所に入ることも出来ず、こうやって駅前の路上ライブで地道に活動を続けている。(今日も誰一人足を止めてくれなか
2024年4月9日 12:35
暗い夜道を私は一人で歩く。街の喧騒は、まるで今の心を表しているみたいだ。星の綺麗な今日、私は嘘つきに会いに行く。ま、星が出ているかなんて知らないけれど。大切だったお揃いのペンダントを、この喧しい世界に見せつけるようにぶら下げて歩く。ずっと前からわかっていたのだ。あいつにハナっから愛なんてなかったと。それでも私は。世界で一番大切だったから。信じて歩いてきたのだ。
2024年3月21日 21:06
「ただいま〜」最愛の人が帰ってきた。玄関で待っていた私は彼の元に走ってハグをする。「お〜よしよし。ひかる、ただいま。」彼は私の顔をじっと見つめながらそう言う。︎︎”おかえり。”私は手を動かしながら彼に伝える。そう、私は生まれつき耳が聴こえない。いや、正確には大きな音だと少しは聴こえているのだが、補聴器を付けてもほとんど聴こえないのだ。︎︎ ︎︎”お仕事お
2024年3月1日 23:05
「ふわぁ〜ぁ……」俺は通学路を一人、気だるげに歩く。「○○く〜ん!おっはよ〜!!!」背後から朝イチとは思えないような元気な声が聞こえる。「あぁ…山﨑さんおはよ…」「もー!元気ないなー!もう一回!おはようー!!!」「お、おはよー!」「よろしい!」この子は同じクラスの山﨑天さん。いつもクラスの中心にいて、ムードメーカーでもある。そして誰にでも分け隔てなく接してく
2024年2月19日 18:04
私は小田倉家に仕える執事。元々は家族ぐるみの付き合いがあったので、そのコネで屋敷の雑用などのアルバイトをしていたのだが、今年から正式に麗奈お嬢様の執事を任された。『お嬢様、行ってらっしゃいませ。』麗奈「行ってきます。」麗奈母「麗奈、気を付けてね。」麗奈「はい。お母様。」○○「麗奈お嬢様、こちらへ。」麗奈「ありがとう。」私はお嬢様を車まで案内する。車に乗り込む所作
2024年2月14日 05:51
俺はコンビニで適当にお菓子を物色していた。今日はずっと楽しみにしていたゲームの発売日。そんなハッピーな日はお菓子も買い込んでダブルでハッピーになるのだ。「ん?」俺はふと目に付いたチョコレートをじっと眺める。「これ、守屋が言ってた新作のやつか?」守屋と言うのはクラスメイトの守屋麗奈のことだ。席替えで近くの席になったのと、お互いお菓子が好きってことで最近よく話すようになった
2024年1月29日 10:38
俺の彼女は無口だ。そして、俺の彼女は素直じゃない。おそらく、世界で一番。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「おーい○○!今日カラオケ行かね?」「わり!今日は夏鈴と買い物行くんだよ!」俺は友人からの誘いを申し訳なさそうに断る。「まーた彼女かよ〜ラブラブだねぇ笑」「うっせ!」俺は冷やかす友人に強めにツッコむ。「しっかし、お前の彼女可愛いけどさ、あんまこ