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「あじの干物」と「いななき」

朝の儀式についてのお話です。

寝室のドアからぬうっとすがたを現した祖父は、一歩また一歩と床にワナが仕掛けられていないかを確かめるかのような足取りで掃き出し窓へと向かいます。速さとしては、大きめのアリくらいでしょうか。

リビングを横断するのに1分も2分もかかって、やっとこさっとこ窓際にたどり着くと両手を腰にまわして、朝日の差すベランダを眺めはじめます。「眺める」と言っても、そこが息を呑むような景観を望む絶好調なベランダなわけではありません。

見えるものといえば、花が枯れて不毛の大地と化したプランターや、かさかさのだんごむし。サビの浮いた物干し竿。そこに吊るされたランニングシャツと、やけに派手な赤いシルクの大きなパンツ。そのくらいのものです。

祖父はそんなベランダの状況をひとつひとつ丹念にチェックしているように見えました。(もしかすると光合成をしていたのかも知れませんが。)

そして、ひとしきり「眺め」が終わると、やおら両手を頭上たかくあげて伸びをしはじめます。自らの両手に引き上げられるように、からだがぐうっと伸びていきます。そしてやがて腕が最高地点に達すると、祖父は声をあげるのです。

「ヒィィー、ヒヒィーン!」

馬のいななきのような声。これには「おじいさん、一体どこからそんな音が出るんだ」と毎回味噌汁を吹き出しそうになります。ですから注意深く祖父の動向を観察して「いななき」のタイミングを予測しておかなければなりません。危険なのです。

この「奇妙な発声」をおしまいの合図にして、祖父は朝ごはんの食卓に加わります。これが毎朝のことでした。

はい、与太話もほどほどに。

朝ご飯といえば干物。干物があれば幸せだ。

ということでトップの写真です。本日は「かまぼこ」で有名な「鈴廣」さんの干物をご紹介。

さすがはかまぼこ屋さん。お魚のレベルが高い。干されてなお肉厚な身は焼き上げるとふっくらとしています。炊き立てごはんとお漬物にお味噌汁。それにおいしい干物があればもう言うことないですよね。

なんと公式オンラインショップでも購入できるみたいですので、存分に活用したいと思いました。

今日もお読みいただきまして
ありがとうございます。

それでは、また明日。

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