& episode 027
美味しそうなロゴを早速シールにしたくにちゃんは、
朝のルーティン、ブラックコーヒーからのカフェオレを飲み干し、
学校へ向かった。
どんなサービスなのかと聞いたら、
「全体があたたかくなるもの」
とニュアンスのみの回答だった。
まだ、コンセプトの段階なのかもしれない、ロゴはまた変わるかもしれない。
でも、彼女が作るサービスなら・・・と期待する僕がいる。
彼女が学校へ向かった後、僕はデロンギのヒーターでぽかぽかする部屋で設計を始めた。
通っていたグルテンフリーのサンドイッチが美味しいカフェのオーナーが2号店を出すそうで、そのコンペに誘われたからだ。
設計士の多くが、今、Web広告やITデザイナーに転向している。
理由は、日本国内で働いていた場合、人口が減り以前より案件を獲得するが難しくなっていること。
その結果、競争心がないと継続が難しいことなどが理由だ。
コンペは、作り手としては最大のステージだと考えるようにしている。
擦切れる案件もあるけれど、大変じゃない仕事はないし、僕の大切なくにちゃんだって、いつも順風満帆なわけではなく、とてもとても不機嫌な日もあるし、半月ほど浮かない顔をするときもある。
僕にだけ見せる、平気じゃない顔。
育ちの良さなんてかなぐり捨てて、スウェットと質素な茶色の髪ゴムで長い髪をまとめ一心に取り組む姿を見ていると、同じくらいの負荷は僕だって吹き飛ばしていかなきゃいけない。そう想うようになる。
僕は、今日は平気じゃない顔をしなければならない。
ホットコーヒーを飲み干し、僕はデスクで腕まくりをした。
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